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思い出の書物-アルカディア-

大学セミナーハウスについては、あふれるばかりの思いを抱いている。このハウスは、その立地と地形、景観と風景、さまざまな企画とセミナーの運営という点においてすばらしいアルカディア(平和郷・理想郷)だ。ハウスは家、住居-サン=テグジュペリは、ハウスは夕べには思い出の書物になるという。八王子の丘陵地に姿を見せているこのハウス-書物は数々のエピソードやドラマによって彩られている特別な書物なのである。

草創期からこれまでさまざまなかたちでセミナーハウスと深い縁があったことを思い出す。感謝の念が強い。共同セミナーの委員として「ロビンソン・クルーソーと現代」を初めとして映画のセミナーなどいくつものプランを実施した。岡 宏子先生が委員長、私が副委員長だった。社会学の大学合同セミナーを計画して教員や学生の方々と意義深い日々を過ごすことができた。

中川秀恭先生や飯田宗一郎氏、数々の先生方やセミナーに参加した各大学の学生の姿をなつかしく思い浮かべている。このハウスはあらゆる意味で〈記念〉そのものだ。このハウス-書物は私自身の生活史の大切なひとつの支柱となっている。特別な大地である。
慶應義塾大学名誉教授、大妻女子大学名誉教授、千人会会員
山岸 健