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セミナーハウスの効用

ぼくほど、セミナーハウスを活用した者は少ないのではないか。もっとも、それは数回しか利用したことのないこの「大学セミナーハウス」ではなく、勤務先のセミナーハウスであったが。

学部のゼミ、外図書購読などはそれぞれ二泊三日の合宿で大学での優に十回分以上の内容をこなすことができ、全員に発表の機会を二回程度は与えることができた。しかも、年二回の合宿なので、その学習効果は抜群であった。

大学院生ともなると、年に三回程度の合宿研究会を行うので、これなくしては授業そのものが成り立たない感すらあった。

もとより、その効果は勉強の面だけではない。学生一人ひとりについてその人となりを知ることができ、進路について相談に乗ったり、アドバイスを与えることもでき、卒業時には全員を家族の一員のように思えた。いまでも、寝食を共にした約千二百人の卒業生との親密な交流は絶えることなく続いている。
大学セミナーハウス元常務理事、早稲田大学元総長、白鴎大学学長、千人会会員
奥島 孝康