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夏季セミナーの価値

このたび大学セミナーハウス開館50周年記念会を開催されるのは誠に慶賀に堪えない。
この機会に JACET の発展の基礎になったサマーセミナーの活動を思い出し、大変お世話になった大学セミナーハウスに厚く御礼を申し上げたい。

本学会は1962年創立の大学英語教育発展のための研究と教育の「運動体」として、本年第55回年次大会を開催した会員2,800を擁する国際学会である。
当時、大学では一般教育としての外国語の必修担当の英語教員の多くは英米文学の専門家として自負を持ち、英語を一般教育課程で教えるのは仮の姿であると自任していた。
この中で、一部の先導的な英語教員がこの風潮を憂いて本学会を創設したものである。
発足時、会員は120名であり、特に若手の不足は最大の問題であった。
この中で、米国在日フルブライド委員会は日本の英語教育改革を目指し、JACET に若手の大学英語教員の研修を国内で実施することへの協力依頼をしてきた。
理事会はこれを受けて、共催でサマーセミナーを実施することを決定し、同委員会は当時オープンして2年目の大学セミナーハウスに利用を申し入れたのである。

1967年7月17日から8月4日まで30名の全国から選ばれた若手の英語教員がユニットハウスに泊まりこみ、著名な W.Nelson Francis 教授(BrownU niv.)の講義、若手の米国人教授による英語の訓練、大学英語教育改革の自主討論などを集中訓練方式で実施した。
こうして JACET セミナーは1991年頃まで飯田専務理事他の事務職員の皆さまにお世話になったのである。

これは今夏第43回セミナーを京都大学で実施した。
この間のセミナー参加者は同じ釜の飯を食べた経験を大事にし、本学会活動の中核として日本の英語教育改革のために活躍した。
セミナーハウスの支援がなければ、このような長期の泊まり込みセミナーは実現せず、JACET の発展、ひいては日本の英語教育の改革もなかったであろう。
大学英語教育学会名誉会長、千人会会員
小池 生夫