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大学セミナー・ハウス創設者飯田宗一郎とICU

大学セミナー・ハウス創設者・飯田宗一郎はICU(国際基督教大学)と深い関わりがあった。ICU の開学は1953年である。飯田宗一郎は東京女子大学の事務局長であったが、ICU が第4年次を迎えた時にICU に就職部長として着任した。これは、当時は珍しいスカウトのたぐいであった。それというのも、ICU は、初めての卒業生の就職という試練に直面していた。旧来の日本の大学の範疇から大きくはみ出していたICU の教育の成果が、第一期生の就職ということによって、社会的評価に直面していた。したがって、就職部長という職責は極めて重いものであった。そういう重責を担い得る人物として、飯田宗一郎はスカウトされたのであった。

ICU の創設には、当時「法王」とよばれ、日本の財界に重きをなしていた一万田尚登日本銀行総裁の尽力が特筆される。その一万田総裁が、ICU 一期生の就職のために、実業界の大物を歴訪して回った。その歴訪に一万田総裁は飯田宗一郎就職部長を帯同したのである。

飯田宗一郎が大学セミナー・ハウス創設に際して、財界の支援を得ることができたのには、上記のICU での経験が大いに役だったと想定することは、極めて自然であろう。
大学セミナーハウス元館長、国際基督教大学(ICU)元学長、千人会会員
絹川 正吉