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リベラルアーツ・アンド・サイエンシスは「何処へ行った」

志の教育者飯田宗一郎氏が提唱し東工大の永井道雄教授や東大教養学部の西村秀夫助教授などが指導した大学共同セミナーで理工学部の私が出会ったのは、華やかな女子大生ばかりでなく、先生方から教えられた現代の思想家たち、デイヴィッド・リースマン、エーリッヒ・フロム、ヴィクトール・フランクル、マルチン・ブーバー、シモーヌ・ヴェーユ、などなど。短くも充実した共同セミナーで学んだことは、著書の解説ではなく、いかにこれらの先達が掲げる課題と向き合うかということ。今もって紐解く度に学ぶことが多いが、スマートホーンもロボットも会得の助けにはならない。

大学、学科、学年の枠を超えて、学生が教師と共に智とは何かを議論する、これこそリベラルアーツ・アンド・サイエンシスであり、大学共同セミナーが実践してきた功績は計り知れない。教師が大学院大学教授と非常勤講師に分極化し学生は学力よりも儚い即戦力を追い求める昨今、それは「何処へ行った」?
合同会社 K&K エンジニアリング代表社員、国際熱核融合実験炉 ITER 外部評価委員、千人会会員
海老澤 克之