セミナー・イベント

第42回大学職員セミナー
大学マネジメントを変革するデジタル・トランスフォーメーション(DX)

実施報告 

期日 2021年11月20日(土)
対象 大学教職員
会場 Zoomミーティングルーム
主催 公益財団法人 大学セミナーハウス
参加状況 36名(24大学)
参加者所属大学 愛知工科大学、杏林大学、一橋大学、横浜美術大学、関西国際大学、関西福祉科学大学、京都藝術大学、高崎経済大学、札幌市立大学、自由学園最高学部、実践女子大学、女子栄養大学、聖泉大学、摂南大学、千葉大学、大阪国際学園、大阪商業大学、中央大学、帝京大学、東京女子大学、日本歯科大学生命歯学部、北海道文教大学、明治大学、和洋女子大学

趣旨

 新型コロナウイルス感染症は、世界のあり方に大きな変革をもたらしました。ニューノーマルにおける大学の姿についてもまた、現在なお模索状態がつづいています。教育再生実行会議第十二次提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」(2021.6)のなかでも、これからの大学のあり方について、学修管理システム(LMS)等のICTや遠隔・オンライン教育の活用など教育のデジタル化の進展、ICTの活用による多様な学修者(学修困難者)に対する質の高い高等教育機会の提供等に加えて、ICT 活用の利点を生かした大学経営の合理化・効率化、すなわち大学マネジメントのDXの必要性について指摘されています。
 その一方で、DXが直面する問題点について、先行する産業界の経験を通じてすでに明らかになりつつあります。そこで指摘されている典型的な失敗ケースが、戦略を欠いた技術起点の導入、外部事業者からの提案の鵜呑み・丸投げ、情報システム部門任せ、自己目的化するシステム導入、付随するビジネスプロセスの刷新に対する現場サイドの抵抗などです(経済産業省『DX推進ガイドライン』)。失敗に学び、「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」というDX本来の目的を達成するため、我々は、どのようにしてマネジメントシステムの変革を進めていけば良いのでしょうか。
 本セミナーでは、特定の既存業務を切り出し情報システム(あるいはロボット)に置き換えるという段階を大きく超えて、本来目的の達成に向けて、DXを通じたマネジメントシステム変革を実現するための方策について先進事例を参考として考えていきます。

 

【開会式】

大学セミナーハウス専務挨拶

開会の挨拶をする外村幸雄専務理事


 

【テーマ解説】
「DX導入が直面する課題の克服に向けて」

解説者:企画委員加藤毅先生(筑波大学大学研究センター准教授)

解説概略:DXを通じたマネジメントシステムの変革という大きな課題を達成するためには、必要となる高度複雑なプロセスを分析・整理し、段階的な取組みを着実に積み上げていくことが必要となります。ここではDX導入の三次元モデルを用いることで、達成すべき目的に即してその全体構造について確認していきます。このモデルは、基調講演のなかで紹介される高度の取組みを理解するための枠組みとなるものです。

【基調講演】
テーマ:「DXを起点とする大学のトランスフォーメーション」
講演者:神馬 豊彦氏(早稲田大学人事部業務構造改革担当副部長兼情報企画部マネージャー(デジタルトランスフォーメーション推進担当)

神馬 豊彦氏

講演者プロフィール:早稲田大学人間科学部卒業。1995年早稲田大学に入職。10年間にわたって教務事務システム、学生・教職員・校友向けポータルシステム(Waseda-netポータル)の開発・運用保守を担当。2005年関連会社出向。オンデマンド授業コンテンツ制作・管理、校友向けコミュニティサイト構築プロジェクトマネージャー。2009年より早稲田大学メディアネットワークセンターマネージャーとして、業務サーバの仮想化、学生・教職員・校友向けポータル(MyWaseda)、研究支援・財務システム開発プロジェクトマネージャー。2019年より現職。人事部業務構造改革担当副部長兼情報企画部マネージャー(デジタル・トランスフォーメーション推進担当)としてRPAやOCR、AI等のITツールを活用することで業務効率化と生産性向上を実現するとともに、業務の標準化とアウトソーシング活用、組織体制や規程ルールの見直しによる教育研究の直接的支援へのシフトを推進。

基調講演主旨:DXへの関心が企業から社会全体に広がる中で、大学でもDXの必要性が叫ばれるようになってきました。しかしながら、どこから手をつけたらよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。DXの失敗は、導入の意味、変革によって何を生み出し、何を提供し、何を解決するのかを明確にしていないことに起因しているといわれています。
この講演ではまず、DXを進めるうえで用いられるRPA等のツールについて概説を行います。次に、DXの導入をどのような形で進めるべきか、費用対効果の試算による導入可否判断を行うにはどうすればよいか、具体事例を織り込みながら解説を進めていきます。
DXはシステム部門や外部業者が進めるものではなく、現場の課題を一番よく知っている現場担当者が中心となって進めるものです。現場担当者が自身の業務を見直し、やり方を変える、やめる努力をするなどのチェンジマネジメントとともにデジタルツールを活用することで、大きな成果を得ることができます。
 最後に、DXをリードする高度人材となるためにこれからどのような学びを進めていくべきなのか、という点について議論を行います。デジタルに何ができるのかを理解し、活用することで自身の業務をトランスフォームするという経験を持つ担当者が、大学そのもののトランスフォーメーションのなかで活躍することが期待されているのです。

【グループワーク】

グループワークは、テーマ1:DXを通じて達成すべき大学マネジメントの目標は何か、テーマ2:DXを、外部事業者や情報部門に任せきりにしないために何が必要か、テーマ3:DX導入の経験は、大学職員をどのように成長させるか、の三つのテーマをめぐり、グループ分けして議論しました。各グループで議論した結果をそれぞれのグループの代表により全体会において発表されました。

テーマ1:DXを通じて達成すべき大学マネジメントの目標は何か
グループ1-1  ファシリテーター:神山正之                         

発表者:小西 綾香様(女子栄養大学)

グループワーク模様

テーマ1:DXを通じて達成すべき大学マネジメントの目標は何か
グループ1-2  ファシリテーター:渡邊正樹                     
                          

発表者:田村 幸治様(高崎経済大学)

グループワーク模様

テーマ2:DXを、外部事業者や情報部門に任せきりにしないために何が必要か
        ファシリテーター:青木加奈子

発表者:後藤 由有香様(東京女子大学)

グループワーク模様

テーマ3:DX導入の経験は、大学職員をどのように成長させるか
グループ3-1   ファシリテーター:黒田絵里香

発表者:山口 達也様(実践女子大学)

グループワーク模様

テーマ3:DX導入の経験は、大学職員をどのように成長させるか
グループ3-2   ファシリテーター:田中一平

発表者:中山 貴史様(明治大学)

グループワーク模様

第42回大学職員セミナーオンライン会場模様

【参加者アンケート】

〔テーマ解説〕
本学でもDX推進の重要性が高まる中、今後の課題やあるべき姿のイメージが膨らんだ研修内容でとても勉強になりました。お二方の講演もさることながら、ワーキングの時間をより長く設けていただくことで、さらに有意義な研修になるかと思います。研修の企画・運営、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。
・加藤先生からのお話で、現在の大学おけるDXになぜ困難が生じているのかが整理できた。 業務改善に必要なことと、デジタル化に必要なことは異なるものであるが両方がないとデジタル化は真の成功はなし得ないということを再認識した。
・Xとはというところが具体的に理解できたように思います。今の業務をそのままにするのでなく、根本的な業務改善するためにシステムを導入するということにフォーカスして今後考えていきたい。
〔基調講演について〕
・DX推進の成功事例を伺うことで、本学が今後取り組むべきことや想定される課題のイメージが膨らみました。DXは現場から・・・という姿勢は認識しており、個人レベルや、考えを共有できる仲間と共に取り組み始めていたものの、「新たな価値として何を提供するのか」「何を変革するのか」「どのように変革をするのか」といったことを組織レベルで考え、上程していく部分を後回しにしていました。今後取り組まなければならない最優先事項が何なのかを考える良い機会となりました。
・早稲田大学におけるDXの取組み事例をお話しいただき大変勉強になりました。現在の業務をシステム化するのではなく、システムに合わせ業務を標準化するというお話はDXを導入する上で大きな気づきになりました。ありがとうございました。
・途中で見せて頂いたビデオが非常にDXが達成された大学のイメージが分かって良かったです。もしよろしければ、ビデオのリンクなど頂けるならありがたいです。
〔グループワークについて〕
・他大学での取り組み状況や多様な立ち位置でのご意見を伺えたことは大変貴重でした。ディスカッションする時間が短かったように思うのでその点は残念でした。
・DX推進に関する意見交換や、他大学の状況を知る良い機会とはなりましたが、3つのお題に対し、グループで議論を深めることが出来ませんでした。時間が短いこともありますが、例えば研修の事前課題として、グループワーク時に所属大学または所属部署の「●●●●」について5分で発表できるようまとめておいてください、といった設定があれば、短い時間でも有意義な議論が出来たのでは、と思いました。
・ファシリテーターの黒田さんの司会がとても話しやすく、皆様の様々なご意見を拝聴でき、楽しく参加させていただきました。大学や立場は異なりましたが、認識はかなり共通する部分があり、自身が感じていた疑問や不安が確かめられたことと、同じように悩みながらも、各分野で少しずつでも進めていこうという姿勢が励みになりました。
〔今回のセミナーについて〕
・テーマ、講演内容とも大変為になるお話でした。ありがとうございます。上の質問にも書きましたが、グループワークについては、もう少しご検討いただければと思います。せっかくいろいろな大学のいろいろな立場の方が参加されていたので、もう少しお話をしたかったです。
・Web開催の場合は名刺交換ができないので、セミナー終了後のつながりが持てないのが残念に思います。メールアドレスの共有や、セミナー後でもグループチャットができるような環境が今後提供されるとうれしく思います。
・貴重なお話を聞くことが出来ありがとうございました。先行事例、他大学の状況など大変参考になました。

*ここに掲載している内容はアンケートの一部です。


 

大学職員セミナー企画委員会

委員長
 神山 正之 立教大学入学センター
委員
 青木加奈子 新島学園短期大学事務長
 加藤 毅   筑波大学大学研究センター准教授
 黒田絵里香  慶應義塾総務部課長・協生環境推進室事務長
 田中 一平 法政大学総長室付教学企画室課長
 渡邊 正樹 中央大学学事部企画課課長
 

お問い合わせ

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TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
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