セミナー・イベント

第11回 EUセミナー
「EUの戦略的自立と連携」

実施報告

期日 2023年10月13日(金)~15日(日)
会場 大学セミナーハウス
主催 公益財団法人大学セミナーハウス
後援 駐日欧州連合代表部

参加状況 7校 52名 社会人0名 合計52名

立教大学(19名)、帝京大学(17名)、日本大学(7名)、東洋英和女学院大学(5名)
早稲田大学(2名)、青山学院大学(1名)、一橋大学(1名)

開催趣旨

本年6月広島G7サミットの主要議題は、ウクライナ戦争と中国の影響力拡大への対応だった。EUはこうした世界的課題に独自の多角的な姿勢を模索しながら対応しようとしている。
 その姿勢の背景には2016年に発表した「EUグローバル戦略」の中の「戦略的自立」という概念がある。それは欧州統合の発展の証と自信を反映しているが、内外に向けた連帯強化の姿勢でもある。当初安全保障面を中心としたこの概念は今日経済・環境面など様々な分野にまで拡大している。本セミナーではこの戦略的自立概念の実態を多角的に議論する。
(企画委員長 渡邊啓貴 )

INDEX

開会式  10/13

大学セミナーハウス理事長/館長職務代行 荻上紘一

 このEUセミナーは、大学セミナーハウスが主催する国際的なセミナーの中の一つで、今年で11回目となります。
 本セミナーの特徴として、企画委員の先生方が指導する学生を連れてきて下さり、複数の大学の学生が一同に会し普段できないような議論を行い寝食を共にして色々と語り合うということがあります。もう一つはEUの駐日代表部から基調講演を提供いただいていることです。EU代表部の責任のある方から直接お話を聞くことができるということも大きな「売り」の一つと考えます。ハイツェ・ジーメルス副代表にお越しいただき、とてもお忙しい中、無理をして駆けつけてくださいました。
 最後に、セミナーハウスとEUとの関りについて触れておきます。セミナーハウスにいらしたときに最初に目についた妙な形の建物をご覧になったと思います。普通は上に広くなることはめったにないと思います。普通はピラミッドのように小さくなりますが、セミナーハウスの本館は上に行くに従い大きくなるという形をしています。これは、フランスの建築家ル・コルビジェ氏に学んだ吉阪隆正氏が設計しており、東京都の歴史的建造物に指定されていて、あの建物を見に来て下さる方も多いです。日本人がフランスに行って学んできたその力を生かして設計してくださった建物がここのシンボルになっています。そういう意味で、かすかかもしれませんがEUと関りを持っています。EUセミナーを行うにふさわしい場所であると考えています。
 ぜひ、有意義な時間を過ごして頂き、何か新しいものを身に着け、持ち帰り、それぞれの大学で力をつけ社会に巣立って行っていただきたいと思います。ご参加ありがとうございます。

【特別講演】10/13

テーマ 日・EU関係~激動する時代の戦略的パートナーシップ~
講演者 講演者:欧州連合駐日代表部公使 / 副代表:ハイツェ・ジーメルス
(Mr. Haitze Siemers Minister, Deputy Head of the Delegation)
通訳 鬼頭真理

欧州連合駐日代表部公使 / 副代表 ハイツェ・ジーメルス氏

欧州連合駐日代表部公使 / 副代表 ハイツェ・ジーメルス氏より、
1.グローバルアクターとしてのEU
2.EUと日本
という大きなトピックスについて、外交・安全保障政策、グローバルパートナーとの緊密な連携、EUとウクライナ、平和と安全、人道支援、人権、環境、気候変動、エネルギー、グリーンディール等の多岐に渡る内容をお話しいただきました。

これに対し、受講者からは予定時間を大幅に延長するほどの質問があり、質問一つ一つに対し丁寧な回答をいただきました。

ハイツェ・ジーメルス氏と質問する学生

逐次通訳をする鬼頭真理氏

【講師パネルディスカッション】 10/13

パネルディスカッションの様子

先生方の自己紹介も兼ねて、一人ずつお話しいただきました。
さらに、渡邊先生の司会で出てきた話題を深掘りした議論が行われました。

【分科会討論】10/13~15

EUセミナーは毎回各分科会の講師の先生から事前課題と参考資料が示され、参加者がセミナー開催までに資料を調べ、課題を考えたうえでセミナーに参加します。今年は次の四つの分科会に分けて、それぞれ3日間 4回にわたって討議を展開しました。
今年は例年より熱心な方が多く、懇親会を早めに切り上げて検討の続きを行う分科会もあったようです。
 

第1分科会

テーマ
インフレと低成長のEU-中国、アメリカとの比較-
指導講師

田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員、東北大学名誉教授)

太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授)

第1分科会討論模様

主旨: アメリカ、中国、EUは合計すると世界GDPの60%を超える世界の3大経済圏である。本年、EUはインフレと低成長に襲われている。2020年に新型コロナ危機で大きく落ち込み、21年に回復したが、22年のウクライナ戦争によるエネルギー危機で2桁インフレを記録、ECB(欧州中央銀行)の金利引き上げにより、経済は低成長に落ち込んだ。ドイツが特に厳しい。コロナ危機、ウクライナ戦争という世界規模のショックがEUとアメリカ、中国の経済にどのような影響を与えたのか、相互の経済関係はどうなのか、EU特有の課題など、EUを中心にマクロ経済を比較し、現在の世界経済状況を捉える。

第2分科会

テーマ
グリーン経済の社会実装と企業の責任
指導講師
蓮見 雄先生(立教大学経済学部教授)
中西優美子先生(一橋大学大学院法学研究科教授)
主旨:今日、グリーン経済をいかにして社会実装していくかが問われており、企業の役割は極めて大きい。2023年2月、欧州委員会は、グリーンディール産業計画を公表した。これは、規制の簡素化、国家補助規制の緩和などによって、企業活動のグリーン化を促そうとするものである。同時に、企業は、環境・人権に関する社会的役割を果たすことが求められている。第2分科会では、欧州グリーンディール実現における企業の役割に焦点を当てて議論していきたい。

第2分科会討論模様

第3分科会

テーマ
EUのリスク対応とデジタルガバナンス
指導講師

押村高先生(青山学院大学国際政治経済学部教授)
福田 耕治先生(早稲田大学政治経済学術院教授)

第3分科会討論模様

主旨: 第3分科会では、EUの戦略的自立のために、欧州市民社会におけるEUのリスク対応と連帯のためのデジタルガバナンスについて議論する。欧州における安全保障や経済などに危害が発生する確率を下げ、また危害が発生してしまった場合には、その影響が及ぶ範囲や程度を抑える目的から、デジタル技術は官民連携ネットワークの重要かつ強力な実施手段となる。この分科会では、先端的なデジタル技術を駆使してEUの戦略的自立を強化し、連帯するためのサイバーセキュリティその他のあり方を考える。

第4分科会

テーマ

EUの共通外交安全保障・防衛政策の強化

指導講師 渡邊 啓貴先生(帝京大学法学部教授、東京外国語大学名誉教授)
小久保 康之先生(東洋英和女学院大学国際社会学部教授)
主旨: EUにおける共通外交安全保障・防衛政策(CFSP・CSDP)は、EUが自律的なアクターとして行動する上で重要な政策領域であるが、未だに全会一致制が維持されており、加盟国間の意見対立も大きい。しかし、2021年にはEU予算外に欧州平和ファシリティ(EPF)基金が創設されて、EUから周辺諸国・途上国に対する軍事防衛支援を行えるようになった。さらに、2022年3月には「欧州戦略的コンパス」という文書をEUは発出し、2030年を目標にEUのCFSP・CSDPの強化に乗り出した。ロシア・ウクライナ戦争の勃発に伴い、EUとしての団結した対応が求められる中、EUが一体となってCFSP・CSDPの強化に向けて進めるのか検討する。

第4分科会討論模様

【分科会中間報告会】10/14

第1分科会発表者と司会者

第3分科会発表者と司会者

第4分科会発表者と司会者

第2分科会発表者と司会者

【分科会最終報告会】10/15

中間報告会、最終報告会の司会、タイムキーパー、マイク係は各分科会から選出された学生幹事が交代で担当してくれました。

第1分科会最終報告

第2分科会最終報告

第3分科会最終報告

第4分科会最終報告

各分科会の発表を聞いて 
質問あるいは講評を行う講師の方々

活発な質疑応答が展開された

【参加者懇親会】 10/14

【特別講演後の記念写真】 10/14

特別講演後の集合写真

【出席証明書交付】10/15

閉会式では、大学セミナーハウスからのあいさつがあり、第11回EUセミナー出席証明書が参加者全員に配られました。
参加者の皆さんはそれぞれの分科会講師を囲み、出席証明書を手に記念写真を撮影しました。

第1分科会

第2分科会

第3分科会

第4分科会

3日間を振り返るスライドショー

【参加者アンケート】

寄せられた回答を一部ご紹介いたします。

特別講演について:
 ・現在のEUの考えやジーメルスさんの個人の考え方という日本人とは違う考え方が聞けたことがよかったです。
 ・大物が出てきた感で、豪華感を感じました。
 ・日本語だらけの三日間より英語もあった方が良い

分科会最終報告会について:
 ・ほかの分科会の人たちの発表がすべて自分では調べたことがないものだったので新鮮でした。
 ・(開かれた)戦略的自立という本セミナーの主題への理解を最後に深めることが出来たと感じています。
 ・先生に指摘されたことを受けて寝る時間を削って発表資料作りに必死に取り組んだのでそのことを報告会で出せたことは良かった。

懇親会について:
 ・他大学の人と会話するのが楽しかったです。
 ・報告が終わらなかったのでほぼ参加していない
※今回は特に熱心な受講者が多く、懇親会後も分科会を行ったところもあったようです。

EUセミナー全体について:
 ・開始されるまでは緊張していましたが、始まってからは楽しく討論などできました。
 ・多少拘束時間が伸びても良いので、朝晩の時間にあと少し余裕があると個人的にはありがたいです。

参加者の皆さん、アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
皆さんからいただいたご意見ご評価を参考に、より良いセミナーが開催できるよう努めてまいります。

【EUセミナー企画委員】

<委員長>
渡邊 啓貴(帝京大学法学部教授・東京外国語大学名誉教授)
<委員>
太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授)
押村 高(青山学院大学国際政治経済学部教授)
小久保 康之(東洋英和女学院大学国際社会学部教授)
田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員・東北大学名誉教授)
中西 優美子(一橋大学大学院法学研究科教授)
蓮見 雄(立教大学経済学部教授)
福田 耕治(早稲田大学政治経済学術院教授)

お問い合わせ

公益財団法人 大学セミナーハウス セミナー事業部
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
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