第9回 EUセミナー
「EUの連帯とコロナ危機」
実施報告
日 程 | 2021年9月25日(土)~26日(日) |
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開催形式 | Zoomを用いたオンラインセミナー |
会 場 | Zoomミーティングルーム |
主 催 | 公益財団法人大学セミナーハウス |
後 援 | 駐日欧州連合代表部 |
開催趣旨
開会式 9/25
大学セミナーハウス鈴木康司館長挨拶
大学セミナーハウス鈴木康司館長挨拶
ご参加の皆様、おはようございます。セミナーハウス館長の鈴木です。
現代世界政治の中枢をなしている三大政治圏、即ちアメリカ、中国、EUを当セミナーハウスでは数年前からグローバルアカデミーセミナーと名付けて取り上げてまいりました。残念ながら世界中を巻き込んだコロナ禍のために、対面によるセミナー開催が極めて困難となり、昨年はこのセミナーも中止のやむなきに至りましたが、今年は、実行委員長の渡辺啓貴(ひろたか)先生はじめ、委員、講師の先生方の熱心なご努力のおかげをもちまして、Zoomを用いたオンラインセミナーとして実現することができました。先生方に深く感謝いたします。
さて、過去数年にわたり、前アメリカ大統領トランプのアメリカ第一政策が原因で極めて悪くなったEUとアメリカの関係も、バイデン大統領の登場によりパリ協定復帰その他の措置で徐々に回復しつつあるように見えました、アメリカ対ヨーロッパの関係もコロナ危機がもたらす影響で問題が山積するとはいえ、EU参加国との間は改善されつつあるようにも見えましたが、まだまだ予期しない問題が生じるようです。
昨今ではフランスとオーストラリアの間に結ばれた原子力潜水艦建造契約に関するアメリカの割り込みにフランスがアメリカに猛反発し、大統領同士が会談をするという事態が生じております。これなどEUと直接関係はないかもしれませんが、今後のEU参加国対アメリカ、あるいはEU離脱国イギリスなどに微妙な影を落とすのではないかと私などは考えてしまいます。いずれにせよ現在世界が抱えている諸問題は地球温暖化にせよ、コロナ禍による経済対策にせよ、どれもEUだけでは解決不可能なものばかりです。
EU参加国の結束によりこれらの難問を解決してゆくにはどうすればよいか、先生方のご研究の成果はもとよりEU副代表のハイツェ・ジーメルス公使のお話も極めて興味深いものがあります。どうかご参加の皆さん、実り多い成果を得てくださいますようにお祈りしてご挨拶といたします。
渡邊企画委員長趣旨説明
講師提題講演 9/25
田中素香先生
小久保康之先生
福田耕治先生
武田健先生
渡邊啓貴先生
蓮見 雄先生
中西優美子先生
太田瑞希子先生
特別講演 9/25 「EUと日本・アジアの関係(EU-Japan/Asia Relations)」
駐日欧州連合代表部副代表・公使ハイツエ・ジーメルス氏
テーマ | EUと日本・アジアの関係(EU-Japan/Asia Relations) |
講演者 | 駐日欧州連合代表部副代表・公使 Mr. Haitze Siemers(ハイツエ・ジーメルス)氏 |
同時通訳 | 鬼頭真理様 |
分科会討論 9/25~9/26
<第1分科会>
テーマ |
コロナ危機とEUの経済政策
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指導講師 |
田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員・東北大学名誉教授)
太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授) |
第1分科会中間報告
第1分科会最終報告
発表内容ポイント:欧州復興基金のこれまでとこれから(①対コロナのEU財政支出計画、②MFFと欧州復興基金の違い、③欧州復興基金(次世代EU)について、④異なる加盟国が欧州復興基金に合意した歴史的意義、⑤復興基金で描くロードマップ、⑥共同債とタクソノミーについて)
<第2分科会>
テーマ |
EUの連帯と感染症政策とガバナンスの変容
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指導講師 |
福田 耕治(早稲田大学政治経済学術院教授)
武田 健(青山学院大学国際政治経済学部准教授) |
第2分科会中間報告
第2分科会最終報告
発表内容ポイント:コロナウイルス感染症が拡大する中でEUの連帯、また世界の連帯のためのEUの存在意義とは①EUと加盟国の感染症症政策、②感染症制御の欧州ガバナンス、③EU連帯と世界
<第3分科会>
テーマ |
コロナ危機後のEUと国際秩序 |
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指導講師 |
小久保康之先生(東洋英和女学院大学国際社会学部教授) |
第3分科会中間報告
第3分科会最終報告
発表内容ポイント:①EUと域外国の関係、②インド太平洋戦略、③難民・移民
<第4分科会>
テーマ | 欧州グリーンディール |
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指導講師 | 蓮見 雄先生(立教大学経済学部教授) 中西優美子(一橋大学大学院法学研究科教授) |
第4分科会中間報告
第4分科会最終報告
発表内容ポイント:①欧州グリーディール概要、②再生可能エネルギー、③新産業戦略(サーキュラー・エコノミー、産学官連携にもとづく「意向経路」の共創、欧州グリーンディールの影響を受ける産業や労働者を支援する「公正な移行」)、④スマート・モビリティ戦略とEV、⑤移行のための資金調達復興基金、サステナブル・ファイナンス、⑥Open Strategic Autonomyによって、持続可能性のルールをグローバル・スタンダートにするための国際協力:その一例としての日EUグリーンアライアンス、⑦市民の参加、協力:欧州気候協約、グリーン消費誓約、リノベーション・ウェーブ
閉会式 9/26
大学セミナーハウス荻上紘一理事長閉会挨拶
コロナということでなかなか通常のセミナーができない状況が続いておりますが、それでもなんとかこういう集まりを持ちたいということでオンラインで実施できるようなシステムを独自に開発をしておりますが、いろいろ不都合な点もあったかと思います。その点はお詫びしたいと思います。
私は毎年このセミナーを聞かせて頂いております。役目上ということではなく、個人的に毎年ここで議論される内容に関心がありますので今年も非常に興味をもって聞かせて頂きました。われわれ人間はいろいろな災難に直面しながら生きているわけですが、その多くは何等かの意味でローカルなものが多いと思います。しかしコロナは地球全体すべての人間にかかわるグローバルな災害でございまして、私どももその被害をいろいろな形で受けているわけですが、それに対してそれぞれの国でいろいろな形で対応していると思います。我が国の対応はうまくいっているのかうまくいっていないのか、いろいろご意見がわかれているのかもしれませんが、今回EUではどういう対応しているのかを中心に議論して頂いたわけで、ずいぶん我が国とは違う対応が行われていることを、改めて勉強することができました。コロナというものは病気ではありますが、単に医学の問題として片付くものではなく、あらゆることに関わりを持っているという意味では人間はたいへんな試練を受けているということを改めて今回も感じました。そういったことをテーマにして、議論し、それを整理して発表するということをやっていただいたわけですが、いま先生方や皆さんがおっしゃったように1泊2日ではなかなか無理だと思います。それからやはり対面して議論することと比べていろいろな意味での制約があろうかと思いますが、にもかかわらず、ずいぶんよくやって下さったと思います。議論してまとめてそれを発表するということは皆さんが社会に出てあらゆる場面で必要なことだと思います。ひょっとすれば、今回参加してくださった学生さんの中から将来我が国の総理大臣が出るかもしれない、総理大臣になれば特にプレゼンテーションというのは非常に重要だと思います。そういう意味でも短い時間ではありましたが、学生の皆さんにとって将来なんらかの形で生かされていくことを期待したいと思います。どうも今回もありがとうございました。