セミナー・イベント

第1回留学生論文コンクール受賞者座談会

実施報告

 大学セミナーハウスは大学という機構の外にあって日本の高等教育の発展に貢献すべく、留学生支援事業にも積極的に取り組んでおります
 当事業は、留学生の日本語による論文作成能力を向上させる機会を提供するとともに、日本留学の成果を発信し、国際相互理解及び国際交流を促進することを目的としています。
受賞者の方々には当法人の留学生支援事業にご協力いただくことを期待し、定期的に座談会を開くことになりました。
 今回は第1回になりますが、コロナの感染を防ぐため、またすでに学業を終了し帰国された方に海外からご参加頂けるため、Zoomを用いたオンラインで開催しました。座談会のはじめに、留学生論文コンクール審査委員長の鈴木康司館長が挨拶し、法人の留学生支援事業に関する報告の後、参加者の方々からそれぞれの留学生体験について話されました。参加者の皆様の同意を得てここにおいて皆さんのお話を掲載いたします。
 論文コンクールに受賞され、自信と希望を胸に、それ以後の自分の学術研究や社会活動を積極的に取り込むことができた、などの話を聞き、主催者側としては喜ばしく思い、今後もより一層留学生支援事業を発展していきますようと考えました。
日 程 2021年7月10日(土)
開催形式 Zoomを用いたオンラインセミナー
対象 留学生論文コンクール受賞者
会 場 Zoomミーティングルーム
主催 公益財団法人 大学セミナーハウス

【館長挨拶】

 皆さんおはようございます。館長の鈴木です。
 公益財団法人大学セミナーハウスというのがどういう活動組織かというのは、セミナーハウスのHPを見ていただければよくお分かりになると思いますが、簡単にいいますと今から55年ほど前、東京大学や一ツ橋大学・慶応大学・早稲田大学など都内の主な大学13校が中心となって、大学の壁を越えて教員・学生の交流、研究活動などを目指して作られたものです。今日でも7つの主催セミナーをはじめ数々の活動を行っておりますけれど、留学生の支援事業は2005年に留学生会館を建設開館したのをきっかけに始めました。ちょうど海外からの留学生数が急に増えて受け入れ環境を整える必要が出て参りまして、よい機会であったかと思います。留学生論文コンクールは、留学生支援事業の一つとして2009年から実施して参りました。当時の文部省今の文科省ですが、外務省・国際交流基金・国際留学生協会の名義後援を受けて始まりました。留学生の日本語論文作成能力の向上や、日本留学の成果を示して、国際間の相互理解を深め交流を促進するのが主な目的であります。更に我々が考えましたのは、このコンクールを通じて留学生の母国と日本の間に友好の絆を少しでも結びたい、将来母国に帰られた皆さんがどんな形でも良いですから、日本と皆さんの国の友好に役立っていただきたい、大学セミナーハウスのコンクールが少しでもその後押しになりたい、というものでありました。ですから、コンクールの主題にグローバルイッシューを考えるとしましたのも、日本だけではなく世界共通の人類が抱えている大きな問題を中心に取り上げたかったからであります。このコンクールは、今年で12回目になります。コロナが世界中に猛威を振るっている最中でありますけれども、この際これまでに受賞した方々にこのオンラインの懇談会を通じて色々とこれからコンクールに応募したいなと考えている留学生たちに大いに役立つご意見や良いご助言をいただければ、我々としては嬉しく考えております。
 今日は皆さんどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【留学生支援事業に関する報告】

【参加者の体験談】

王 艶玲(オウエンレイ)〖中国・2009年優秀賞〗
現在、中国・重慶の師範大学日本語学科准教授

 今中国・重慶の有名な避暑地ワンシェイにいます。ですから中国からご挨拶させていただきます。
 2009年に広島大学大学院に入学しました。実はそれは2回目の日本留学でした。私は2003年に重慶大学を卒業し、それ以来ずっと長江師範大学で働いています。今までに19年になります。可愛いかったお嬢ちゃんがおばさんになる年頃です。その19年の間に、日本の草の根円借款、中国政府・大学の援助で日本に3回留学しました。最初は1年間の中央大学研修、次は2年間の広島大学修士課程、あとは3年間の同博士課程。大学セミナーハウス主催の留学生論文コンクールに参加したのは修士課程の段階でした。もう十何年も前のことですが、その時の緊張感・興奮感を昨日のように覚えています。日本で見たこと、経験したことを、なんらかの形で残したいと思ったので、大学セミナーハウスの論文コンクールに応募いたしました。
 正直に言うと、最初は自信がなかったのですが、孫先生から色々と教えていただき、あと日本の友人・先生からも励まされましたので、やはり挑戦したいと思って応募しました。その時どういう賞をいただいたのか忘れましたが、受賞したことよりも大学セミナーハウスの留学生コンクールに参加したことが、何よりも私の経験になりました。今振り返ってみても、この経験は私の人生に結構影響を及ぼしています。これをきっかけにして、自分の日本語の表現力や文章力が大きく向上したのはもちろん、それ以上に自己挑戦・自己認識への意識が著しく芽生えた気がします。博士課程を終えて長江師範大学に戻ってからも日本語教師として働き、現在大学生・日本語専門生に日本語や日本文化を教えています。今後も引き続き中日の架け橋として頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。

李 苑暻(リ ウォンギョン)〖韓国・2013年金賞〗
現在、上智大学グローバル教育センター特任助教

 私は2009年文部科学省の国費留学生として来日しましたが、博士課程に対する支援は3年という限りがありました。奨学金が終わった頃、学問的にも経済的にも自信を失っているところ、セミナーハウスの留学生論文コンクールに入賞し、大きな心の支えになりました。もう一つの達成は、来日した時には日本語があまりできない状況で、ひらがなを書く練習から始めた私が、日本語で説得力ある論文を書けるほど語学力が伸びたことです。それをきっかけに、日本で就職もしてみようという繋がりになってきました。
  現在は上智大学グローバル教育センターで、留学生だった私が留学生教育または日米関係を強化するプロジェクトなどの担当しています。これからも続けて日本で日米・又は日米韓の関係を強くするところに少しでも貢献していきたいと思っております。また何年前、上智大学の新任教員になった時、八王子セミナーハウスでの新任教員研修セミナーを行っているのを見てから、昔のことを思い出しました。これからもセミナーハウスと共に色々成長の機会を得たいと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

孫 迎依(ソン ゲイイ)〖中国・2014年銅賞〗
現在、中国・中国 浙(セッ)江省(コウショウ) 寧波(ネイハ)で働いている

 皆さんと比べると日本での留学の年数が随分と少ないと思います。私は2014年に交換留学生として東京外国語大学で1年間留学の経験をしたことがあります。その時間中にちょうど留学生学科にいて論文を書いているときに、セミナーハウスの論文コンクールがあるのを見つけまして応募してみようかと思いました。試しとして応募してみたのですがその後受賞したというメッセージをもらってすごく驚きましたが、嬉しかったです。それのお陰で卒業論文もその関係の論文を書きました。
 留学生の間に今まで経験したことのないことを沢山経験しました。例えば中国の大学生の間ではバイトをする方はそんなに多くはないと思います。日本の大学生の方は逆にバイトをしない方が少ないと思います。留学生の間に私もバイトの経験もできたらいいなと思い、日本の家庭の食堂でバイトをしたことがあります。それが私にとってすごくいい経験になると思いました。学校での授業以外にそのバイトの経験もいい経験になりました。なぜかというと、その店長がすごく優しくて、その当時は日本語がまだまだ上手ではなくて今もまだまだなのですけど、色々と日本文化のことも教えていただきました。
 私は2015年日本から帰国し大学を卒業してから、ほとんど日本語関連の仕事に携わってきました。今は中国・(セッ)江省(コウショウ) 寧波(ネイハ)というところで働いています。これからも日本の関係の仕事に携わっていきたいと思います。

李 根雨(リ グンウ)〖韓国・2014年銀賞〗
現在、一ツ橋大学社会科学高等研究院特任助教

 私の受賞作は、エチオピアのコーヒー産業についての論文で、私が修士課程中にエチオピアで行った家計調査の結果を踏まえて書いた論文でした。この論文を留学生論文コンクールに提出した後に、2回目の調査のため、私はエチオピアに渡航しました。その調査中にトラブルに巻き込まれて困っておりましたが、その時に受賞のお知らせをいただき、大変嬉しくて自信を持って現地調査を無事に済ますことができました。
 現在、私は研究職に勤めております。研究が思い通りに上手く行かず、落ち込んだりする日もあります。その度に留学生論文コンクールで入賞した思い出に勇気づけられております。この機会をお借りして、セミナーハウス様の留学生への多大なご支援に感謝を申し上げたいです。

張 桂安(チョウ ケイアン)〖中国香港・2015年銅賞〗
現在、地域おこし協力隊に入り岡山県西粟倉村に在住

 長野県信州大学に入学して大学院までいって合わせて6年間いましたけど、卒業して地域おこし協力隊で、岡山県西粟倉村にいます。地域おこし協力隊も3年目になります。
 自分は日本語の勉強より森林の勉強をしに日本に来ました。ですから申し訳ありませんけど、実はこのセミナーハウスの論文コンクールにいつ応募したのかもよく憶えていないのです。内容は確か森林について書いたと思いますが・・・。日本の感想というと、自分は森林に携わっているので森林に憧れてはすごく綺麗だと思っていてそれがきっかけで日本に来たわけですけど、知れば知るほど可能性と絶望感が一層深まった感じがします。日本の森林は今いろいろと課題を抱えています。所有者さんがいても材価が30年前と比べたら10分の1とか5分の1とかにしかならないので、植えても収入にならないから放置しようとなる。そうなると、簡単には自然に戻らないのです。間伐しないと細い木のままだし、台風が来たら一緒に倒れるとか環境問題が起こっているようです。ちなみに自分は、森林計測のほうをやっています。ドローンを飛ばしてそこにある資源、どれ位本数があるか、太さ、高さを測っています。こういうやり方で、日本の林業に貢献できれば良いと思っています。

寧 昊(ネイ コウ) 〖中国・2015年銀賞〗
現在、貿易関係メイカー勤務

 今は、中国の貿易と日本の貿易をやらせていただいておりますが、やはり、中国人の考え方と日本人の考え方の中に、要するに、今やっているのが営業ですから板挟みというか、中国と日本の真ん中にそのまま伝えてはいけない部分もあるのですけど、学んでいたことを生かして、今現在歩んでいるところであります。中々音声ではうまく伝えられないのですが、機会があったらコロナがいつ落ち着くかわかりませんが、出来たら皆さんと大学セミナーハウスに行って現地でしゃべりながらのほうがが伝わりやすいと思います。今でも仕事上で中国に出張できないので、みんなZoomでやっているのですが、現地でこれを指してこれですよと1秒で済むものが、なかなか説明できなくて、30分位ずっと説明してやっと理解できるという経験を日々しています。これからですが、大学セミナーハウスを是非訪問したいなと思います。

崔 洛元(チェ ナクウォン)〖韓国・2015年銀賞〗
現在、IT業界を学んでいます。

 当時の受賞論文は海洋ごみ処理についてだと思いますがなぜこんな論文を書いた理由は、大学生活やりながら色々な論文を見たんですけど自然に関する興味が多くて、私は日本で生活しているから、日本は海が大事だからそんな論文を書いたらいいのかなと思って研究して書きました。2年前に大学を卒業して就職しましたけど1年半前に退職して韓国に帰国しました。身体の調子が悪かったのでそれを直し、今は建築デザイナーとして仕事をしています。そろそろ日本に戻るつもりでしたが、コロナの影響でなかなか戻るのが難しく、日本に戻る前に日本でやりたいビジネスがあったので研究しながら準備しています。

銭 正枝(セン マサエ)〖中国・2016年銀賞〗
現在、京都大学大学院人間環境学研究科博士課程3年生

 2016年当時私は、まだ京都大学大学院人間環境学研究科修士1年生でした。当時私の論文の内容は、東アジアのお茶という文化を通じてどういう風に交流していくかをテーマとして書いたのですが、私の専攻の研究分野は、東アジアの思想史ということで、今も近代日本の19世紀末から20世紀の初期の日本の美意識と当時の思想と近代化に関する研究をしております。
 当時、修士課程の1年の後期でしたのでこらから就職をするかこれをテーマにして研究を続けるか悩んでいまして、当時の受賞はすごく励みになりましたので、自分の好きな研究をやっていきたいと思いました。今は博士課程に入って3年経ちましたが、研究はすごく孤独なことで、自分一人で書いたり批判されたり、また投稿してだめになったり皆さんも同じ経験をしていると思いますが、博士論文を書いていて、この時期において座談会をしようという連絡が来ましたので、是非皆さんと研究の話・生活の話をしたり、また当時の気持ちを思い出して研究を頑張っていこうと思いました。以上です。ありがとうございました。

Tommaso Barbetta(トマゾ・バルベッタ) 〖イタリア・2016年銅賞〗
現在、東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程

 当時コンクールに参加させていただいた時に、『アルゴリズム化社会における技術の道徳と自由について』というタイトルの論文をださせていただきました。アルゴリズム、機械学習やAI等、基本的にデジタル技術が我々の社会にどういう影響を与えているかを巡るものになっています。
 どうしてこのようなテーマについて書いたかというと、研究論文の執筆に使っていたソフトに大きな変化があったからです。当時はGoogle Docsという、グーグルの文書作成ソフトウェアを使っていたのです。ちょうどその頃、そのソフトの中で、新たなサービスが開始したのです。グーグルさんのAIが私の書いているものをリアルタイムで分析した上、それに対して勝手に「このように書き直した方がわかりやすい」、または「この論文も読んだ方がいい」といった指摘をしてくるようなサービスでした。
 そのソフトを使って、不思議に思ったことがあります。AIが文章を直してくれる時点で、論文を書いているのはもはや「私」なのでしょうか。それとも「私+機械」、つまりAIが一緒に書いてくれていると考えた方が適切なのでしょうか。そして、著作権や知的財産権の側面でも、そもそも論文自体は誰のものになっているのでしょうか。当時は、こういった疑問を持って、エッセーを書かせていただきました。
 機械やデジタルシステムが我々の思想や行動に大きな影響を与えてしまっているような時代になりました。我々が書いている論文の内容、我々の見ているメディアの内容、我々が持っている趣味等は、もはや、我々決めているのではなく、デジタルシステムによって決定されているのではないか、という気持ちになりました。2016年はこういった議論は一応されていたのですが、今ほど大きな問題として認識されていなかったです。今5年位経ったのですが、コロナでずっとパソコンの前で生活しているような時代になって、逆に私があの当時書いたことは、誰もが日常的に実感するし、当たり前のようになってきていると思います。
 これから、現在の研究活動の話になりますが、2016年に出させていただいたエッセーの内容は、今行っている研究の出発点だったと思います。只今はYouTubeの研究をやっています。YouTubeに多量のコンテンツがアップロードされています。どうして毎日動画を作って、投稿する人々がいるか、ご存知でしょうか。最大の理由は、お金がもらえるからです。広告収入が貰えるからこそ動画が作られます。しかし、報酬制度に関して、テレビや映画といった本来のメディアと徹底的に違う点があります。広告収入を決定するのはアルゴリズムです。
 YouTubeでは、アルゴリズムが報酬を決定します。従って、アルゴリズムが評価しやすいような動画を作った方が儲かります。そのため、YouTubeに動画を投稿するクリエイターたちは、アルゴリズムの評価基準を意識しながらコンテンツを制作します。そして、アルゴリズムには似たような動画ばかりを評価するバイアスがあります。そのバイアスによって、ユーチューバーたちとしては似たような動画を作った方が有利になります。
 しかし、ユーチューバーたちが似たような動画ばかりを投稿してしまうと、視聴者たちも似たようなばかりを見てしまいます。YouTubeのアルゴリズムのバイアスによって、視聴者たちが既に知っているようなもの、もしくは既に見たいものしか見えなくなってしまうという現象が起きます。
 私たちが既に信じているもの、または既に思っているものを反映したコンテンツしか見えなくなってしまうと、新たな思想と出会えなくなります。情報社会がこれから更に発展していく中、政治的な側面も含めてこれはもっと注目したほうが良いテーマだと感じたからこそ今の研究しています。

李 貞善(イ ジョンソン)〖韓国・2016年銀賞〗
現在、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程4年生

 私は元々韓国の高麗大学で日本語と日本文学を専攻しましたが、その後に韓国貿易協会の海外インターンや新聞社の海外通信員を経て、韓国の公企業で11年間かけてエネルギー関連の情報収集を含めて海外官僚を対象に国際協力業務と担当しました。しかしですね、時間が経つにつれて自分が子供の時アメリカで生活する経験あったのですけどそのような国際的な経験と十代のユネスコ部活の活動をより専門的に学術活動を通して生かしていきたいという、可能であれば日本で文化遺産に関する研究をしたいという志を持って日本に留学することになりました。それで自分が留学したのは2015年だったのですね、あの時文部科学省の国費留学生の、皆様よくご存じのように年齢制限があるのです、その最高齢者として選ばれて大変ありがたいことに6年間かけて文部科学省の国費留学生に、そして今年の4月以降は渥美国際交流財団の研究奨学生として、日本で文化遺産関連の研究を遂行しています。
 そして個人的には大学セミナーハウスが主催する論文コンクールに応募したのは修士1年の時だったのですね。2016年学校での日本語教室のお知らせを見て応募したのですけどあの時書いた論文が、ソーシャル・キャピタルとしてのレジリエンス、国際社会の好循環に向けた復元力の構築というテーマだったと思います。これで大変ありがたいことに銀賞を受賞しました。この論文は地球社会の課題を解決するためにはレジリアンス、回復弾力性という要素が様々な社会の危機を克服する国際社会での有効な社会資本キャピタルになるということを提案したものです。当時は全く想像できなかったのですが、やはり現在のコロナ禍の下において、あの時に書いた論文のテーマであるレジリアンスの重要性をつくづく実感するようになりました。
 その受賞した直後大学セミナーハウスのほうにご報告出来なかったのですが、やはり今日この場を借りて申し上げたいことがあります。実は当時自分が受賞した受賞金5万円だったと思いますがその受賞金を東京大学大学院の自分が所属している人文社会系研究科の日本語教室国際交流室に全額を寄付いたしました。それでそちらに関しまして(パンフレットに掲載されました)。大変ありがたいことに、大学セミナーハウスのお陰様で、日本で大変貴重な国際交流のための役割を果たすことに感謝申し上げたいと思います。
 そしてそれ以来、私は日本で続けて文化遺産の専門家として日本と韓国のそして国際社会の架け橋になりたいという夢をとても大切に育んでおります。そして現在は韓国の文化遺産である戦争遺産でもあるのですが国連記念公園をテーマとした博士論文の一環として海外アーカイブ資料の集積に取り組んでいます。最後に、やはり研究の成果を一般の人々と大学セミナーハウスを含めて国際社会に還元する学術活動を通して調和ある内の発展と多文化共生と理解に貢献できればと思って研究を行っています。
 今後も大学セミナーハウスでこういった自分の研究活動を通して恩返しできればと思っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

代 昱(ダイ ユウ)〖中国・2018年銀賞〗
現在、メディアに勤務

 自分は、論文コンクールにフェイクニュース(フェイクニュースに対抗するために)というテーマで論文を提出させていただいて受賞させていただいたのですが、応募のきっかけはフェイクニュースという問題に関心を持っていたからです。それは自分のとある経験から関心を持ち始めたのですけれども、私は中国出身で、当然親戚が中国にいるのですが、その親戚からたまに日本に関するニュースとか送られてくるのですね。その中に例えば、わずか一部の反日の人を利用して書いてある、いわゆるフェイクニュースが送られてくるのです。それは本当の事実と違って、たぶん親戚の人は私のことを心配して下さって色々送ってくださっていたのですが、情報が錯綜している時代だからこそ悪質なコンテンツが多いということを、自分の経験を持ってそういった課題があることを知りました。そこからフェイクニュースに関心を持ち始めて論文コンクールのことを知り、せっかくなら自分なりの研究成果を論文コンクールに出してみようと思い、応募させていただきました。ありがたいことに銀賞を受賞させていただきました。
 実はそのちょっと後に就職活動を始めました。就職活動もフェイクニュースを一つの軸として、良質のコンテンツを出しているところに就職したいと思って、メディアを中心に就職活動を進めてきました。その結果、今は新聞社に勤めております。論文コンクールで受賞させていただいたことは就職活動においても今の仕事領域においても励みになっていますし、今後の仕事においてもこれを励みに頑張っていきたいと思っております。簡単ですが以上です。よろしくお願いします。

Nina Habjan(ニーナ・ハビャン)〖スロベニア・2018年銅賞〗
現在、東京大学大学院 現代文芸論研究室博士課程・
スロベニア大使館勤務

 子供の頃から文学に大変興味を持っておりまして、高校生の頃からは日本の文学を読むのが大好きになリマした。そのため、スロベニアのリュブリャナ大学で比較文学科と日本研究科に入学しました。しかし、やはり日本の文学を研究するには日本に来たほうが良いと思い、東京大学の現代文芸論研究室の修士課程を目指し、進学できました。高校生の頃から文章を書くのが大変好きだったのですが、スロベニア語か英語で文章を書いており、日本語では来日するまで書いたことがなかったのです。その結果、修士論文の執筆で不安になり、思考が全てスロベニア語だったので自分の考えを表現できるかどうかわかりませんでした。そのため、文学とは関係ない環境問題についての論文コンクールに参加し、論文の執筆を挑戦してみました。それが大変良い経験になりまして、私の力にもなりました。修士論文もその一年後、無事に執筆できましたので大変感謝しております。現在は博士課程に進学しておりまして、20世紀を通して東ヨーロッパを訪れた日本の文学者・作家を研究しております。日本語での表現力・文章を執筆する能力などは元々自信が全くなかったのですが、現在は2018年に比べてかなり書けるようになっていると思いますので、2018年のコンクールに参加できて大変嬉しいです。
 現在は研究の他にスロベニア大使館にも勤めておりまして、日本とスロベニアの協力を様々なレベルの支えていると思いますので、それも大変嬉しく思います。スロベニア人ら見た日本とスロベニアの魅力を紹介する電子書籍を日本語、スロベニア語と英語で執筆できましたので、高校生の頃に望んでいたことつまり日本語で文章を書けるようになっていますので、私の支えになった論文コンクールの経験をとても大事にしております。

OH HANWOONG(オ ハヌン)〖韓国・2020年銅賞〗
現在、九州国際大学4年生。大分大学大学院への進学を目指して勉強中。

 そもそも私はサッカーで来日しまして、韓国で12歳からサッカーをしてきました。典型的なスポーツ選手です。2017年頃に日本のJリーグ選手を夢見て来日したのですが、当然エイジェントを介して来日しました。その当時、九州国際大学(私が今所属している)はサッカーが強いということで入りました。
 何故か私が入ってから弱くなりまして、そこでプロサッカー選手としての夢が破れて、全然見込めなくなりました。そこで途中で夢を切り替えて、当時は大学1年生だったのですが勉強・学問に着目しました。勉強とは全く関わりがない人間でした。今4年生で、学部で単位を取ったりし、日本語の勉強も頑張っています。
 論文に関しては、2019年にも応募したと思いますが落ちまして、去年2020年は2回目で、日頃から自分が問題意識として持ってきた、資本主義と幸福に関する論文(コロナ時代の資本主義下の新たな経済パラダイムと幸福の関わりについて)だったと思います。いま現在コロナで経済がガクンと落ちていまして、私が思いましたのは、韓国であれ日本であれ成長のための成長だったと、そういうことを目指すばっかりで、本当に苦しんでいる人の心を探ろうとせずに何となくお金だけ回せばいいのだというような政策が「主流思想」だったという印象を受けました。勿論これは素人の主観的な私の考えですが、とにかくそういった問題意識を持って資本主義と幸福に関することを論文に表しました。今は4年生なので卒業後には、地方労働に関する研究がしたくて、九州地方にある大分大学大学院に進学を目指しております。受かるかどうかはわからないのですが、一応頑張ってみます。そして今年も論文コンクールの大会があるようです。テーマを見たら再びグローバルイッシューを考えるでしたが、問題なのは私の頭の中ではネタが無くなりまして、今どうしようかというところでございます。とにかくまた頑張って応募させていただく予定でございます。ありがとうございました。

Zoomミーティング会場模様

【お問合わせ先】

公益財団法人 大学セミナーハウス
 セミナー事業部

 〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
 TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
 E-mail:iush-r@seminarhouse.or.jp
 URLhttps://iush.jp/