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貴ハウスの創立50周年を祝して。

創立50周年、おめでとうございます。
私が初めて貴ハウスで合宿したのは1980年木村尚三郎教授(西洋史)の全学ゼミナール学生としてでした。10年前からほぼ毎年学生10名前後を引率して合宿しています。

今回の50周年記念誌にというお誘いを頂き、我々の祖父母世代の1965年を振り返ってみます。彼らは1910年前後に生まれ、江戸時代生まれの老人たちが生きていた時代に成人した世代です。彼らのアジア・アメリカ・ヨーロッパでの1915年~1965年は、我々より遥かに困難な50年間でした。当時のオトナたちが現代社会の google、自動運転技術、代替エネルギー技術を眺めたとしたら? それらは道具の進歩であって、根本の人類の知恵や工夫については...「進歩しているのかな、わからんねえ」と言われそうですね。大学は大学で impact factor という世界標準尺度に追われがち。「人類は進歩している」と思い違いしていたかもしれません。

若者たちの21世紀は、人類の英知や努力のありかたについて謙虚に省みる時代であり、ボーダーレスで率直な話し合いは増々不可欠と思われます。貴ハウスが1965年という大混乱時代の有志飯田宗一郎さんらに発案され、有志らと産業界から寄付を受け、脈々と受け継がれてきたことは凄いことだと感じています。ボストンやハーグから来訪した研究者らに日本国内の1960年代を様々語ると「それは初めて聞きました、驚きました」と印象深い様子でした。

次の50年後の世界各地の孫たち世代に思いを馳せながら、増々のご活躍を期待しています!
電気通信大学(応用物理学)教授、千人会会員
上野 芳康