セミナー・イベント

古代史セミナー 第3回
~古田武彦先生を囲んで~ 筑紫(ちくし)時代-日本古代史の新区分「奈良時代以前」をめぐって-

実施報告

実施日 2006年11月11日(土)から12日(日)
会場 大学セミナーハウス(東京都八王子市下柚木1987-1)
主催 財団法人大学セミナーハウス
参加状況 参加者 65名

趣旨文

日本の古代史学は転機に立つ。「七〇一」以前は「筑紫時代」である。たとえば、七世紀の太宰府には紫辰殿があった。しかし飛鳥には大極殿はなかった。浄御原宮・藤原宮、いずれも現地伝承はない。「紙に描かれた」大極殿だけ。なぜ、稗田阿礼は三十年も、その「誦習」が記録されなかったのか。「天皇陵」「不改の常典」問題も、新しい光の中に。九州王朝の木簡・木柱を発見。そして「国引き神話」の新理論。すべては徹底討論へ。 
私達は学校で歴史の時間に、大和時代、飛鳥時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、江戸時代、・・・、などの時代区分を教わった。これらの時代呼称は何れも、我が国の統一政権の所在地を表わしていると説明された。しかし、大和時代や飛鳥時代には、日本列島にはまだ大和中心の統一政権は「なかった」のではないだろうか。
見方を変えて、時代名に国際的に日本列島を代表する中枢政権の所在地名を冠し、筑紫時代、奈良時代、・・・、とする方が自然ではないだろうか。何故ならば、日本列島に「大和中心の統一政権」が出来る以前から筑紫中心の「国際交流」は活発であったと思われるからである。今年もまた、古田先生を囲むセミナーで、日本古代史を論理的・科学的に解明する方法を学び、目から鱗を落として、歴史学の新たな地平に立ってみませんか。(募集要項から)

実施報告

本セミナーでは、次の四つのテーマが取り上げられました。

1.日本古代史の新区分
   「筑紫時代」の成立-黒曜石の新理論(北門の二国と出雲。「国引き」の原型) -
2.「筑紫時代」の第一史料と歴史展開
   木簡と木柱の画期的出現-倭国最後の王者「サチヤマ」の歴史的意義-
3.近畿地方への曙光
   「継体と武烈との間」「天皇陵」「不改の常典」-そして。
4.「筑紫時代」前後の諸問題-教科書と真実-

恒例となった公開セミナー「古田武彦先生を囲んで」

参加の皆様は先生のご講演を一言も聞き漏らすまいと熱心にメモを取られ、質疑も引きを切らずに続き、コーヒーブレイクの時間も惜しんで、先生を囲んでおられました。

新しい発見に興奮したり、古田武彦先生の学問と人となりを間近に感じる、熱気にあふれた二日間となりました。

参加者の声(公開セミナーアンケートより)

・「史記」が崑崙山の高さ、「漢書」が日の没する処、そして「三国志魏志倭人伝」が日出ずる処の里程を探るということが記述の目的だというとらえ方に感動しました。先生のとらえ方は日々新しく、さえわたっていると。
・先生のお話が次から次へと広がっていくので、その豊かさに驚き、頭の中の霧が晴れた感じです。
・今年で三回目の参加になります。このセミナーが終ると今年も終わりだなという気持ちがして自分にとって季節の行事になりました。来年も古田先生に会えるのを楽しみにしています。