セミナー・イベント

第10回 EUセミナー
「ウクライナ危機とEU統合」

実施報告

期日 2022年10月28日(金)~30日(日)
会場 大学セミナーハウス
主催 公益財団法人大学セミナーハウス
後援 駐日欧州連合代表部

参加状況 11校 45名 社会人1名 合計46名

立教大学(10名)、帝京大学(12名)、青山学院大学(4名)、日本大学(12名)
一橋大学、早稲田大学、中央大学、法政大学、東洋英和女学院大学、学習院大学、常磐大学(各1名)
社会人(1名)

開催趣旨

本年2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻した。8年前のロシアのクリミア併合に続くロシアの国際法を踏みにじる暴挙だった。戦争の行方は依然としてわからないが(5月31日現在)、この戦争は回避できなかったのか。果たして平和は取り戻せるのか。
EUは昨年来様々な形でロシア・ウクライナ間の調停に尽力したが、成功しなかった。戦争開始後もEU議長国としてマクロン大統領は奔走したが、解決は容易ではない。経済制裁や共通防衛政策の有効性、NATOとEUの防衛面での役割分担、天然ガスをはじめとする資源エネルギー問題への対応など難問山積だ。EUの対ウクライナ危機政策を議論する。
(企画委員長渡邊啓貴 )

開会式  10/28

大学セミナーハウス鈴木康司館長挨拶

大学セミナーハウス鈴木康司館長挨拶

鈴木館長挨拶全文
ご参加の皆さん今晩は、当セミナーハウスにようこそおいでくださいました。コロナ禍の中、昨年はオンラインによる開催でしたが、今年は今ちょうど小康状態に入っているようですので、委員長の渡辺啓貴(ひろたか)先生はじめ講師の方々の熱意にお答えする形で、対面によるセミナーに踏み切ることができました。もとより講堂をはじめ、宿泊施設、食堂など当方としては万全の換気設備を備えたうえ、建物の外では東京でも最も安全な場所として定評のあるこの野猿峠の頂上のスペースを皆さんに提供することができました。滞在中は秋の自然を楽しみながらセミナーに励んでいただきたいと存じます。
今年は2月に始まったロシアというよりプーチン大統領とその取り巻きによるウクライナ侵略によってEUとNATOによる対ロシアア政策は激変しました。21世紀も20年を過ぎている時期とは思えない蛮行をあえて始めたプーチンの真意はどこにあるのか、17世紀末から18世紀にかけて侵略政策で領土を広げたピョートル大帝に自身をなぞらえていると伝えられるプーチンがロシア国民の目と耳をふさぐ政策を強行しつつ自国民には正義の戦いと位置付けて始めたこの戦争は彼の思惑とは違ってアメリカやEU諸国というよりNATO加盟国による猛烈な反発を招きいつ終わるともわからない状況が続いております。EUとNATOはもとより別組織とはいえ、EUが政治的連帯を掲げ、NATOが軍事同盟であり、双方に加盟している国が非常に多く重なっていることはよく知られています。それだけにEUにとっても軍事のみならず、経済、社会に大きな影響が起きているのはとうぜんでありましょう。簡単な例をあげるだけでもロシアからドイツに至る海底天然ガスパイプラインのノルドストリームの破壊による混乱、これに対抗すると言われているノルウェーからデンマークやヨーロッパ向けのノルディックパイプが果たしてどうなのか、またイタリアの総選挙では右翼政党「イタリア第一党」のメロー二党首が新首相に選ばれるとのことですがこの影響はEUの結束に影響はないのか、わからないことだらけであります。今回は9人の講師の先生方プラスEU代表部ハイツェ・ジーメルス公使の特別講演も予定されております。どうぞ皆さんじっくりと腰を据えてこの難しい状況を先生方がどのように解説してくださるか、参加してよかったと心から思える収穫を得てお帰りくださることを我々主催者として期待しております。ありがとうございました。
 

【パネルディスカッション】 10/28

パネルディスカッションの様子

企画委員長の渡邊先生からセミナーの開催趣旨説明があり、続いて渡邊先生をモデレーター として8人の講師によるパネルディスカッションに入った。
各講師の専門分野を踏まえた独自のアプローチでEUの現状およびウクライナ危機の背景と今後について語っていただき、各分科会討議に移行するにあたっての論点整理となった。

田中素香先生

太田瑞希子先生

蓮見雄先生

中西優美子先生

福田耕治先生

武田健先生

押村高先生

渡邊啓貴先生

【特別講演】10/29

テーマ 日・EU関係~激動する時代の戦略的パートナーシップ~
講演者 講演者:欧州連合駐日代表部公使 / 副代表:ハイツェ・ジーメルス
(Mr. Haitze Siemers Minister, Deputy Head of the Delegation)
通訳 鬼頭真理

駐日EU代表部公使・副代表 
ハイツェ・ジーメルス氏

 講演では次の3つのトピックスについて詳細な説明とEUとしての取り組みについてお話しいただきました。
【変化する世界における課題】
 日本のような志を同じくするパートナーとともに直面しなければならないグローバルな課題としては気候変動、高齢化、サイバーセキュリティ、貧困と社会的包摂、パンデミック、移民などがある。
【グローバルアクターとしてのEU】
 EUが発足以来抱いてきた理想と目的には、平和、安定、人権の尊重、民主主義、法の支配などがあり、これらの理想をEU内だけでなく世界中で促進・維持するために、グローバルな舞台でますます行動するようになってきている。
 ウクライナ危機、環境保護、COVID-19 パンデミック等においてもグローバルアクターとしての役割を果たすべく行動している。
【EUと日本】
 EUと日本は、民主主義と人権の尊重、法の支配、国際協力の精神、ルールに基づく国際秩序の維持といった重要な価値と利益を共有するパートナーである。
 貿易と経済安全保障の点でいうと、日・EUは、安全保障の必要性と、開かれたルールに基づく貿易秩序の維持の必要性との間で適切なバランスをとるという課題を共有している。

左からジーメルス氏、
通訳の鬼頭さん、渡邊先生

参加者に配られた        
欧州旗・日本国旗のピンバッジ

【分科会討論】10/28~30

EUセミナーは毎回各分科会の講師の先生から事前課題と参考資料が示され、参加者がセミナー開催までに資料を調べ、課題を考えたうえでセミナーに参加します。今年は次の四つの分科会に分けて、それぞれ3日間 5回にわたって討議を展開しました。
 

第1分科会

テーマ

ウクライナ危機とEU経済政策

指導講師

田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員、東北大学名誉教授)

太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授)

第1分科会討論模様

主旨: 「ヨーロッパの不戦」を誓ってスタートしたEU統合は深化と拡大を遂げるとともに、75年間の不戦を実現したが、ロシアはヨーロッパを戦争に巻き込んだ。EUは経済制裁を発動し、エネルギーの「脱ロシア」を目指す。石炭輸入は中止、石油の輸入差し止めは年内を、天然ガスは27年を目指す。だが、制裁には反作用が伴う。エネルギー価格の高騰とインフレ激化を招き、経済へのダメージが懸念される。EU・ユーロ圏・EU加盟国のマクロ経済政策(財政・金融政策)は正念場を迎えている。石油価格高騰によりロシアの税収は増えている。第1分科会では、ウクライナ戦争をめぐるEUの制裁、EU経済と経済政策について議論する。

第2分科会

テーマ
ウクライナ危機とエネルギー環境政策(脱ロシア)
指導講師
蓮見 雄先生(立教大学経済学部教授)
中西優美子先生(一橋大学大学院法学研究科教授)

第2分科会討論模様

主旨:EUは、2050年気候中立を目指し、環境政策とエネルギー政策を統合し、それを中心に据えた成長戦略=欧州グリーンディールを進めている。それでも、EUにとってロシアは、半世紀にわたり石油や天然ガスなど化石燃料の安定的な供給国であった。ところが、ロシアは自らの行動によってその信頼を失い、EUは早ければ2027年に脱ロシア依存を達成すべく「REPowerEU」という新たな政策を打ち出した。しかし、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの発展は、関連する金属鉱物資源や技術などの新たな輸入依存リスクを伴っている。そこで、第2分科会では、脱炭素化=脱ロシアを目指すEUの政策と課題について議論する。

第3分科会

テーマ

EUの共通防衛政策と東方拡大

指導講師

押村高先生(青山学院大学国際政治経済学部教授)

渡邊 啓貴先生(帝京大学法学部教授、東京外国語大学名誉教授)

第3分科会討論模様

主旨: ヨーロッパ諸国の領土的安全保障はNATOが担うのに対して、EUはリスボン条約で共通安全保障・防衛政策を規定し、主に平和維持活動に専念してきた。PESCOと呼ばれる常設構造化計画をはじめとする様々な取り組みが2017年頃から本格的に始まって来た。ウクライナ戦争の勃発で改めてEUの共通防衛政策についての必要性が議論されている。EUはどこまで軍事部門での共同歩調を進められるのか、その行方について議論してみたい。他方、ウクライナ、モルドバ、ジョージアの3カ国はEUへの加盟申請を提出したが、EU加盟へのハードルは高い。EUの更なる東方拡大は可能なのか、検討してみよう。

第4分科会

テーマ ウクライナ難民問題における欧州の分断と連帯(難民支援)
指導講師 福田 耕治先生(早稲田大学政治経済学術院教授)
武田 健先生(青山学院大学国際政治経済学部准教授) 

第4分科会討論模様

主旨: この危機では、多くの人の命や生活が奪われている。2022年5月上旬の時点で、ウクライナの国内避難民は750万人以上、国外に避難したのは600万人以上だと推測されている。EUと欧州諸国はウクライナの人たちに連帯を示すべく、食料、医療、シェルターなどの人道的支援を始めた。EU内に避難してきた人たちには最大2年間の滞在を認める一時的保護の措置もとっている。第4分科会では、危機に瀕した人々に対し、EUとEU諸国はこれまでにどのような支援を行ってきたか、その諸政策を把握する。これを踏まえ、今後、どのような支援がさらに求められているのかを検討し、議論したい。

【分科会中間報告会】10/29

第1分科会中間報告

第2分科会中間報告

第3分科会中間報告

第4分科会中間報告

【分科会最終報告会】10/30

中間報告会、最終報告会の司会、タイムキーパー、マイク係は各分科会から選出された学生幹事が交代で担当してくれました。

第1分科会最終報告

第2分科会最終報告

第3分科会最終報告

第4分科会最終報告

会場あるいは講師からの質問に答える学生たち

最終発表会の様子

各分科会の発表を聞いて 
質問あるいは講評を行う講師の方々

活発な質疑応答が展開された

【昼食会】10/29

昼食 
ダイニングホールやまゆりにて

駐日欧州連合代表部公使ジーメルスさんを囲んで昼食

中西先生を囲んで昼食

青空の元、武田先生とテラス席で

ダイニングホールやまゆりのテラス席
で太田先生を囲んで

押村先生を囲んで昼食

【参加者懇親会】 10/29

参加者懇親会 多目的ホールにて

緊張もほぐれてあちこちに交流の輪が

【特別講演後の記念写真】 10/29

特別講演後の集合写真  ようこそ広場にて撮影

【出席証明書交付】10/30

閉会式では第10回EUセミナー出席証明書が参加者全員に配られました。
参加者の皆さんはそれぞれの分科会講師を囲み、出席証明書を手に記念写真を撮影しました。

第1分科会

第2分科会

第3分科会

第4分科会

【参加者アンケート】

参加者の皆さん、アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
皆さんからいただいたご意見ご評価を参考に、より良いセミナーが開催できるよう努めてまいります。

【EUセミナー企画委員】

<委員長>
渡邊 啓貴(帝京大学法学部教授・東京外国語大学大学院名誉教授)
<委員>
太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授)
押村 高(青山学院大学国際政治経済学部教授)
小久保 康之(東洋英和女学院大学国際社会学部長教授)
武田 健(青山学院大学国際政治経済学部准教授)
田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員・東北大学名誉教授)
中西 優美子(一橋大学大学院法学研究科教授)
蓮見 雄(立教大学経済学部教授)
福田 耕治(早稲田大学政治経済学術院教授)

お問い合わせ

公益財団法人 大学セミナーハウス セミナー事業部
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/