セミナー・イベント

出会いの丘学長懇談会2025

大学セミナーハウスでは、昨年度に引き続き全国の大学学長を対象とした『出会いの丘学長懇談会2025』を11月28、29日の2日間に亘って開催しました。“本音で語り本気で動く”という本会の主旨通り終始活発に話し合いがされ、大変熱のこもった会となりました。
以下に詳細をご報告いたします。

実施報告

テーマ:大学経営の現状と課題 ~本音で語り本気で動く

  主 催:公益財団法人大学セミナーハウス
  日 時:2025 年 11 月 28 日(金)~11 月 29 日(土) 1泊2日
  会 場:大学セミナーハウス(東京都八王子市下柚木1987-1)
  参加者:19名 ※13大学(学長、副学長、理事長、事務局長、等)、4団体(理事、アドバイザー、編集長、編集委員)

【開会挨拶・開催趣旨】白井克彦 実行委員長

開会の挨拶をする 白井克彦 実行委員長

 近年の急速な社会環境の変化に伴い、大学界には多くの課題が山積しております。とりわけ、若者人口の急激な減少の中で、定員割れに苦慮する大学・短大が急増し、近年目立ち始めた募集停止のニュースは、危機が足下に迫っていることを意味するものです。改革を促す政府の検討も急ピッチで進んでいるようです。他方、大学には教育・研究活動を通じた社会貢献という根本的使命があり、これを疎かにすることはできません。大学はこれまで以上に柔軟かつ迅速な動きが求められているのです。
 このような状況を踏まえ、大学の学⾧を対象に、現状の課題を、これまでの大学改革論議に必ずしも囚われずに本音で議論し合い、実効性ある解決策を模索する場として大学セミナーハウス「出会いの丘」での「学⾧懇談会」を昨年11 月に企画し実施しましたところ、大変な好評をいただきました。これを受けて、今年度はこれをさらに改良し、下記のような企画で実施することといたしました。「出会いの丘学⾧懇談会2025」では、経営問題、政策課題、教学運営などの広範な分野の中から、今回も学生募集に焦点を当て、大学経営の現状と課題について深く議論いたします。基調講演とパネルディスカッション、そして参加者間の積極的な意見交換を通じて、各大学の発展に寄与する実りある議論の場となることを目指しております。
(実行委員長 白井 克彦)

【講演Ⅰ】建学の精神を未来につなぐ
     北里大学学長 砂塚 敏明(SUNAZUKA Toshiaki)

砂塚 敏明先生

北里大学は、学祖北里柴三郎博士から私立大学で唯一のノーベル賞授賞者である大村智特別栄誉教授へと引き継がれた「学統」を次世代へ継承する使命があります。9学部8研究科2併設校を有する生命科学の総合大学として、今まさに人類が直面している未知の課題の解明に挑むためには、知の融合が不可欠です。本講演では、時代が求める分野として北里大学が今年度新設した「グリーン環境創成科学科」設置の背景と構想を交えながら、「人の役に立つ実学」を継承するための人材育成と、「横串を刺す」学長主導の取組についてご紹介します。
 
講演者プロフィール
1988年北里大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。1988年ペンシルバニア大学化学科博士研究員、2020年大村智記念研究所所長・大学院感染制御科学府学府長を経て、2024年7月より現職。主な研究分野は、微生物由来の生物活性天然物の発見、有機合成化学研究や創薬研究。大村智博士の一番弟子として2015年ノーベル生理学、医学賞授賞式にも同行、大村創薬グループで天然物の無尽蔵の可能性を引き出す研究を行っている。2020年北里柴三郎記念賞、2021年日本薬学会賞、2024年日本農薬学会賞を受賞。

砂塚敏明先生 講演風景

質疑応答

【講演Ⅱ】建学の精神と学生募集のはざまで
     仙台白百合女子大学 学長 加藤 美紀(KATO Miki)

加藤 美紀先生

急速な少子化を背景に、文部科学省は国公私立の別なく大学に対して、再編・統合、縮小、撤退を要請している(2024年度文部科学白書)。18歳人口はこの先約20年で全大学の入学定員総数の7割を下回ることが見込まれ、第二の人口減少期を迎える2027年までに改革した大学しか生き残れないともいわれる。地方小規模単科の私立女子大学である本学は、学生募集に非常に苦慮しているが、それでも撤退ではなく、2027年度から男女共学の大学に舵を切ることを決断した。建学の精神へのこだわりがその理由の中核にあったが、では、共学の大学になれば学生募集は改善できるのか。変わらないもののために変わろうとする仙台白百合の挑戦についてご紹介します。
 
講演者プロフィール
上智大学外国語学部卒業後、JETRO(ジェトロ)総合職勤務を経て修道会入会後、仙台白百合女子大学人間学部専任講師に着任。准教授、カトリック研究所所長を経て、グローバル・スタディーズ学科教授。東北大学大学院博士前期課程修了。上智大学大学院博士後期課程修了。博士(教育学)。日本カトリック大学連盟研究奨励賞受賞。日本カトリック教育学会賞受賞。日本カトリック教育学会全国理事。大学基準協会評議員等。単著『〈生きる意味〉の教育』、『アンジェラスの鐘―希望への招き』。編著『いのちと霊性』、『東北キリシタン探訪』など。

加藤美紀先生 講演風景

質疑応答

【講演Ⅲ】追手門学院大学「第二の開学」とこれからの高等教育
     追手門学院大学 学長 真銅 正宏(SHINDO Masahiro)

真銅 正宏先生

追手門学院大学では2018年に「長期構想2040」を策定し「文理にまたがる学問領域を担う総合大学としての地位を確立」することを目標に掲げました。この目標の実現に向け、2025年4月に本学初の理系学部となる理工学部を設置しました。また、学部の開設に留まらず、多様化する教員・学生による文理を超えた教育・研究を支えるキャンパス整備や、教育の高度化を目指した教育DXの推進をおこなってきました。 これらの 近年の本学の取り組みについてご紹介させていただきます。
 
講演者プロフィール
1962年、大阪府生まれ。'92神⼾⼤学⼤学院⽂化学研究科博⼠課程単位取得退学。'16博士(文学)(神⼾⼤学)。 徳島大学総合科学部助教授、同志社大学文学部教授を経て、'15追手門学院大学国際教養学部教授。副学⻑、学⻑代理を経て、'20より現職。主な著書に『小説の方法』『触感の文学史』『匂いと香りの文学誌』『言伝(ことづて) 2020年学⻑は学⽣に何を伝えたのか』『異界往還小説考』など。専門は日本近現代文学。

真銅 正宏先生 講演模様

質疑応答

【学長懇談会トークセッション】

 本懇談会は、2日間にわたって3名の講師によるご講演を拝聴し、講演後には山本眞一先生をファシリテーターとしてトークセッションを実施いたしました。本セッションには、学長、理事長、副学長、事務局長に加え、他の法人理事、メディアの編集者、懇談会の実行委員が参加。コンセプトである「本音」の意見が活発に交わされました。

参加大学は、地域、収容定員、学部構成、その他(共学、女子大など)において多様な特性を持ち、それぞれが抱える課題や解決に向けたアプローチも大きく異なります。この多様性を活かすため、トークセッションは以下の構成で実施され、グループディスカッションでの自由闊達な意見交換は参加者から高い評価を得ました。

【初日:類似大学間の課題共有】
初日は、収容定員や学部構成が近い大学同士でグループを編成し、セッションを行いました。
議論の焦点: 大学の経営状況や財政課題への対応策が中心的に共有されました。
具体的なテーマ:
◆学生の意見を取り入れる具体的な方法
◆研究部門の統合に関する議論
◆教育体制の改善と外部との連携の重要性
◆大学の共学化に関する議論、特にカトリック大学における普遍性と多様性への配慮の重要性


【2日目:クロスセクションでの意見交換】
2日目は、初日とは異なるメンバーでグループを組み直し、より幅広い視点からの意見交換を促しました。
議論の焦点: 大学の運営全般から教育プログラムの革新に至るまで、幅広いテーマが議論されました。
具体的なテーマと報告:
◆LMS導入からAIアカデミックアドバイザーの実装に至るデジタル教育の革新への取り組み
◆教職員の協力体制強化と外部機関との連携
◆大学のレベル向上と留学生受け入れ政策
◆AI技術の活用方法についての活発な意見交換

【 全体を通しての総括】
参加者は各講演に熱心に聞き入り、その後の自由闊達で制限のないグループディスカッションにより多様な課題が浮き彫りになりました。所属や特性が異なる大学経営層が一堂に会し、「本音」で課題と展望を共有したことは、今後の大学運営における重要な示唆を与える場となりました。特に、トークセッションにおける率直な意見交換の場の提供は、本懇談会の大きな成果の一つとして位置づけられます。

グループ別トークセッションの様子

【パネルディスカッション/全体ミーティング】

実行委員の山本眞一先生をモデレーターに、講演Ⅲの真銅正宏先生および共愛学園前橋国際大学 学長 大森昭生先生、関西国際大学 学長 濱名篤先生にパネリストとして加わっていただき、パネルディスカッションを行いました。
パネリスト:共愛学園前橋国際大学 学長 大森 昭生(OMORI Akio)

 1996年に学校法人共愛学園に入職、共愛学園前橋国際大学国際社会学部長、副学長等を経て、2016年より学長。2025年より共愛学園副理事長も兼務。文部科学省や内閣官房など政府の各種委員のほか、中央教育審議会大学分科会、同高等教育の在り方に関する特別部会(副部会長)、文科省地域大学に関する有識者会議(座長)をはじめ各種委員を歴任。地域では群馬県青少年健全育成審議会会長、群馬県教育振興基本計画策定談会座長、県都まえばし創生本部有識者会議座長等各種公的委員を多数務める。群馬県総合表彰(男女共同参画分野)、群馬県男女共同参画社会づくり功労者表彰。全国の学長が注目する学長ランキング4年連続1位(『大学ランキング』)
パネリスト:追手門学院大学 学長 真銅 正宏(SHINDO Masahiro)

 1962年、大阪府生まれ。'92神⼾⼤学⼤学院⽂化学研究科博⼠課程単位取得退学。'16博士(文学)(神⼾⼤学)。 徳島大学総合科学部助教授、同志社大学文学部教授を経て、'15追手門学院大学国際教養学部教授。副学⻑、学⻑代理を経て、'20より現職。主な著書に『小説の方法』『触感の文学史』『匂いと香りの文学誌』『言伝(ことづて) 2020年学⻑は学⽣に何を伝えたのか』『異界往還小説考』など。専門は日本近現代文学。
パネリスト:関西国際大学 学長 濱名 篤(HAMANA Atsushi)

 専門分野は高等教育論、教育社会学。博士(社会学)上智大学。2005年より文部科学省大学設置・学校法人審議会(大学設置分科会)特別委員、中央教育審議会臨時委員を務め、現在は学校法人運営調査委員。その他、(一社)学修評価・教育開発協議会理事長、(一社)大学都市神戸産官学プラットフォーム監事、(一社)大学コンソーシアムひょうご神戸理事、国際大学間の未来ネットワーク副会長を兼務。一般社団法人大学教育学会理事、日本高等教育学会副会長。(2025/06/01現在)
モデレーター:山本 眞一(YAMAMOTO Shinichi)

 1949 年生まれ。博士(教育学)。筑波大学・広島大学・桜美林大学名誉教授。専門は高等教育システム論。1972 年東京大学法学部卒業、文部省(当時)勤務を経て、1992 年筑波大学助教授、1996 年同教授。2006 年広島大学教授、2007年同高等教育研究開発センター長、2012 年桜美林大学大学院教授、2019 年同定年退職。著書に、『激動の高等教育』(上・下)(ジアース教育新社)、『大学事務職員のための高等教育システム論』(東信堂)などがある。

パネルディスカッションの模様1

パネルディスカッションの模様2

【懇親会】

懇談会初日の夜は、会場を「DiningHallやまゆり」に移し、立食パーティー形式で懇親会を開催いたしました。
大学セミナーハウスの荻上紘一理事長による歓迎の挨拶で幕を開けた懇親会では、ご参加の皆様、ご講演の先生方、そして実行委員が、グループディスカッションでの活発な情報交換と熱のこもった議論の勢いそのままに、自由闊達な雰囲気の中で語り合いました。
また、立食パーティー終了後も、多くの方が会場を移して設けられた懇談の場にご参加くださり、時間を忘れてさらに本音での対話が続けられました。
参加者間の親睦が深まり、実り多い交流が実現した、大変充実したひとときとなりました。

【集合写真】

【閉会式】

閉会挨拶 荻上理事長

2日間にわたり実施された全プログラムが終了し、最後に主催法人代表である荻上紘一理事長より、ご参加の皆様、並びにご講演・パネリストとしてご協力いただいた先生方へ謝辞が述べられ、閉会となりました。

【参加者アンケート紹介】

参加者の方から感想とご意見をいただきました。今後の参考とさせていただきます。アンケートにご回答いただきました中から、一部をご紹介させていただきます。

講演について
・特に追手門学院大学の超先進事例、パネルディスカッションは、大いに勉強になりました。ありがとうございました。

・真銅先生は理工学部の一部学科では募集が苦戦していることなど、ネガティブ情報も含めて率直にお話しくださり、非常に参考になりました。AIアカデミックアドバイザーの取り組みも興味深く、来年もお話を伺いたいくらいです。パネルディスカッションも勉強になりましたが、政策やマクロ次元の話に偏ってしまったかもしれません。ご参加の先生方は、具体的実務的な事柄について知恵を求めたい趣もあったのではないでしょうか。時間が長く取られていて、フロアからの質問にしっかりお答えをいただけたのは懇談会らしくて良かったと感じます

・同じキリスト教系の大学で、女子大から共学になった経緯も含めて参考になった。また、本学は留学生が多いため、関西国際大学の濵名先生のお話が大変参考になった。

・学長のリーダーシップや募集の厳しさについてのお話がとても参考になりました。


・各講演およびパネルディスカッションともに、参考になる点が多々あり、有意義でした。砂塚先生のご講演では、研究に体制をいかに作り上げるか、また学部間の協力の仕方が参考となりました。また一人も見捨てない教育ということで、実際に1-2年生に声がけをして、問題となる前に学生を支援する姿勢と体制を構築されており、取り入れたいと考えます。加藤先生のご講演では、学生がステークホルダーであり、学生にいかにして共学化を説明するかのタイミングと姿勢は、学長としての心得を示されたと感じました。真銅先生のご講演では、文系の大学にいかにして理系学部を設けたか、またキャンパスで学部の区切りが生じないよう、各学部の教室や研究室を混合して配置するという工夫をしておられ、大学としての一体感を醸し出すことは非常に重要と思いました。

懇親会について
・他大学の先生方とざっくばらんに話すことができました。
・学長の皆様と本音でいろいろ話せて、学びになりました。
・席を決めず、自由に話ができる雰囲気であり、参加の方々と本音で話し合えてよかったと思います。


出会いの丘学長懇談会 全体について
・本音で語れる良い機会だと思います。
・先生方の忌憚なきご意見を伺うことができ、このような貴重な場を設けていただいたことに感謝いたします。
・また、来年もお声がけ頂ければありがたく存じます。

・講演でもディスカッションでもご講演の先生方も普段の会議では話されないようなことも、学長だけの集まりということで、お互いの苦労を理解できることが本音を引き出してくれていると思います。このような学長だけの集まりは非常に重要だと考えます。
 

【プログラム】

■ 1日目 11月28日(金)
時 間 内 容
13:00~13:20 受付
13:20~13:30 開会式・主旨説明(白井克彦実行委員長)
13:30~14:20 講演Ⅰ(北里大学 学長 砂塚 敏明先生)
14:20~15:40 質疑応答/トークセッションⅠ
15:40~15:50 大学セミナーハウス紹介映像放映
15:50~16:00 <休憩>
16:00~16:50 講演Ⅱ(仙台白百合女子大学 学長 加藤 美紀先生)
16:50~18:10 質疑応答/トークセッションⅡ               
18:10~18:15 <写真撮影>
18:15~18:30 <移動>
18:30~21:30 夕食(懇親会) 歓迎の挨拶(荻上理事長)
■ 2日目 11月29日(土)
時 間 内 容
07:30~09:00 <朝食>
9:30~10:20 講演Ⅲ(追手門学院大学 学長 真銅 正宏先生)
10:20~12:00 質疑応答/トークセッションⅢ
12:00~13:00 <昼食>
13:00~15:50 パネルディスカッション/全体ミーティング
パネリスト
 共愛学園前橋国際大学 学長 大森 昭生
 追手門学院大学 学長 真銅 正宏
 関西国際大学 学長 濱名 篤
モデレーター
  山本 眞一
15:50~16:00 閉会式・閉会挨拶(荻上理事長)

「出会いの丘学長懇談会2025」ショートムービー

左の写真をクリックして
ショートムービー(33秒)をご覧ください。

【実行委員会】

 委員長 白井 克彦 当法人常務理事、元早稲田大学総長
 委 員 荻上 紘一 当法人理事長、元東京都立大学総長
     山本 眞一 当法人常務理事、筑波大学・広島大学・桜美林大学名誉教授
     鈴木 将史 当法人理事、創価大学前学長
     外村 幸雄 当法人専務理事・事務局長

ご支援の御礼

『出会いの丘学長懇談会2025』へのご支援、誠にありがとうございました。
本懇談会は、皆様の温かいご支援のおかげで、盛況のうちに幕を閉じることができました。
つきましてはご支援を賜りました皆様に、改めて感謝の意を表しますとともに、ご芳名を掲載させていただきます。
今後とも、当法人の活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

「出会いの丘学長懇談会2025」寄付者一覧(順不同)
 ・櫻田 守 様
 ・株式会社内田洋行 代表取締役 大久保 昇 様
 ・株式会社デジタルナレッジ 代表取締役 はが 弘明 様
 ・甲田 一也 様
                              以上
 

お問い合わせ

公益財団法人 大学セミナーハウス・総合戦略室
 TEL:042-670-2731(直)FAX:042-676-1220(代)
 E-mail:comp1965.f@seminarhouse.or.jp
 URL:https://iush.jp/
 〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1

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