セミナー・イベント

第35回大学職員セミナー
大学職員の可能性を広げよう――大学のグローバル化を牽引する職員を目指して(第1回)――

実施報告

期間 平成29年7月14日(土)
場所 法政大学・市ヶ谷キャンパス
主催 公益財団法人大学セミナーハウス
協賛 公益社団法人学術・文化・産業ネットワーク多摩

参加状況 : 38名(24校)

中央大学(4)、首都大学東京・淑徳大学(各3)、工学院大学・日本女子大学・法政大学・同志社大学・北里大学・東京大学(各2)、駒澤大学・青山学院大学・立正大学・帝京大学・学習院大学・ ノートルダム清心女子大学・フェリス女学院大学 ・愛知淑徳大学・杏林大学・駿河台大学・摂南大学・大手前大学・明治大学・立命館大学・山梨大学、(各1)、その他(1)
(順不同)

趣旨

 近年、日本の大学にはグローバル化の波が急速に押し寄せています。産業界からのグローバル人材“育成”の要請、文部科学省による大学グローバル化事業の推進があり、大学は自身のディプロマポリシー、カリキュラムポリシーに基づき、人的・物的リソースを用意のうえ、それぞれがグローバル化政策をたて、様々な教育プログラムを立ち上げ、日本人学生の海外派遣、外国人留学生の迎え入れを進めています。また、多くの大学は国際部や国際連携部、グローバル教育センターといったグローバル化のための組織を整備しているところです。
 本セミナーでは大学のグローバル化の意味と、そこでの大学職員の役割を考えます。海外、特にアジアの高校、大学を回ると多くの日本の大学からアプローチがあることを聞きますし、目にします。アジア諸国の若者には、日本に限らず留学志向が強くあることを目の当たりにすることができ、その学びに対する貪欲さ、真摯な眼差しに心奪われる瞬間もしばしばあります。一方、日本人学生はどうでしょうか? 大学のグローバル化推進の一環で正課授業に短期の留学や海外でのフィールドワーク等が採り入れられ、「見かけ」の海外留学件数は増えているものの、各種メディアで「日本人の内向き志向」が伝えられるのは、海外への送り出しプログラムや仕組みがまだまだ未成熟で、若者たちが主体的に海外から何かを学び取ろうとする動機付けの機会が整備されていないからかもしれません。また、外国人留学生の迎え入れと日本人学生の海外派遣のバランスをいかにとって、どのようにキャンパスのグローバル化を推進するのかも各大学における課題であると言えるのではないでしょうか。
 こうした現実のもと、個々の大学に問われるのは「グローバル化政策」をどのように構築するかです。それには、キャンパスの中で学生に直に接している職員の役割が重要です。また、海外での学生リクルート活動やプログラム開拓における職員の役割も大きなものがあるはずです。今年度の大学職員セミナーは、こうした問題認識のもとで、実際に大学のグローバル化を牽引している職員の方を講師に迎え、大学のグローバル化と職員の役割について考えます。
 第1回は立命館大学から宮下明大氏(立命館・東京キャンパス所長)を迎え、立命館大学および立命館アジア太平洋大学が取り組んできたグローバル化戦略と、そこで果たす職員の役割についてお話しいただきます。立命館大学・立命館アジア太平洋大学は、近年強力な方針のもとでアジアからの留学生を急増させるとともに、海外大学とのダブルディグリープログラムなど、教育プログラムの開設を積極的に進めていることで皆さんが注目している大学です。当日は海外学生の受け入れに関する戦略を中心にお話しいただく予定です。また、宮下氏の講演に引き続き、簡単なディスカッションをワールドカフェ方式で行い、各大学の悩みを少しでも解消する場を設定することを計画しています。


 

講演
グローバル時代の学生募集―アドミッションのマインドとサイクル―

立命館大学・立命館アジア太平洋大学で大学のグローバル化を牽引している宮下明大氏は、「大学のグローバル化は各大学のミッションによって異なる。私たち大学職員が必要な汎用的な知識や力量とは何か。組織を整備することも、エビデンスを揃えることも重要だが、マインドとして大学を良くしたい、社会をよりよく発展させたいと想う気持ちや、具体的に汗を流して得る経験から、課題を発見し解決していく能力を持つことがグローバル化を牽引するためには必要だ。特に海外からの学生受入に関して、国内での学生募集戦略を下敷きに、どのように留学生マーケットの独自性を分析し、現場から情報を得て、大学の政策として練りあげ、アドミッションのサイクルをまわしていくかについて具体的な事例を交えながら講演された。
 

立命館・東京キャンパス所長 宮下明大氏

ワールドカフェ方式のグループ討論

 参加者からは「APU(立命館アジア太平洋大学)での学生募集の具体的な経験談(成功例や失敗例)を聞くことができ、大変に参考になった」「入試戦略のみでなく大学の職員としてどうあるべきかという点まで学ぶことができ、貴重な時間となった」との感想が寄せられた。
 

大学職員セミナー企画委員会

<委員長>法政大学常務理事・近藤 清之 
<委 員>高崎経済大学研究グループ研究支援チーム・青木加奈子
       明治大学社会連携事務室事務長・岩﨑 宏政
              中央大学入学センター入学企画課課長・大久保陽造
              桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授・山本 眞一