セミナー・イベント

第14回 EUセミナー
パワー・ポリティックスに回帰する世界とEUの再編

実施報告

期日 2026年9月25日(金)~27日(日)2泊3日
会場 大学セミナーハウス (東京都八王子市下柚木1987-1)
主催 公益財団法人大学セミナーハウス
後援 駐日欧州連合代表部

参加状況
9校 54名、 聴講参加 社会人3名  合計 57名

立教大学(21名)、東海大学(12名)、日本大学(11名)、東洋英和女学院大学(4名)、神田外語大学(2名)、一橋大学(1名)、都留文科大学(1名)、帝京大学(1名)、中央大学(1名)、聴講(3名)
 

開催趣旨

 ウクライナ紛争、ガザ紛争から米・イスラエルによるイラン・レバノン攻撃に至る中東紛争は1956年のハンガリー・スエズ動乱の同時進行を彷彿させる。しかもその中心にいるのは依然として米露両核大国だ。しかし中国やインドに加えてグローバルサウスと呼ばれる諸国は冷戦時代のようなわき役ではない。
 世界がパワー・ポリティックスに回帰する中で欧州の立ち位置はどうあるべきか。「デモクラシー、平和と繁栄」を掲げる欧州統合は今改めて歴史の挑戦を受けている。このような視点から理念、組織・制度面でのEUの将来像について再考してみよう。
                                      (企画委員長 渡邊啓貴 )

INDEX

開会式 9月25日(金)

開会式模様

開会の挨拶:大学セミナーハウス荻上紘一理事長

【講師講義】 第1日目:9月25日

趣旨説明:渡邊啓貴先生 と 会場の様子

講師講義:右上から、第1分科会:渡邊啓貴先生、第2分科会:田中素香先生、第3分科会:蓮見雄先生、第4分科会:河越真帆先生・福田智洋先生

 初めに渡邊啓貴企画委員長より、今年度のテーマ「パワー・ポリティックスに回帰する世界とEUの再編」についての趣旨説明がありました。
続いて、分科会の各講師に各20分ずつの講義を2日に分けて行っていただきました。
第1日目は、第1分科会:渡邊啓貴先生、第2分科会:田中素香先生、第3分科会:蓮見雄先生、第4分科会:河越真帆先生・福田智洋先生 (5名の先生に)

各分科会講師の講義は、分科会議論をさらに深堀していく話題となったようです。

【講師講義】 第2日目:9月26日

第2日目は、第1分科会:小久保康之先生、第2分科会:太田瑞希子先生、第3分科会:中西優美子先生 (3名の先生に)

2日間の分科会講師の講義について、
参加者からは「受講生の理解がばらばらであるため、最初に分科会講師から問題意識が示されたことで理解がまとまった。」「 各分科会のテーマに関する導入という意味で満足しています。 他方で、時間の関係か、全ての講義が早足になっており、十分に咀嚼する時間が与えられなかったのは残念です。特に1つのスライドに長文を用いるのであれば、スライドのコピーを用意してほしかったです。」との感想をいただきました。

第1分科会:小久保康之先生

第2分科会:太田瑞希子先生

第3分科会:中西優美子先生

【特別講演】9月26日(土)

テーマ “The EU in the world and EU-Japan Relations in a Changing World”
講演者 講演者:駐日欧州連合代表部(EU)公使/副代表 トーマス・ニョッキ氏

(Mr. Thomas Gnocchi
Minister/Deputy Head of Delegation
Delegation of the European Union to Japan)
逐次通訳 鬼頭真理氏

駐日欧州連合代表部 公使 / 副代表
トーマス・ニョッキ氏

駐日欧州連合代表部(EU) 公使 / 副代表トーマス・ニョッキ氏より、
1.EUとは何か
2.グローバルアクターとしてのEU
3.EUと日本
という3大トピックスについて、EUのグローバルな役割、ウクライナへのEUの支援、日本とEUにおける「競争力に関する同盟(Competitiveness Alliance)」の立ち上げ、「安全保障パートナーシップ(安全保障・防衛パートナーシップ)」の強化、「EU・日本グリーン・アライアンス」に基づいた、環境・気候変動対策についての協力と、多岐に渡る内容をお話しいただきました。
参加者からの質問について、一つ一つ丁寧な回答をいただきました。
参加者からは、
「公使の方からとても貴重な話を生で伺うことができ、とても良い勉強になりました。」「プロの通訳をつけていただいたため、理解の漏れが少なかった。」「質問に丁寧に答えてくれるし、去年も食事の時にご一緒させていただいたがその時のことを覚えててくれた。」「EUの体制や政策の概要を理解できました。Q&Aパートでは、欲を言えばもっと踏み込んだ回答をしてほしかったと思いました。ニョッキ氏の個人的な経験の話を講演の中で聞きたかったという思いもあります。」「EUのことについて私にとってとても難しい内容ではありましたが、とても貴重な学びの時間になりました。」との感想をいただきました。

EU代表部トーマス・ニョッキ氏より、渡邊啓貴企画委員長へ贈り物

EU公式マスコット「エウロパ」

特別講演後の記念撮影

【分科会討論】9月25日(金)~27日(日)

EUセミナーは毎回各分科会の講師の先生から事前課題と参考資料が示され、参加者がセミナー開催までに資料を調べ、課題を考えたうえでセミナーに参加します。今年は次の四つの分科会に分かれて、3日間でそれぞれ分科会討論(1)~(4)の4回にわたって討議を展開しました。
事前に準備してきた方が多く、課題を深く掘り下げて、報告会への検討を重ねられたようです。
 

第1分科会

テーマ
戦略的自立を目指すEU
指導講師

渡邊 啓貴(帝京大学法学部教授、東京外国語大学名誉教授)

小久保 康之(東洋英和女学院大学名誉教授)

第1分科会討論模様

主旨:
EUは2010年代から戦略的自立(Strategic Autonomy)という概念を打ち出し、国際協調主義を掲げつつも、特定の分野で、特定の国に「過度に依存せずに自立できる道」を探ってきた。2022年のロシアによるウクライナ侵攻は、その流れを加速させることになり、防衛分野での強化は一層急務となっている。更に、トランプ第2期政権の発足で、欧米関係に亀裂が走り、2026年の対イラン戦争でその溝は深まっている。帝国主義時代に逆戻りするかのような国際秩序再編の中で、EUはどのように戦略的自立を推進しようとしているのか。幅広い政策領域でEUが直面している課題について包括的に検討する。

第2分科会

テーマ
新帝国主義とEU -ドイツ経済を中心に-
指導講師

田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員、東北大学名誉教授)

太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授)

第2分科会討論模様

主旨:
トランプ関税、ロシアのウクライナ侵攻、中国の過剰生産と安値輸出攻勢に加えて、イラン戦争によるエネルギー価格の高止まりという新帝国主義の圧力が、EU経済を締め付けている。EUの経済成長は、その土台を問い直されている。EU最大の経済大国ドイツも、製造業の競争力低下、企業の海外移転、エネルギー転換コストの重圧が重なり、かつての「欧州の機関車」は失速に悩む。第2分科会では、新帝国主義と対峙する中でEU・ドイツ経済が直面する構造的困難を整理し、軍事・インフラ投資を含む国家戦略の可能性を問う。

第3分科会

テーマ
EUのデジタル転換 ー 期待と現実
指導講師

蓮見 雄(立教大学経済学部特別専任教授)

中西優美子(一橋大学大学院法学研究科教授)

第3分科会討論模様

主旨: 
EUでは世界初のAI法を制定し、AI倫理をめぐる議論も深まっている。EU一般データ保護規則(GDPR)による個人データ保護と並行して、データの円滑な利用を促す政策も進められている。このようにEUは、AI法・データ法等を通じて、信頼できる情報の流通・共有・活用を支えるデジタル市場の整備を進めている。だが、これがEUのDX競争力強化に直結するかは定かではない。競争の鍵は、スケール、資本市場、先端企業群、デジタル技術にあり、本分科会では、EUの先進的なデータ経済の制度設計を学びつつ、その可能性と課題を検討する。

第4分科会

テーマ EUガバナンスの再検討                       
指導講師  河越 真帆(神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部教授)
 福田 智洋(東海大学政治経済学部講師
)

第4分科会討論模様

主旨: 
長期化するウクライナ戦争や不安定な中東情勢は、欧州地域の安全保障環境だけでなく、EU内部の仕組みにも波紋を投げかけている。欧州各国は外部からの危機への対応に難儀し、加盟国の足並みは乱れつつある。しかしEUは、欧州統合の進展の中で多くの政策分野における共通政策を構築してきた。合意形成・利益調整のための仕組みも他地域と比較して高度に整備されてきた。このようにして成立した欧州ガバナンスは、目下の危機を目の前にして無力なのだろうか。本分科会では「安全」をキーワードとして、欧州ガバナンスの成果と課題について考えてみたい。

【分科会中間報告会】9月26日(土)

中間報告では、司会進行とタイムキーパーは、各分科会から選出された学生幹事が交代で担当しました。
各分科会の終了ごとに、担当講師より講評をいただきました。
 

中間報告:第1分科会

中間報告:第2分科会

中間報告:第3分科会

中間報告:第4分科会

【分科会最終報告会】9月27日(日)

 最終日の最後の全体会は、3日間、各分科会の課題を深く掘り下げ検討を重ねた結果を発表する場となりました。

各分科会報告後、活発な質疑応答が交わされ、最後に担当講師からの講評をいただき終了となりました。

なお、最終報告会も、司会進行とタイムキーパーは、各分科会から選出された学生幹事が交代で担当しました。

【第1分科会】戦略的自立を目指すEU
【第2分科会】新帝国主義とEU -ドイツ経済を中心に-
【第3分科会】EUのデジタル転換 ― 期待と現実
【第4分科会】EUガバナンスの再検討

 

最終報告:第1分科会

最終報告:第2分科会

最終報告:第3分科会

最終報告:第4分科会

渡邊啓貴先生

小久保康之先生

太田瑞希子先生

蓮見雄先生

中西優美子先生

河越真帆先生

福田智洋先生

【参加者懇談会】 9月26日(土)

【出席証明書交付】9月27日(日)

閉会の挨拶:
大学セミナーハウス外村専務理事

 閉会式では、大学セミナーハウス外村専務理事からの挨拶があり、その後各分科会講師から第14回EUセミナー出席証明書が参加者全員に配られました。
 参加者の皆さんはそれぞれの分科会講師を囲み、出席証明書を手に記念写真を撮影しました。

参加者の皆さんにはアンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
皆さんからいただいたご意見ご評価を参考に、より良いセミナーが開催できるよう努めてまいります。
 

各分科会講師と記念撮影

第14回EUセミナーショートムービー

第14回EUセミナーショートムービー(58秒)

左の写真をクリックするとショートムービーを見ることができます。

【EUセミナー企画委員】

<委員長>
渡邊 啓貴(帝京大学法学部教授・東京外国語大学名誉教授)
<委員>
太田 瑞希子(日本大学経済学部准教授)
河越 真帆(神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部教授)
小久保 康之(東洋英和女学院大学名誉教授)
田中 素香(中央大学経済研究所客員研究員・東北大学名誉教授)
中西 優美子(一橋大学大学院法学研究科教授)
蓮見 雄(立教大学経済学部特別専任教授)
福田 智洋(東海大学政治経済学部講師)

お問い合わせ

公益財団法人 大学セミナーハウス セミナー事業部
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/