憲法を学問するⅩ 『憲法の Architect』
| 日程 | 2026年11月21日(土)~22日(日)1泊2日 |
|---|---|
| 参加対象 | 大学生(大学院生を含む)、社会人 |
| 開催形式 | 対面宿泊型セミナー |
| 定員 | 50 名 |
| 参加費 | 会員校学生 9,000円、一般校学生 12,000円、社会人 19,000円 ※セミナー講師のゼミ生・または講師の紹介でご参加の方(学生・社会人を問わず)は、会員校料金 ※宿泊費・食事費・消費税を含みます。 ※会員校リストはこちらへ |
| お支払い方法 | ❶クレジットカード払い……後日お支払い用リンクをお送りいたします。 (VISA・MasterCard・JCB・AMRICANEXPRESS・ Diners Club International・Discover) ❷銀行振り込み……後日振込み先情報をお送りいたします。 |
| 会場 | 大学セミナーハウス(東京都八王子市下柚木1987-1) ※交通案内はこちら |
| 申込方法 | お申込みはこちらから「憲法を学問するⅩ 申込みフォーム」 |
| 申込締切 | 2026年10月30日(金) |
| 主催 | 公益財団法人 大学セミナーハウス |
【開催趣旨】
憲法の Architect
日本の日本の憲法訴訟論の源流は、火付け役の芦部信喜教授や時国康夫判事が参加した、ハーバード・ロースクールでの「憲法訴訟」演習にありましたが、「憲法訴訟に携わる裁判官 は、artistではなく、architectである」というのが、ゼミを主宰したポール・フロインド教授の持論でした。芸術家としてのヴィジョンを、資材の強度や供給状況と両立させなくてはならない、建築家と同様の資質が必要だ、というわけです。それを、具体的な判決に即して検討したのが、昨年の「憲法を学問するIX」でした。
しかし、建築の世界で、意匠設計と構造設計とを両立させている人が、実際には稀であるように、具体的な事件に決着をつける裁判官だけが、憲法の architect であるわけではありません。戦後日本の憲法体制が確立する背景には、そのアーキテクチャーの意匠設計に携わった幾人もの——artistとしてのヴィジョンを諦めずに、厳しい現実とギリギリの格闘を続けた—— architect たちの活躍がありました。10回目を迎えた今年の「憲法を学問する」は、そうした「人」に照準をあわせて、憲法を考えます。
しかし、建築の世界で、意匠設計と構造設計とを両立させている人が、実際には稀であるように、具体的な事件に決着をつける裁判官だけが、憲法の architect であるわけではありません。戦後日本の憲法体制が確立する背景には、そのアーキテクチャーの意匠設計に携わった幾人もの——artistとしてのヴィジョンを諦めずに、厳しい現実とギリギリの格闘を続けた—— architect たちの活躍がありました。10回目を迎えた今年の「憲法を学問する」は、そうした「人」に照準をあわせて、憲法を考えます。
(「憲法を学問する」企画委員長 石川健治)
【重要】樋口陽一先生 特別講義に関するお知らせ
本セミナーのプログラムとして予定しておりました「樋口陽一先生 特別講義」につきまして、ご本人のご療養のため、今年度の講義収録・配信は見送らせていただくこととなりました。
講義を心待ちにされていた皆様には深くお詫び申し上げます。
なお、本セミナーの参加申し込みは引き続き受け付けております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
【分科会】
第1分科会 『尾高朝雄と「尊厳な」天皇』
講師:石川 健治(東京大学法学部教授)
主旨:
戦争によって破綻した立憲主義を、「人類普遍の原理」として日本の政治社会にリ・エントリーさせる際に最大の難問となったのが、かねて日本の「国体」を体現してきた天皇と皇室の位置づけの仕方でした。これは、法律用語と学術用語の双面において「外国語を日本語に」「古い日本語を新しい日本語に」翻訳する、輻輳した翻訳作業と併行して行われた、政治的かつ文化的なチャレンジでした。
そこにおいて大きな役割を果たしたひとりが、戦前は京城帝国大学という植民地大学で、日本語を常用する学生と常用しない学生の双方を教えつつ、世界の社会科学の最前衛で活躍するとともに朝鮮総督府の統治の設計にも関与した、尾高朝雄という社会学者・法哲学者です。1944年から、研究教育の「現場」を東京帝国大学に移し、戦後憲法体制の確立過程においては、同僚で親友の憲法学者・宮澤俊義との論争など、活発な論陣を張ると同時に、ユネスコ日本代表として、緊張緩和のために国際的にも活動しました。『社会的世界の意味構成』のアルフレート・シュッツとともに現象学的社会学を除幕した、1932年の独文著書『社会的団体論の基礎づけ』が2023年に英訳され、あらためて脚光を浴びています。
その尾高が戦後に試みたのが、日本国憲法が存続させた——させてしまった——ひとつの「身分」を形容するための、新しい日本語の設計でした。戦前は「神聖不可侵」の略語でもあった「尊厳」という体言に「な」をつける試みです。この連体詞もしくは形容動詞の設計図は、アンビルドに終わり、現代日本語に定着しませんでしたが、この違和感は、単に言葉だけの問題だけではないかもしれません。第一分科会では、未完に終わった尾高の挑戦にフォーカスします。
戦争によって破綻した立憲主義を、「人類普遍の原理」として日本の政治社会にリ・エントリーさせる際に最大の難問となったのが、かねて日本の「国体」を体現してきた天皇と皇室の位置づけの仕方でした。これは、法律用語と学術用語の双面において「外国語を日本語に」「古い日本語を新しい日本語に」翻訳する、輻輳した翻訳作業と併行して行われた、政治的かつ文化的なチャレンジでした。
そこにおいて大きな役割を果たしたひとりが、戦前は京城帝国大学という植民地大学で、日本語を常用する学生と常用しない学生の双方を教えつつ、世界の社会科学の最前衛で活躍するとともに朝鮮総督府の統治の設計にも関与した、尾高朝雄という社会学者・法哲学者です。1944年から、研究教育の「現場」を東京帝国大学に移し、戦後憲法体制の確立過程においては、同僚で親友の憲法学者・宮澤俊義との論争など、活発な論陣を張ると同時に、ユネスコ日本代表として、緊張緩和のために国際的にも活動しました。『社会的世界の意味構成』のアルフレート・シュッツとともに現象学的社会学を除幕した、1932年の独文著書『社会的団体論の基礎づけ』が2023年に英訳され、あらためて脚光を浴びています。
その尾高が戦後に試みたのが、日本国憲法が存続させた——させてしまった——ひとつの「身分」を形容するための、新しい日本語の設計でした。戦前は「神聖不可侵」の略語でもあった「尊厳」という体言に「な」をつける試みです。この連体詞もしくは形容動詞の設計図は、アンビルドに終わり、現代日本語に定着しませんでしたが、この違和感は、単に言葉だけの問題だけではないかもしれません。第一分科会では、未完に終わった尾高の挑戦にフォーカスします。
講師紹介:東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、東京都立大学法学部助教授・同教授を経て、2003年より現職。
単著に、『自由と特権の距離──カール・シュミット「制度体保障」論・再考』(日本評論社、1999年/増補版・2007年)。共編著に、樋口陽一編『ホーンブック 憲法』(北樹出版、1993年/第2版、2000年)、石川健治編『学問/政治/憲法』(岩波書店、2014年)、長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿・小島慎司『憲法判例百選Ⅰ、Ⅱ第2分科会 『田中二郎と個人主義』
講師:蟻川 恒正(日本大学大学院法務研究科教授)
主旨:
日本の法実務において、「個人の尊厳」という概念はどのようにして形成され、確立してきたのでしょうか。こう問いを立ててみたとき、1973年の尊属殺違憲判決における田中二郎意見が拓いた地平は、これまで考えられてきた以上に大きいものであったことに気づかされます。
第2分科会では、まず、この地平を拓く企てが日本の法実務において持った巨大な意味を明らかにします。ついで、この企てが田中のなかでどのようにして準備されていたのかを1973年に至るまでの田中の足跡のなかに追跡します。最後に、これらの作業を前提として、田中の拓いた地平が現在の最高裁判例に対して、はたして、または、どのような影響を与えつつあるかを考察したいと思います。
講師紹介:東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、東北大学法学部教授、東京大学法学部教授等を経て、現職。
単書に『憲法的思惟──アメリカ憲法における「自然」と「知識」』(岩波書店、2016年)、『尊厳と身分──憲法的思惟と「日本」という問題』 (岩波書店、2016年)、『憲法解釈権力』(勁草書房、2020年)、 共編著に、蟻川恒正・木庭顕・樋口陽一編著『憲法の土壌を培養する』(日本評論社、2022年)共著に、樋口陽一ほか『新版 憲法判例を読みなおす──下級審判決からのアプローチ』(日本評論社、2011年)、雑誌連載に「プロト・ディシプリンとしての読むこと 憲法」第1回~第13回(『法学セミナー』(日本評論社)664号(2010年)~677号(2011年))、「起案講義憲法」第1回~第43回(『法学教室』 (有斐閣) 391号(2013年)~438号(2017年))、論文に「天皇の根本規範」『論究ジュリスト』(有斐閣)36号(2021年)、「『婚姻の自由』のパラドクス」(『法律時報』(日本評論社)1177号(2022年6月号)など。
日本の法実務において、「個人の尊厳」という概念はどのようにして形成され、確立してきたのでしょうか。こう問いを立ててみたとき、1973年の尊属殺違憲判決における田中二郎意見が拓いた地平は、これまで考えられてきた以上に大きいものであったことに気づかされます。
第2分科会では、まず、この地平を拓く企てが日本の法実務において持った巨大な意味を明らかにします。ついで、この企てが田中のなかでどのようにして準備されていたのかを1973年に至るまでの田中の足跡のなかに追跡します。最後に、これらの作業を前提として、田中の拓いた地平が現在の最高裁判例に対して、はたして、または、どのような影響を与えつつあるかを考察したいと思います。
講師紹介:東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、東北大学法学部教授、東京大学法学部教授等を経て、現職。
単書に『憲法的思惟──アメリカ憲法における「自然」と「知識」』(岩波書店、2016年)、『尊厳と身分──憲法的思惟と「日本」という問題』 (岩波書店、2016年)、『憲法解釈権力』(勁草書房、2020年)、 共編著に、蟻川恒正・木庭顕・樋口陽一編著『憲法の土壌を培養する』(日本評論社、2022年)共著に、樋口陽一ほか『新版 憲法判例を読みなおす──下級審判決からのアプローチ』(日本評論社、2011年)、雑誌連載に「プロト・ディシプリンとしての読むこと 憲法」第1回~第13回(『法学セミナー』(日本評論社)664号(2010年)~677号(2011年))、「起案講義憲法」第1回~第43回(『法学教室』 (有斐閣) 391号(2013年)~438号(2017年))、論文に「天皇の根本規範」『論究ジュリスト』(有斐閣)36号(2021年)、「『婚姻の自由』のパラドクス」(『法律時報』(日本評論社)1177号(2022年6月号)など。
第3分科会 『佐々木惣一と憲法裁判』
講師:宍戸 常寿(東京大学法学部教授)
主旨:
日本国憲法の81条は、最高裁の違憲審査権を明文で定めています。しかし実際には、最高裁が違憲審査権の行使に消極的であると見られる時期が長く続き、これに対して学説は、米国の司法審査制とその運用についての理解をもって、その積極的な行使を促してきました。21世紀に入り「違憲審査の活性化」の現象も見られてはいますが、どうも学説が説いてきたのとは微妙に違うところもあります。
そのズレは日本国憲法の構造に由来するものではないのでしょうか。憲法制定に先立ち、該博な知見に基づき憲法81条とは異なる構造を設計・提案したと同時に、施行後には緻密な解釈論により通説と判例が見落としてきた「憲法裁判」を描いて見せた泰斗の見解に立ち戻りながら、現在の違憲審査の運用に光を当ててみたいと思います。
講師紹介:1997年東京大学法学部卒業。同年東京大学大学院法学政治学助手、2000年東京都立大学法学部助教授、2005年首都大学東京法科大学院助教授、2007年一橋大学法学部准教授、2010年東京大学法学部准教授を経て、2013年より現職。
憲法・国法学・情報法。主要業績として『憲法裁判権の動態(増補版)』(弘文堂、2021年)、『憲法 解釈論の応用と展開(第2版)』(日本評論社、2014年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『戦後憲法学の70年を語る』(共編著、日本評論社、2020年)、『憲法演習ノート(第2版)』(編著、弘文堂、2020年)、『18歳から考える人権(第2版)』(編著、法律文化社、2020年)、『法解釈入門(第2版)』(共著、有斐閣、2020年)、『法学入門』(共編著、有斐閣、2021年)等。
日本国憲法の81条は、最高裁の違憲審査権を明文で定めています。しかし実際には、最高裁が違憲審査権の行使に消極的であると見られる時期が長く続き、これに対して学説は、米国の司法審査制とその運用についての理解をもって、その積極的な行使を促してきました。21世紀に入り「違憲審査の活性化」の現象も見られてはいますが、どうも学説が説いてきたのとは微妙に違うところもあります。
そのズレは日本国憲法の構造に由来するものではないのでしょうか。憲法制定に先立ち、該博な知見に基づき憲法81条とは異なる構造を設計・提案したと同時に、施行後には緻密な解釈論により通説と判例が見落としてきた「憲法裁判」を描いて見せた泰斗の見解に立ち戻りながら、現在の違憲審査の運用に光を当ててみたいと思います。
講師紹介:1997年東京大学法学部卒業。同年東京大学大学院法学政治学助手、2000年東京都立大学法学部助教授、2005年首都大学東京法科大学院助教授、2007年一橋大学法学部准教授、2010年東京大学法学部准教授を経て、2013年より現職。
憲法・国法学・情報法。主要業績として『憲法裁判権の動態(増補版)』(弘文堂、2021年)、『憲法 解釈論の応用と展開(第2版)』(日本評論社、2014年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『戦後憲法学の70年を語る』(共編著、日本評論社、2020年)、『憲法演習ノート(第2版)』(編著、弘文堂、2020年)、『18歳から考える人権(第2版)』(編著、法律文化社、2020年)、『法解釈入門(第2版)』(共著、有斐閣、2020年)、『法学入門』(共編著、有斐閣、2021年)等。
第4分科会 『我妻栄と合理的配慮』
講師:木村 草太(東京都立大学法学部教授)
主旨:
作為と不作為は、法学の基本概念だ。近年、差別には、作為によるものと不作為によるものがあるとの主張が支持を集めており、後者を問題化するために「合理的配慮reasonable accommodation」という概念も登場してきた。しかし、この概念は、多くの限界と問題を抱えている。
問題の解決に何が必要か。規範と現実の往復だろう。この部会は、差別discriminationという概念の射程を整理し、反差別と合理的配慮という二つの概念の関係を見定めるところから始める。その作業は、戦後民法改正の大事業に臨んだ民法学者の研究と実践の分析に接続する。我妻栄は、規範と現実を往復した人だった。
講師紹介:2003年、東京大学法学部卒業。同大学法学政治学研究科助手を経て、2006年より、首都大学東京准教授。2016年、同教授。
専攻は憲法学。平等権、代表制論、地方自治、憲法訴訟論などを研究。著書に、『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『憲法の創造力』(NHK出版新書)、『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)、『テレビが伝えない憲法の話』(PHP新書)、『未完の憲法』(潮出版、奥平康弘氏と共著)、『憲法学再入門』(有斐閣、西村裕一氏と共著)、『憲法の条件』(NHK出版新書、大澤真幸氏と共著)。
作為と不作為は、法学の基本概念だ。近年、差別には、作為によるものと不作為によるものがあるとの主張が支持を集めており、後者を問題化するために「合理的配慮reasonable accommodation」という概念も登場してきた。しかし、この概念は、多くの限界と問題を抱えている。
問題の解決に何が必要か。規範と現実の往復だろう。この部会は、差別discriminationという概念の射程を整理し、反差別と合理的配慮という二つの概念の関係を見定めるところから始める。その作業は、戦後民法改正の大事業に臨んだ民法学者の研究と実践の分析に接続する。我妻栄は、規範と現実を往復した人だった。
講師紹介:2003年、東京大学法学部卒業。同大学法学政治学研究科助手を経て、2006年より、首都大学東京准教授。2016年、同教授。
プログラム
|
第1日目 11月21日(土)
|
|
|---|---|
| 12:50~ | 受付 |
| 13:20~ | 開会 |
| 13:30~15:00 | パネルディスカッション(分科会講師) |
| 15:00~15:30 | オリエンテーション・宿泊室へ入室 |
| 15:30〜18:00 | 【分科会Ⅰ】 |
| 18:00~ | 夕食・フリートーク |
|
第2日目 11月22日(日)
|
|
|---|---|
| 07:30~ | 朝食・宿泊室を退室 |
| 09:00~10:30 | 【分科会Ⅱ】 |
| 10:30~12:00 | 分科会報告 |
| 12:00~ | 昼食 |
| 13:00〜15:00 | 総括討論・質疑応答 |
| 15:10~15:30 | 閉会・記念撮影・解散 |
企画委員
石川 健治(東京大学法学部教授)企画委員長
蟻川 恒正(日本大学大学院法務研究科教授)
宍戸 常寿(東京大学法学部教授)
木村 草太(東京都立大学法学部教授)
蟻川 恒正(日本大学大学院法務研究科教授)
宍戸 常寿(東京大学法学部教授)
木村 草太(東京都立大学法学部教授)
お問い合わせ
公益財団法人 大学セミナーハウス セミナー事業部
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/
