第38回国際学生セミナー
アジア・太平洋地域はどこへ―新たな国際秩序の模索―
実施報告
期間 | 2011年11月26日(土)~27日(日) |
---|---|
場所 | 大学セミナーハウス (東京都八王子市下柚木1987-1) |
主催 | 公益財団法人大学セミナーハウス |
参加状況 | <大学等別> 青山学院(6)、早稲田(5)、慶応義塾(2)、東京(2)、杏林(2)、上智(2)、東京外国語、中央、神奈川、武蔵、名古屋市立、静岡県立、東京工科、金沢、東海、成蹊、創価、明治、関西学院、立命館、横浜国立、広島市立、中国天津師範、(各1)計36名 (講演会のみ参加:八王子いちょう塾(2)) |
企画委員
委員長・東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授 渡邊啓貴
法政大学経済学部教授 絵所秀紀
早稲田大学国際学術院教授 太田宏
立教大学法学部教授 佐々木卓也
東京大学大学院情報学環教授 園田茂人
慶應義塾大学法学部教授 山本信人
東京大学名誉教授 中兼和津次
法政大学経済学部教授 絵所秀紀
早稲田大学国際学術院教授 太田宏
立教大学法学部教授 佐々木卓也
東京大学大学院情報学環教授 園田茂人
慶應義塾大学法学部教授 山本信人
東京大学名誉教授 中兼和津次
趣旨
21世紀に入って10年がたち、世界の構造は大きく変化していくかに見える。米中二大国主導の国際体制の可能性を示唆する「G2」や、大西洋からアジア・太平洋地域への国際的な比重の移動を意味する「パワーシフト」などの表現に、それはうかがい知ることができる。期待とともに、先行きの不透明な中国を含むアジア・太平洋地域の行く末に国際社会は大きな関心をもっている。本年の国際学生セミナーは、こうした観点から、アジア・太平洋地域における主要国の内外事情やこの地域での安全保障・地域統合について議論する。
(国際学生セミナー企画委員長 渡邊 啓貴)
(国際学生セミナー企画委員長 渡邊 啓貴)
実施報告
今年の国際学生セミナーのテーマは「日本のアジア太平洋経済戦略―TPPへの対応」(早稲田大学教授 浦田秀次郎氏)をはじめ、「アメリカとアジア・太平洋地域―その歴史的関与と今後の展望」(立教大学教授 佐々木卓也氏)、「東アジア国際秩序の再編と中国の対外戦略」(早稲田大学教授 唐亮氏)、「朝鮮半島情勢と東アジアの国際関係」(関西学院大学教授 平岩俊司氏)、「アジア太平洋の地域制度の動態」(青山学院大学教授 菊池努氏)、五つのセクションに分けた目下注目の問題ばかりです。特別講演は元外交官で、現国際戦略研究所理事長の田中均氏に「世界の、アジア太平洋地域の、そして東アジアの変動への戦略的対応」をテーマにして頂いた。
特別講演の内容は「中国やインドなどの新興国の台頭は先進民主主義国とのパワーバランスの変化をもたらし、安全保障体制や貿易・投資・資源・環境などの国際経済構造が大きく揺らいでいる。どう対応していくべきなのか。主要国の多くを含むアジア太平洋地域あるいは東アジア地域においてどのような秩序を構築していくかによって世界の将来は変わる。大きな戦略が必要である。」についてのものでしたが、田中先生は冷戦時の国際環境が変わり、民主主義というイデオロギーをベースにした外交関係も変わる、今後、アジア地域の違うイデオロギーをもつ国々とはどのように付き合っていくかが重要になってきたとの話、印象深く感じた。
特別講演の内容は「中国やインドなどの新興国の台頭は先進民主主義国とのパワーバランスの変化をもたらし、安全保障体制や貿易・投資・資源・環境などの国際経済構造が大きく揺らいでいる。どう対応していくべきなのか。主要国の多くを含むアジア太平洋地域あるいは東アジア地域においてどのような秩序を構築していくかによって世界の将来は変わる。大きな戦略が必要である。」についてのものでしたが、田中先生は冷戦時の国際環境が変わり、民主主義というイデオロギーをベースにした外交関係も変わる、今後、アジア地域の違うイデオロギーをもつ国々とはどのように付き合っていくかが重要になってきたとの話、印象深く感じた。
開会式
セクション講師提題講演
セクション討論模様
Aセクション「アメリカとアジア・太平洋地域-その歴史的関与と今後の展望」
Bセクション「東アジア国際秩序の再編と中国の対外戦略」
Cセクション「朝鮮半島情勢と東アジアの国際関係」
Dセクション「アジア太平洋の地域制度の動態」
Eセクション「日本のアジア太平洋経済戦略-TPPへの対応-」
セクション演習
懇談会
総括討論
総括討論は各セクション演習の結果発表となり、各セクションからの代表が各自のテーマについての議論のまとめを発表した後、会場からの質問を受け、回答という形で進行された。司会は国際学生セミナー企画委員会前会長の中兼和津次先生が務められた。
参加者見解
◆セクションBの報告まとめ「中国脅威論とは」
上智大学 古山恵理(セクションB)
・序
近年繰り返し語られる「中国脅威論」とは一体何だろうか。セクションBでは「脅威」を「能力」と「意図」の点で分析した。中国の「能力」については様々な分析軸が考えられるが、確実に言えるのは中国の経済・軍事力が近年大きく向上していること、そしてそれに伴い国際社会における外交上の影響力が着実に大きくなっていることだろう。問題はその様な「能力」をどのような「意図」で行使していくかである。以下、台頭する中国を「脅威」であるとする視点、そして「脅威」にはならないという二つの視点から分析する。(なお「脅威」の対象を日本一国と捉えるのか、それとも東アジア秩序と捉えるかについては「脅威」肯定論、否定論で一貫しない。) 中国は「脅威」である 中国脅威論を肯定する根拠としては、日本は中国と東シナ海で尖閣諸島やガス田問題を巡り対立しており、また東シナ海・南シナ海における一連の行動の裏には、東アジア地域から日米を排除し覇権国を目指す意思がうかがえるなどの点が挙げられた。
・中国は「脅威」ではない
中国脅威論の存在を否定する理念としてパワートランジッションが取り上げられる。これまで東アジア諸国において日米同盟が中心的な安全保障の役割を果たした。しかし、中国の経済力と軍事力の増強により交渉力も強くなり、秩序の再編を構築するアクターとして見られている。こういう自然的現状を踏まえて、中国の協調外交を理解する必要がある。90年代からは守り外交が中心であり、2000年代からは国際的な問題に関与する積極的な対外政策を繰り広げた。その中国の活発な対外政策はしばしば近隣諸国に安全保障の不安を与える脅威として解釈されることもあった。しかし、戦争に必要なコストの増加や国連の常任理事国としての大国の責任並びに義務などから鑑み、国際秩序の不安定をもたらす行為を模索する可能性は低い。但し、中国国内のナショナリズムの高揚は対外政策の激化を招く恐れがあり、日中両国はそれを抑止する信頼醸成に力を入れるべきだ。例えば、地域機構の構築を通して相互依存を深めることで武力衝突などの対立構図を緩和させることができる。
・今後中国はどこへ向かうのか?
中国脅威論に対して賛否両論あるが、今後の中国の動向としての予測には次の2点が挙げられる。内需拡大・海洋権益を獲得できる、アジア・太平洋地域での覇権国としての中国を目指して膨張を続ける。 現在の拡大はパワートランジションによる現象であり、世界システムの中で大国となるには対立ではなく協調であると、「経済発展・近代化」という基本方針を軸にもつ中国外交部は理解しているため協調路線という現実主義の判断を下してくる。 これらに対して、日本の対応としては中国との信頼醸成(共同海洋開発、文化交流など)を続けることが必須であると考える。
◆第38回国際学生セミナーを終えて
成蹊大学 和田 大介(セクションD)
これから日本はどこへ向かうのだろう。どこへ向かうべきなのだろうか。いや、どこ(、、)へ(、)向かいたい(、、、、、)の(、)か(、)。2010年に行われた第37回国際学生セミナーでは、中国と日本との間に大きな溝があることに驚き、また、アメリカともバランスをとりながら、今後、日本はどうすれば生き抜いていけるのかについて考えた。
今年、第38回国際学生セミナーにおいては、未来を考える上での「私たち」の幅が広がったという印象が強い。日本の行く末は、即ちアジア・太平洋地域の未来でもある。それ位に「私たち」の地域のつながりは重要なのだ。
先ゆくヨーロッパ諸国は、金融危機という最大級の困難に見舞われた現在にあっても、国家の枠を越えた「ヨーロッパ人」のアイデンティティを築きつつある。翻(ひるがえ)って、「私たち」は「アジア人」なる共通認識を打ち立てられただろうか。いいや、その努力の影さえはっきりしない。
国家を超えたつながり。人に何かを望むのなら、そのために自分たちがすべきことがあるはずだ。2日間で実感した他愛もない希望。しかし、そこに課題が在ることを知れたのは、「私たち」にとって大きな収穫であったのだと思う。
◆八王子セミナー第38回国際学生セミナーの参加感想
東京大学 米多(セクションD)
私が中国の大学を卒業した後、日本の東京大学に進学してから、八王子セミナーハウスのことをよく聞きますが、このセミナーの参加者は優秀な方ばかりなので、日本語さえ良く分からない自分には難しいではないかと心配した上、ずっと参加する勇気もありませんでした。 しかし、今回開催された第38回国際学生セミナーのポスターを見る際に、「アジア・太平洋地域はどこへ―新たな国際秩序の模索」というテーマが自分の研究と直接に関連し、更に自分にはずっと会いたかった日本国内に有名な学者も講師として入ることが分かるようになり、今回のセミナーを通じて、必ず何か勉強になれるではないかと確信しながら、セミナーの参加を申し込みました。 11月26日に、木柚市にあるセミナハウスーを到着すると、噂通りの綺麗な建物に興奮しながら、人の良さそうなスタッフ先生が歓迎されました。広くて設備も充実しているそうな部屋に荷物を置いて、辺りの綺麗な景観とかを見に行く余裕はなく、直接に今回のセミナーのコースに入りました。 初日で、少し緊張しましたが、意外にも和やかな雰囲気の中で始めました。冒頭の田中均先生のビデオによる講演が一番印象に残る講演でした。近年、東アジア地域諸国における地域統合の現象の歴史背景及び日本外交としての対応について分かりやすく説明していただき、ためになりました。そして、一番楽しかったのはその後、二日間に渡った少数人グループによる分科セッションでした。自分が所属していたDグループの担当教員は日本の地域統合史研究学界で有名な菊池努先生で、先生から今まで日本における地域統合史研究の近況から始め、色々貴重な話を伺うことが出来ました。グループメンバー討論のセッションにおいて、各国留学生による構成されたグループであったため、ASEANやAPECなどの地域機構に対する、それぞれの関連国の一般国民の認識についても、色々非常に面白い話を聞きました。自分には始めた時、緊張してあまりに口にもあまり出していませんでしたが、メンバーの皆さんがいろいろ中国のことを聞いてくれて、自分にも段々話せるようになり、皆さんと仲良くなり、様々な観点から、ASEANや現在話題になっているTPPなどの地域機構について討論を出来ました。ただ二日間短い時間の中に、東アジア国際関係に関する自分の研究テーマに対するだけではなく、自分の日本語能力も上達できたことを感じられます。 今回のセミナーを通して、自分には、東アジア国際関係に対する課題認識が以前より拡げられるようになり、色々な国からの参加者、違う年齢層の学生同士と同じテーマについて議論することも、自分にとっての大変貴重な経験となりました。今後、この経験を動かし、勉学と留学生活の励みにしたいと思います。
◆第38回国際学生セミナー 参加報告
慶應義塾大学 植田啓生(セクションE)
まず始めに、今年の国際学生セミナーに参加する機会を頂けたことに感謝の意をお伝えします。本当にありがとうございました。文字通り国際的な交流を通して議論をし、国際政治経済に関する知見を深められたように思います。特に、私が参加した分科会は日本人と中国人の学生が英語も交えながらTPP及び地域経済統合について議論をし、さながら「小さな国際経済交渉」の様相を見せました。このような貴重な機会を企画してくださった皆様に対して厚く御礼申し上げます。 セクションEでの討論を通して、経済協定であるTPPが政治外交上の重要な交渉ツールになることを実感しました。というのも、日本のTPP交渉参加による国際関係の変化について議論したとき、中国や米国などの関係諸国の経済外交や安全保障の問題がどう変化するかを検討する必要性が出てきたからです。学部時代に国際政治経済論を専攻し、常々指導教授の先生から「FTA交渉は貿易自由化を巡る政治的軋轢の構造を見る上で格好の材料である」と言われていましたが、まさにその先生のお言葉を今回のセミナーにおける「日中経済交渉」さながらの討論を通して実感致しました。今回のセミナーをきっかけに、さらに国際政治経済に対する知見を深めたいという気持ちを抱くことができました。記憶に残る素敵な機会と知性溢れる同世代の若者との出会いに感謝いたします。本当にありがとうございました。
上智大学 古山恵理(セクションB)
・序
近年繰り返し語られる「中国脅威論」とは一体何だろうか。セクションBでは「脅威」を「能力」と「意図」の点で分析した。中国の「能力」については様々な分析軸が考えられるが、確実に言えるのは中国の経済・軍事力が近年大きく向上していること、そしてそれに伴い国際社会における外交上の影響力が着実に大きくなっていることだろう。問題はその様な「能力」をどのような「意図」で行使していくかである。以下、台頭する中国を「脅威」であるとする視点、そして「脅威」にはならないという二つの視点から分析する。(なお「脅威」の対象を日本一国と捉えるのか、それとも東アジア秩序と捉えるかについては「脅威」肯定論、否定論で一貫しない。) 中国は「脅威」である 中国脅威論を肯定する根拠としては、日本は中国と東シナ海で尖閣諸島やガス田問題を巡り対立しており、また東シナ海・南シナ海における一連の行動の裏には、東アジア地域から日米を排除し覇権国を目指す意思がうかがえるなどの点が挙げられた。
・中国は「脅威」ではない
中国脅威論の存在を否定する理念としてパワートランジッションが取り上げられる。これまで東アジア諸国において日米同盟が中心的な安全保障の役割を果たした。しかし、中国の経済力と軍事力の増強により交渉力も強くなり、秩序の再編を構築するアクターとして見られている。こういう自然的現状を踏まえて、中国の協調外交を理解する必要がある。90年代からは守り外交が中心であり、2000年代からは国際的な問題に関与する積極的な対外政策を繰り広げた。その中国の活発な対外政策はしばしば近隣諸国に安全保障の不安を与える脅威として解釈されることもあった。しかし、戦争に必要なコストの増加や国連の常任理事国としての大国の責任並びに義務などから鑑み、国際秩序の不安定をもたらす行為を模索する可能性は低い。但し、中国国内のナショナリズムの高揚は対外政策の激化を招く恐れがあり、日中両国はそれを抑止する信頼醸成に力を入れるべきだ。例えば、地域機構の構築を通して相互依存を深めることで武力衝突などの対立構図を緩和させることができる。
・今後中国はどこへ向かうのか?
中国脅威論に対して賛否両論あるが、今後の中国の動向としての予測には次の2点が挙げられる。内需拡大・海洋権益を獲得できる、アジア・太平洋地域での覇権国としての中国を目指して膨張を続ける。 現在の拡大はパワートランジションによる現象であり、世界システムの中で大国となるには対立ではなく協調であると、「経済発展・近代化」という基本方針を軸にもつ中国外交部は理解しているため協調路線という現実主義の判断を下してくる。 これらに対して、日本の対応としては中国との信頼醸成(共同海洋開発、文化交流など)を続けることが必須であると考える。
◆第38回国際学生セミナーを終えて
成蹊大学 和田 大介(セクションD)
これから日本はどこへ向かうのだろう。どこへ向かうべきなのだろうか。いや、どこ(、、)へ(、)向かいたい(、、、、、)の(、)か(、)。2010年に行われた第37回国際学生セミナーでは、中国と日本との間に大きな溝があることに驚き、また、アメリカともバランスをとりながら、今後、日本はどうすれば生き抜いていけるのかについて考えた。
今年、第38回国際学生セミナーにおいては、未来を考える上での「私たち」の幅が広がったという印象が強い。日本の行く末は、即ちアジア・太平洋地域の未来でもある。それ位に「私たち」の地域のつながりは重要なのだ。
先ゆくヨーロッパ諸国は、金融危機という最大級の困難に見舞われた現在にあっても、国家の枠を越えた「ヨーロッパ人」のアイデンティティを築きつつある。翻(ひるがえ)って、「私たち」は「アジア人」なる共通認識を打ち立てられただろうか。いいや、その努力の影さえはっきりしない。
国家を超えたつながり。人に何かを望むのなら、そのために自分たちがすべきことがあるはずだ。2日間で実感した他愛もない希望。しかし、そこに課題が在ることを知れたのは、「私たち」にとって大きな収穫であったのだと思う。
◆八王子セミナー第38回国際学生セミナーの参加感想
東京大学 米多(セクションD)
私が中国の大学を卒業した後、日本の東京大学に進学してから、八王子セミナーハウスのことをよく聞きますが、このセミナーの参加者は優秀な方ばかりなので、日本語さえ良く分からない自分には難しいではないかと心配した上、ずっと参加する勇気もありませんでした。 しかし、今回開催された第38回国際学生セミナーのポスターを見る際に、「アジア・太平洋地域はどこへ―新たな国際秩序の模索」というテーマが自分の研究と直接に関連し、更に自分にはずっと会いたかった日本国内に有名な学者も講師として入ることが分かるようになり、今回のセミナーを通じて、必ず何か勉強になれるではないかと確信しながら、セミナーの参加を申し込みました。 11月26日に、木柚市にあるセミナハウスーを到着すると、噂通りの綺麗な建物に興奮しながら、人の良さそうなスタッフ先生が歓迎されました。広くて設備も充実しているそうな部屋に荷物を置いて、辺りの綺麗な景観とかを見に行く余裕はなく、直接に今回のセミナーのコースに入りました。 初日で、少し緊張しましたが、意外にも和やかな雰囲気の中で始めました。冒頭の田中均先生のビデオによる講演が一番印象に残る講演でした。近年、東アジア地域諸国における地域統合の現象の歴史背景及び日本外交としての対応について分かりやすく説明していただき、ためになりました。そして、一番楽しかったのはその後、二日間に渡った少数人グループによる分科セッションでした。自分が所属していたDグループの担当教員は日本の地域統合史研究学界で有名な菊池努先生で、先生から今まで日本における地域統合史研究の近況から始め、色々貴重な話を伺うことが出来ました。グループメンバー討論のセッションにおいて、各国留学生による構成されたグループであったため、ASEANやAPECなどの地域機構に対する、それぞれの関連国の一般国民の認識についても、色々非常に面白い話を聞きました。自分には始めた時、緊張してあまりに口にもあまり出していませんでしたが、メンバーの皆さんがいろいろ中国のことを聞いてくれて、自分にも段々話せるようになり、皆さんと仲良くなり、様々な観点から、ASEANや現在話題になっているTPPなどの地域機構について討論を出来ました。ただ二日間短い時間の中に、東アジア国際関係に関する自分の研究テーマに対するだけではなく、自分の日本語能力も上達できたことを感じられます。 今回のセミナーを通して、自分には、東アジア国際関係に対する課題認識が以前より拡げられるようになり、色々な国からの参加者、違う年齢層の学生同士と同じテーマについて議論することも、自分にとっての大変貴重な経験となりました。今後、この経験を動かし、勉学と留学生活の励みにしたいと思います。
◆第38回国際学生セミナー 参加報告
慶應義塾大学 植田啓生(セクションE)
まず始めに、今年の国際学生セミナーに参加する機会を頂けたことに感謝の意をお伝えします。本当にありがとうございました。文字通り国際的な交流を通して議論をし、国際政治経済に関する知見を深められたように思います。特に、私が参加した分科会は日本人と中国人の学生が英語も交えながらTPP及び地域経済統合について議論をし、さながら「小さな国際経済交渉」の様相を見せました。このような貴重な機会を企画してくださった皆様に対して厚く御礼申し上げます。 セクションEでの討論を通して、経済協定であるTPPが政治外交上の重要な交渉ツールになることを実感しました。というのも、日本のTPP交渉参加による国際関係の変化について議論したとき、中国や米国などの関係諸国の経済外交や安全保障の問題がどう変化するかを検討する必要性が出てきたからです。学部時代に国際政治経済論を専攻し、常々指導教授の先生から「FTA交渉は貿易自由化を巡る政治的軋轢の構造を見る上で格好の材料である」と言われていましたが、まさにその先生のお言葉を今回のセミナーにおける「日中経済交渉」さながらの討論を通して実感致しました。今回のセミナーをきっかけに、さらに国際政治経済に対する知見を深めたいという気持ちを抱くことができました。記憶に残る素敵な機会と知性溢れる同世代の若者との出会いに感謝いたします。本当にありがとうございました。
(文責:孫 国鳳)