古田武彦記念古代史セミナー2019
セミナー実施報告
期間 | 2019年11月9日(土)~10日(日) |
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場所 | 大学セミナーハウス (東京都八王子市下柚木1987-1) |
主催 | 公益財団法人大学セミナーハウス |
共催 | 多元的古代研究会 東京古田会 古田史学の会 古田史学の会・東海 |
参加状況 | 64名 |
趣旨
2004年から2014年まで、毎年11月上旬に、八王子の大学セミナーハウスに古田武彦先生をお招きして、1泊2日の「古代史セミナー ~古田武彦先生を囲んで~ 日本古代史新考 自由自在」を開催致しました。その内容は『TAGEN』、『東京古田会ニュース』、『古田史学会報』等に報告されています。更に、2004年から2012年までの内容は、平松健氏によってテーマ別に整理し直して編集され『古田武彦が語る多元史観』(ミネルヴァ書房)として刊行されています。その「はしがき」において古田先生は、「我が国の歴史教育を真実に戻すことが、この一書の役割である」と絶賛していらっしゃいます。また、セミナーの様子は西坂久和氏により完全収録され、西坂ビデオライブラリーに収められており、古田先生のあの情熱溢れるセミナーの様子はいつでも再現することが出来ます。
あのセミナーの内容は、研究者達から「八王子セミナー」として頻繁に引用され続けています。このことは、あのセミナーの内容が豊富であり、学術的に重要であったことの証です。主催した者としては、これに勝る喜びはありません。
古田武彦先生がお亡くなりになって4年が経過しましたが、この間も、直接/間接に古田先生に学んだ古代史学の研究者達による研究が活発に進展し続けていることは悦ばしい限りです。
古田先生の研究方法による古代史学の学会が複数存在し、それぞれが活発に活動を続けていますが、研究者達が学会を超えて一堂に会し、「~古田武彦先生を囲んで~」研究交流をすることに意義があると考え、昨年、あの「八王子セミナー」と同じ場所で、同じ時期に、同じ日程で「古田武彦記念古代史セミナー2018」を開催しました。その趣旨は、「~古田武彦先生を囲んで~」古代史学の現状と発展の方向を確認する、その心は、古代史学の研究を進めるに当たっては、古田先生の研究方法と業績を踏まえることが重要であると考えたからです。
今年も同じ趣旨のセミナーを開催致します。このセミナーにおいて、「古代史学における古田先生の研究方法と業績を再確認」しながら、活発な研究交流が行われることを期待しています。更に、このセミナーは、研究者のみならず、古代史に関心を持つ全ての人を歓迎します。このセミナーが、若い人々が真実の古代を覗く窓になれば幸いです。
このセミナーは、大学セミナーハウスと多元的古代研究会、東京古田会、古田史学の会及び古田史学の会東海が共同で開催致します。
あのセミナーの内容は、研究者達から「八王子セミナー」として頻繁に引用され続けています。このことは、あのセミナーの内容が豊富であり、学術的に重要であったことの証です。主催した者としては、これに勝る喜びはありません。
古田武彦先生がお亡くなりになって4年が経過しましたが、この間も、直接/間接に古田先生に学んだ古代史学の研究者達による研究が活発に進展し続けていることは悦ばしい限りです。
古田先生の研究方法による古代史学の学会が複数存在し、それぞれが活発に活動を続けていますが、研究者達が学会を超えて一堂に会し、「~古田武彦先生を囲んで~」研究交流をすることに意義があると考え、昨年、あの「八王子セミナー」と同じ場所で、同じ時期に、同じ日程で「古田武彦記念古代史セミナー2018」を開催しました。その趣旨は、「~古田武彦先生を囲んで~」古代史学の現状と発展の方向を確認する、その心は、古代史学の研究を進めるに当たっては、古田先生の研究方法と業績を踏まえることが重要であると考えたからです。
今年も同じ趣旨のセミナーを開催致します。このセミナーにおいて、「古代史学における古田先生の研究方法と業績を再確認」しながら、活発な研究交流が行われることを期待しています。更に、このセミナーは、研究者のみならず、古代史に関心を持つ全ての人を歓迎します。このセミナーが、若い人々が真実の古代を覗く窓になれば幸いです。
このセミナーは、大学セミナーハウスと多元的古代研究会、東京古田会、古田史学の会及び古田史学の会東海が共同で開催致します。
セミナーにおいて研究発表される方々からは事前に講演原稿を提出して頂き、実行委員による査読を経て、予稿集を作成致しました。この予稿集が、セミナー参加者にとって発表内容をより精確に理解する助けとなるとともに、多くの研究者から参照され引用されることを願っています。
実行委員長 荻上紘一
【実行委員】
【実行委員】
大墨 伸明
荻野谷正博
橘髙 修
西坂 久和
冨川ケイ子
荻野谷正博
橘髙 修
西坂 久和
冨川ケイ子
和田 昌美
開会の挨拶
大学セミナーハウス館長・鈴木康司
故古田武彦先生の遺徳をしのび 、その学問を継承して古代史研究に一層の実り をもたらすことを目的として開催されました昨年の復活セミナーが、すべての関係者の方々の努力と参加者全員の温かいご支援のおかげで見事な成功を収めましたことを、主催者としてまず、心から感謝申し上げます。
おかげさまで今年も中心となって企画してくださいました実行委員の方々の献身的なお力添えのたまものとして復活第二回目が開かれました。今回も多元的古代研究会、東京古田会、古田史学の会、および古田史学の会・東海が共催してくださいましたことに感謝いたします。
去年は特別講演者して哲学者の山田宗睦先生をお迎えしましたが、今年もまた藤尾慎一郎先生による特別講演がございます。みなさまもご存じのように、藤尾先生は国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院教授として、ご専門の先史考古学に大きな業績のあるお方で 、今回は特に、石器時代の縄文と、鉄器時代の弥生との間に存在していた、石器時代の弥生に関して、稲作を通じた年代測定の問題に触れながらお話してくださると伺っております。「イネと石」の時代が本当に弥生時代と言い切れるのかどうかも含め、きわめて興味深いお話を伺えるものと、我々も楽しみにしております 。
自由な思考に基づきながらも実証的な学問に裏打ちされた、古代史学全体に貢献するに違いない、この古田記念ゼミに相応しい講演であると信じております。ご参加の皆様、それぞれの方が今回もまた十分に実りある成果をこのセミナーから収穫されて次回を楽しみにお帰り下さることを願いつつ私のご挨拶といたします。
おかげさまで今年も中心となって企画してくださいました実行委員の方々の献身的なお力添えのたまものとして復活第二回目が開かれました。今回も多元的古代研究会、東京古田会、古田史学の会、および古田史学の会・東海が共催してくださいましたことに感謝いたします。
去年は特別講演者して哲学者の山田宗睦先生をお迎えしましたが、今年もまた藤尾慎一郎先生による特別講演がございます。みなさまもご存じのように、藤尾先生は国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院教授として、ご専門の先史考古学に大きな業績のあるお方で 、今回は特に、石器時代の縄文と、鉄器時代の弥生との間に存在していた、石器時代の弥生に関して、稲作を通じた年代測定の問題に触れながらお話してくださると伺っております。「イネと石」の時代が本当に弥生時代と言い切れるのかどうかも含め、きわめて興味深いお話を伺えるものと、我々も楽しみにしております 。
自由な思考に基づきながらも実証的な学問に裏打ちされた、古代史学全体に貢献するに違いない、この古田記念ゼミに相応しい講演であると信じております。ご参加の皆様、それぞれの方が今回もまた十分に実りある成果をこのセミナーから収穫されて次回を楽しみにお帰り下さることを願いつつ私のご挨拶といたします。
【特別講演】
二つの弥生時代――「イネと石」の時代から「イネと鉄」の時代へ――
藤尾慎一郎先生(国立歴史民俗博物館教授 )
「イネと鉄」の時代として知られている弥生時代。農業と金属器を手に入れた日本列島の住人の高度成長時代の物語。水田稲作の開始からわずか千年で古代国家を完成させた、驚異の時代が始まったのが弥生時代であった。
しかし、水田稲作が紀元前10世紀に始まっていたことが明らかにされた一方で、金属器が出現した時期は変わらなかったため、今や弥生時代は、石器とイネの時代である前半の6百年と、鉄器とイネの時代である後半の6百年に大きく分かれることになった。
イネと石器の時代とは、一体、どのような時代だったのだろうか。
今回の講演では、縄文時代と、「イネと鉄」の時代の間に存在する「イネと石」の時代に焦点をあてる。「イネと石」の時代は、本当に「弥生時代」といえるのであろうか?
参加者からは、「炭素14年代について、初めて詳しいことが分かりました。弥生時代の区分についても初めて聞く見解で大変新鮮でした。」、「弥生時代が500年さかのぼった件で、論理展開の方法が大変勉強になりました。また、歴史民俗博物館を見学しても理解出来ない件を説明いただき、また、書籍にもない説明もいただき、特別講演時間がもっと欲しいと感じました。藤尾先生をお招きいただき、ありがとうございます。」「藤尾氏の説明で、弥生時代がどのようにして決められているのかよく理解できました。」などの感想が寄せられました。
しかし、水田稲作が紀元前10世紀に始まっていたことが明らかにされた一方で、金属器が出現した時期は変わらなかったため、今や弥生時代は、石器とイネの時代である前半の6百年と、鉄器とイネの時代である後半の6百年に大きく分かれることになった。
イネと石器の時代とは、一体、どのような時代だったのだろうか。
今回の講演では、縄文時代と、「イネと鉄」の時代の間に存在する「イネと石」の時代に焦点をあてる。「イネと石」の時代は、本当に「弥生時代」といえるのであろうか?
参加者からは、「炭素14年代について、初めて詳しいことが分かりました。弥生時代の区分についても初めて聞く見解で大変新鮮でした。」、「弥生時代が500年さかのぼった件で、論理展開の方法が大変勉強になりました。また、歴史民俗博物館を見学しても理解出来ない件を説明いただき、また、書籍にもない説明もいただき、特別講演時間がもっと欲しいと感じました。藤尾先生をお招きいただき、ありがとうございます。」「藤尾氏の説明で、弥生時代がどのようにして決められているのかよく理解できました。」などの感想が寄せられました。
研究発表
古田武彦先生が他界された後も先生に学んだ方々が各地で研究を継続されています。
今年度は提出していただいた内容を実行委員の査読を得た後、研究発表を3つに分けて、2日間にわたり次の通り10人の方からの発表がありました。
その詳細は、発表原稿(PDFファイルにリンク)をご覧ください。
今年度は提出していただいた内容を実行委員の査読を得た後、研究発表を3つに分けて、2日間にわたり次の通り10人の方からの発表がありました。
その詳細は、発表原稿(PDFファイルにリンク)をご覧ください。
Ⅰ
Ⅱ
■安彦 克己 :安日彦の本拠地を探る
■菊地 栄吾 :「孝季・吉次年譜」とその謎
■合田 洋一 :秋田孝季の歴史観をただす ―「六国史」等記載の「渡嶋」について―
■西坂 久和 :和田家文書のスキタイ・ゲルマンについて
■菊地 栄吾 :「孝季・吉次年譜」とその謎
■合田 洋一 :秋田孝季の歴史観をただす ―「六国史」等記載の「渡嶋」について―
■西坂 久和 :和田家文書のスキタイ・ゲルマンについて
Ⅲ
■大墨 伸明 :「念仏不信人」と記された『一枚起請文』の新史料について
■井上 肇 :『日本後紀』巻第五 延暦十六年三月戊子の甲斐・相模二国堺争を定めた件
■大下 隆司 : 難波宮遺構の考古発掘報告書の批判
■久保 玲子 :八面大王論
■井上 肇 :『日本後紀』巻第五 延暦十六年三月戊子の甲斐・相模二国堺争を定めた件
■大下 隆司 : 難波宮遺構の考古発掘報告書の批判
■久保 玲子 :八面大王論
■古田 光河 : 父の思い出と今後の活動
故古田武彦先生のご子息・古田光河氏より、先生のお人柄と思い出をお話いただきました。
先生を慕う参加者の皆様は、懐かしい映像に時々笑みをうかべ、先生の肉声に聞き入っておられました。
先生を慕う参加者の皆様は、懐かしい映像に時々笑みをうかべ、先生の肉声に聞き入っておられました。
情報交換会
実行委員会により、提出していただいた研究内容の中から5人の方の発表の場を、夕食後の情報交換会に設けました。
■広幡 文 :神武東征
■肥沼 孝治 :方位の考古学
■鈴木 浩 :九州王朝を訪ねる旅Ⅰ~Ⅲを終えて 見えてきた九州王朝
■吉村八洲男 :「信濃の国」での考古遺品から見る「磐井の乱」の実在
■角田 彰男 :臼杵石仏の九州年号について
■肥沼 孝治 :方位の考古学
■鈴木 浩 :九州王朝を訪ねる旅Ⅰ~Ⅲを終えて 見えてきた九州王朝
■吉村八洲男 :「信濃の国」での考古遺品から見る「磐井の乱」の実在
■角田 彰男 :臼杵石仏の九州年号について
閉会
2日間に渡り特別講演と研究発表にて、活発な研究交流を行っていただきました。最後に荻上紘一実行委員長から総評と来年度に向けてのお話をいただき閉会となりました。
司会進行を努めていただきました実行委員の大墨氏を初め、企画を進めていただいた7名の実行委員の方に感謝申し上げます。
参加者の方からは、「年に1回ここに集まり、発表会をすることは非常に意義のあることだと思います。」、「毎年行うことで、会員の研究を促すし、発表内容のレベルアップをはかっていくということでよいかと思います。」、「今後とも続けて下さい。」などの感想をいただきました。
全国から多くの方にご参加いただきありがとうございました。こらからも大学セミナーハウスが、この会の継続の一助になれば幸いです。
司会進行を努めていただきました実行委員の大墨氏を初め、企画を進めていただいた7名の実行委員の方に感謝申し上げます。
参加者の方からは、「年に1回ここに集まり、発表会をすることは非常に意義のあることだと思います。」、「毎年行うことで、会員の研究を促すし、発表内容のレベルアップをはかっていくということでよいかと思います。」、「今後とも続けて下さい。」などの感想をいただきました。
全国から多くの方にご参加いただきありがとうございました。こらからも大学セミナーハウスが、この会の継続の一助になれば幸いです。
開催状況
お問い合わせ
公益財団法人 大学セミナーハウス・セミナー事業部
TEL:042-677-0141(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
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E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1