ご利用者の声

「ぐるぐるつくる大学セミナー・ハウス」ワークキャンプ

2013年9月22日~23日ご利用

2006年にスタートした、「ぐるぐるつくる大学セミナー・ハウス」ワークキャンプも、今年で第12回を数え、9月22日から23日にかけて、学生から社会人、建築関係、環境活動や写真活動など多彩で年齢も幅の広い、22名の参加者が長期館に宿泊して活動をおこないました。活動趣旨を以下のように呼びかけています。
〈開館50周年を迎える、吉阪隆正設計の大学セミナー・ハウス(1965年竣工)に宿泊し、建築と手摺や押し手、階段、タイルなどのディテールを楽しみながら、設計思想にふれ、メンテナンスを行うワークキャンプです。建築をつくること、つかい続けること、読み解くことの意味を考えながら、大学セミナー・ハウスの建築を再発見します〉
活動は、次の三つの柱を中心にしています。
セミナー・ハウスの建物を楽しむ〈建築見学ツアー〉
建築についてゲストの話を聞き、語りあう〈夜話〉
メンテナンスの〈ワークキャンプ〉
初日は、はじめに〈建築見学ツアー〉に出発です。地形を活かした建築の設計プロセス、工夫、現場のエピソードなどを聞きながら、一時間半程度、起伏のある敷地を歩きます。ワークキャンプの活動も廻りながら、竹の手摺や道など、傷んだ場所でメンテナンスの必要な部分を確認する作業でもあります。今回は、道の平板を直す、竹の手摺を取り替える、竹のデッキの修復を行うことにしました。
身支度をして、ワークキャンプスタートです。竹やぶに入り、道具の使い方、切った後の竹の始末などの説明を聞き、4メートル以上の竹を切り出し、運び出して翌日の作業に備えます。
夕食後、長期館セミナー室では、今回のゲスト、U研究室で吉阪先生とともに設計をして現在は独立して設計活動をしている、嶋田幸男(七月工房)塩脇裕(アトリエ海)と主催側から齊藤が参加して、スライドを見ながら、吉阪建築とセミナー・ハウスについて語ります。設計や現場の苦労話。パートナーの大竹十一、松崎義徳の設計手法。そして、「セミナーの建築は宿泊室やセミナー室を地形に沿って配置して大きな屋根を架ける構成になっている」と、塩脇氏は分析する。
また、「自然を生かして建築した敷地では、土が動いていないので、現在も建築前の茅場の植物が生き続けている」と、廣田桂子氏(岐阜森林アカデミー)の貴重な意見を伺うこともできました。
二日目は、バーベキュー広場脇の竹デッキの修復を行って、活動を終えました。はじめての参加者、何度も活動を続けている参加者、スタッフとしてサポートする参加者が自然の中で、出会い、建築を楽しみ、学び、活動する貴重なワークキャンプの場所、セミナー・ハウスに感謝しながら、次回の活動を充実させるために、アイデアを膨らませていきたいと考えています。大変お世話になり、ありがとうございました。
 早稲田大学芸術学校非常勤教員 齊藤 祐子