ご利用者の声

J.A.様

2013年3月27日~28日ご利用

長期館のこと

「赤と青と黄色の部屋」。私の記憶の中の長期館は、長いことそんな名前でした。さかのぼること30年ほど前、母が所属していた教会の合唱団の合宿で長期館を使わせていただいたのです。母に連れられて長期館に泊まった私は当時3歳。長期館での合宿は3年くらい続いたそうですので、恐らく3歳~5歳の夏に、毎年滞在したのだと思います。

赤と、青と、黄色とに斬新に塗り分けられた壁、そして同じ色の階段。いろんなところに丸い窓が空いていて、天窓のような小さな窓もあって、そこで鳩時計ごっこをしたりしたこと。

そんな「赤と青と黄色の部屋」は、私の脳裏にずっと焼き付いて離れませんでした。思い出すたびに、わくわくする場所でした。長じてから、あれは「八王子セミナーハウス」という場所だと母から教えてもらい、けれど、大学生や企業の研修のための場所だと聞いていたので、一般人は泊まれないのだろうとあきらめていましたが、いつかは必ずもう一度訪れたい場所であり続けていたのです。

ひょんなことから、誰でも宿泊が出来ると知り、だったら行きたい!と勢いで決め、「長期館は個人では泊まれないのですよね?」と予約の電話でまぬけな質問をしながらも(長期館は、一館を丸ごと借りて使用する施設のため、15名からでしか宿泊できないのです…)、優しく対応して下さったフロントの方が、「長期館でなくても、古いお部屋!古い建物に泊まりたいです!」という私の素っ頓狂なお願いに応え、本館のお部屋をとってくださいました。しかも、宿泊日当日、支配人の熊木様が声をかけてくださり、長期館についての思い出を熱く語ったところ、ご厚意で、長期館も見学させていただけることになったのです!

長期館に足を踏み入れて、本当に驚いたのは、記憶の中の長期館と現在の長期館が、ほぼ一致したことです。30年前と寸分違わぬ光景がそこには広がっていました(もちろん、歳月の経過によって多少古びてはいましたが…)。3歳児にこんなにも鮮やかに印象を刻みつける建物だったのだということに、私は改めて驚きました。
3歳の私は、もちろんこの建物が、日本を代表する高名な建築家によって建てられたことなど知りません。けれど、その建築から受けたデザインの美しさの印象は、おそらく圧倒的なものだったのでしょう。本物の持つ力を見せつけられた気がしました。

「セミナーハウスは、発想の転換を図る場所」なのだ、と母は言っていました。それはきっとこの敷地に入った時から、建物の内部に入った時から、私たちに促されているのだと思います。様々な知の仕掛けが、この場所にはたくさん詰まっていて、そしてそれは、セミナー・ハウスの設立に携わった方たちの知に対する信頼と、本物の信念から生まれたものであるように感じました。
昔も今も、長期館とセミナーハウスは、私をわくわくさせてくれる、知的好奇心を刺激してくれる空間でした。これからも八王子セミナーハウスが、たくさんの人の知性を支える、本物を伝えてくれる場所であるよう願っています。
J.A.
素敵な文章と素敵な写真をお寄せいただいてありがとうございました。J.A.さんの抱いた“わくわく感”を、これからセミナーハウスを訪れる多くの方々にご享受いただけるよう、職員一同、努力して参ります。どうぞ、また遊びにいらしてください。           
(セミナーハウス職員一同)