第4回新任教員研修セミナー
実施報告
期間 | 2014年9月1日(月)~3日(水) 2泊3日 |
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大学セミナーハウス (東京都八王子市下柚木1987-1) | |
主催 | 公益財団法人大学セミナーハウス |
共催 | 公益社団法人学術・文化・産業ネットワーク多摩 |
開催趣旨
各大学では、それぞれの実情に応じて、様々なタイプの新任教員研修が実施されていますが、実際に行われている授業の教育内容や方法にまで踏み込んだ研修を実施している大学は希であるように思われます。 一般論としては、各授業の教育内容と方法は、各大学の建学の理念(教育目的)、各教育課程の到達目標、その授業のカリキュラム上の位置と、その授業を受ける学生の平均的学力と当該学問分野に関する既習の知識・技能との関係によって定まると言うことができます。 ユニバーサル・アクセスの時代を迎えた現在の大学には、たとえば、入学者選抜方法の多様化による平均的学生層の学力と学習意欲の低下、学習に集中できない学生の増加、就職活動の長期化に伴う実質的な学修時間の減少、卒業生の資質(即戦力)に対する社会的要請の高まり、長期不況下の就職難による学生の目的喪失など、シラバスの作成や実際の授業実施に際して考慮すべき多くの困難が介在しています。私たち大学教員は毎日の授業の中で、恐らく20年前の教員なら予想することも出来ないような事態に直面し当惑していると言えましょう。 しかし、見方を変えれば、多様な学生が大学教育を受ける機会が拡大したことと、大学と社会の新たな関係の構築が模索されているということは、大学教員にとって創造的な転換へと動き出すチャンスであると考えることも可能です。 周知のように、大学教員研修の重要な課題の一つとして授業開発があり、主として教育方法に関する研修が行われてきました。しかし、この種の研修が念頭に置いていたのは、主として知識・技能伝達型授業であり、いかにして学生に、一定程度の知識・技能を習得させるかを直接の目的としていたように思われます。これに対して、ユニバーサル・アクセスの時代の授業開発の目的は、いかにして種々の困難を克服して学生の学習意欲を高め、能動的に授業に参加させるかにおく必要があるように思われます。 言い換えれば、中央教育審議会の答申等に見られるように、自ら問題を発見してそれを解決するという課題探求能力の育成が、現在の大学教育の課題とされています。しかし、この課題を解決するためには、まず眼前の様々な困難を実践的に克服しなければなりません。そのための適切な方策は、何よりも同じ悩みを共有する同僚教員の相互研修であると考えます。そして、そこには新たな時代にふさわしい大学教育のあり方を探るうえでの重要なヒントが見つかるかもしれません。 大学セミナーハウスは、大学教員相互の交流を図ることによってわが国の大学教育の向上・発展に寄与することを目的としており、その一環として今年度も学術・文化・産業ネットワーク多摩との共催で国公私立大学の枠を越えた合宿形式の新任教員研修を企画しました。ご参加を心よりお待ちしております。 |
【今回のセミナーの到達目標】 |
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◆プログラム
≪第1日 9月1日(月)≫ | ||
13:00 | 開会 | |
大学セミナーハウス館長 鈴木 康司 | ||
学術・文化・産業ネットワーク多摩会長 小川 哲生 | ||
明星大学人文学部教授/新任教員研修セミナー運営委員長 菊地 滋夫 | ||
13:40~14:50 | グループ討論1:アイスブレイクと問題意識の共有 | |
【司会】明星大学人文学部教授 菊地 滋夫 | ||
15:10~18:00 | シンポジウム:現代大学教育論 | |
電気通信大学における専門教育としてのキャリア教育実践例: 『エンジニアリングデザイン』を通した社会人基礎力養成 |
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電気通信大学情報理工学研究科教授 中村 淳 | ||
学習支援に果たす図書館の役割 | ||
一橋大学特任教授・前附属図書館長 江夏 由樹 | ||
困難を抱える学生の理解のために-いま、私たちにできること- | ||
明星大学学生サポートセンター長 村山 光子 | ||
18:20~20:30 | 夕食・情報交換会 | |
≪第2日 9月2日(火)≫ | ||
9:30~10:30 | 講演1 | |
学術の創造、継承そして公共性を担う大学-大学教育の質保証- | ||
東京理科大学科学教育研究科教授 北原 和夫 | ||
10:40~12:10 | 【私の授業1】学生参加型授業の実践 | |
明星大学人文学部教授 菊地 滋夫 | ||
13:00~16:00 | 【私の授業2】大人数教室での効果的な授業運営方法 | |
桜美林大学リベラルアーツ学群教授 荒木 晶子 | ||
16:20~18:00 | グループ討論2:学生授業アンケートを授業改善に活かす | |
【コーディネーター】電気通信大学情報理工学部教授 史 傑 | ||
18:20~20:00 | 夕食・情報交換会 | |
≪第3日 9月3日(水)≫ | ||
9:00~10:20 | グループ討論3:大学教員に必要な資質とは(1) | |
10:30~12:00 | パネルディスカッション 大学教員に必要な資質とは(2)-こういう教師に私はなりたい- |
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12:00~12:20 | 閉会(修了証書授与、記念撮影) | |
12:20~13:00 | 昼食会 |
◆講師陣
中村 淳 | ||||||||||||||||||
【経歴】 | ||||||||||||||||||
早稲田大学理工学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、早稲田大学材料技術研究所専任客員講師、理化学研究所基礎科学特別研究員、電気通信大学電気通信学部助手、同助教授、東京大学物性研究所客員准教授、電気通信大学情報理工学研究科准教授等を経て、2012年より電気通信大学情報理工学研究科教授 | ||||||||||||||||||
【専門領域】 物性理論(特に表面界面等の低次元物理と原子レベル物質設計の理論) | ||||||||||||||||||
【主な活動や著書】 | ||||||||||||||||||
応用物理学会理事、代議員、男女共同参画学協会連絡会運営委員、日本物理学会領域世話人など。著書に、「新訂版・表面科学の基礎と応用」(共著)、学術会議叢書12「男女共同参画はどこまで進んだか」(共著)、「グラフェンの機能と応用展望」(共著)など | ||||||||||||||||||
江夏 由樹 |
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村山 光子 | 【経歴】 | |||||||||||||||||
中央大学大学院総合政策研究科修了後、民間企業から明星大学へ転職。明星大学秘書課、学生支援センター等を経て、同大学学生サポートセンター長 | ||||||||||||||||||
【専門領域】 | ||||||||||||||||||
学生支援、学生相談、発達障害者支援(産業カウンセラー、特別支援教育士、スチューデントコンサルタント) | ||||||||||||||||||
【主な活動や著書】 | ||||||||||||||||||
2007年から発達障害を有する学生の支援「STARTプログラム」を運営。各大学のFD/SD研修会講師などを担当 | ||||||||||||||||||
◆新任教員研修セミナー運営委員
菊地 滋夫 (委員長) |
【経歴】 | |
東京都立大学博士(社会人類学)、明星大学人文学部教授 | ||
【専門領域】 | ||
東アフリカ海岸地方の宗教・権力・ジェンダーについての社会人類学的研究 | ||
【主な活動や著書】 | ||
日本文化人類学会、日本アフリカ学会、日本ナイル・エチオピア学会、初年次教育学会会員。『文化人類学を再考する』 (共著)、『アフリカの都市的世界』 (共著)、『呪術化するモダニティ』(共著)など | ||
荒木 晶子 | 【経歴】 | |
サンフランシスコ州立大学大学院(コミュニケーション学修士)、スタンフォード大学客員研究員を経て桜美林大学リベラルアーツ学群教授 | ||
【専門領域】 | ||
スピーチコミュニケーション、異文化コミュニケーション | ||
【主な活動や著書】 | ||
『伝わるスピーチAtoZ』 『自分を活かすコミュニケーション力』『自己表現力の教室』 『口語表現ワークブック』 『異文化コミュニケーション・ワークブック』 『異文化接触の心理学』 など | ||
江夏 由樹 | 【経歴】 | |
ミシガン大学歴史学部博士課程修了(Ph.D in History)その後、一橋大学経済学研究科教授、同研究科長・学部長を経て、一橋大学附属館長等を務める。2014年より一橋大学特任教授、同名誉教授 | ||
【専門領域】 | ||
東北アジア経済史 | ||
【主な活動や著書】 | ||
Banner Legacy(Center for Chinese Studies,University of Michigan,2004)など | ||
北原 和夫 | 【経歴】 | |
ブリュッセル自由大学博士(理学)、マサチューセッツ工科大学研究員、東京大学理学部助手、静岡大学教養部助教授、東京工業大学理学部助教授、同教授、国際基督教大学教養学部教授を経て、2011年より東京理科大学科学教育研究科教授。東京工業大学・国際基督教大学名誉教授 | ||
【専門領域】 | ||
物理学、科学教育 | ||
【主な活動や著書】 | ||
JST科学コミュニケーションセンター研究主監、日本学術会議大学教育の質保証委員会委員、NPO物理オリンピック日本委員会理事長、加藤山崎教育基金理事、東京女子大学評議員、自由学園評議員など。著書に「非平衡系の統計力学」「プリゴジンの考えてきたこと」など | ||
史 傑 (Shi,Jie) |
【経歴】 | |
中国、シンガポールの大学を経て、国際基督教大学で教鞭を執った後、電気通信大学情報理工学部教授(英語) | ||
【専門領域】 | ||
英語教育学(カリキュラムデザイン)、社会言語学(バイリンガリズム)、ESP(専門分野のための英語教育)、FD/PD(Faculty Development/Professional Development) | ||
【主な活動や著書】 | ||
全国語学教育学会、大学英語教育学会、アジア英語学会、IEEE-PCS、国際マルチリガリズム学会会員。『近年の中国高等教育政策の改革』 『理工系大学生のためのEFLカリキュラムデザインの実践とジレンマ』 『日本におけるマルチリンガリズムについての研究』 『FD-大学教員養成の要-』など |