セミナー・イベント

第41回大学職員セミナー
新型感染症時代の大学マネジメント-コロナ危機で変わりゆく大学の姿とマネジメント課題を考える

実施報告 

期日 2020年10月31日(土)
対象 大学教職員
会場 Zoomミーティングルーム
主催 公益財団法人 大学セミナーハウス
参加状況 18名(16大学)
参加者所属大学 國學院大學、関西外国語大学、関西国際大学、京都橘大学、女子栄養大学、創価大学、相模女子大学、筑波技術大学、中央大学、東北学院大学、東洋大学、立正大学、山梨学院大学、早稲田大学
 国公私立の壁を越えた大学職員の学びと交流の場を提供することを法人の設立理念の実現を目指した事業の一つであり、大学職員セミナーは1999年から開催しはじめ、今年は第41回目となりました。コロナの関係で今年はZoomを用いたオンラインセミナーで開催いたしました。企画委員の皆様は、今年の特別な事情を配慮し、「コロナ危機」ともいえる現在の変わりゆく大学の姿を見つめ、コロナ禍のなかの大学マネジメントを課題にしました。10月31日土曜午後13時から開会、近藤清之企画委員長の開催趣旨説明後、企画委員であり筑波大学大学研究センターの加藤毅先生の【基調講演】に入りました。加藤先生はコロナ時代の大学のICT及びデータ革命がもたらした大学の解放と開放について話され、大学での対面コミュニケーションの場が失われ、ICT化が突然に全面展開される今、今後の教育現場の様々な問題を提示してくださいました。【プレ・ディスカッションと論点整理】においては、法政大学総長室付教学企画室の田中一平様、中央大学総合戦略推進室副課長の小池ゆり様、慶応義塾総務部課長・協生環境誌推進室事務長の黒田絵里香様が各自の大学の現場で発生したことを紹介しながら、当セミナーの論点を整理してくださいました。続きに【グループワーク】の時間において、五つのグループに分け、三つのテーマをめぐり参加者の皆様が議論をなさいました。最後の全体会において情報を共有するために各グループ議論の結果を報告してくださいました。コロナ禍の中、大学の職員の皆様が苦悩しながらの日常のなか、大学教育の中の役割を果たそうとしている姿をこのセミナーを通して見えてきた気がいたします。

趣旨

 不意に襲ったコロナ禍により緊急事態宣言が発令され、大学もまた、移動および対面でのコミュニケーションが著しく制限されるという想定外の事態を迎えることとなりました。多くの大学は、時代の要請に応じて拡充を続けてきた活動の範囲と内容を大幅に絞り込み、オンライン授業や在宅勤務の導入、そして設置基準等の弾力的運用などにより、これまで不十分ながら社会的役割を果たしてきたところでしょう。
 激動の半年間を経て、我々はいま、これまでの緊急時対応を振り返るとともに、これからの大学のあり方を抜本的に問い直すべき時期を迎えています。新型感染症の終息の目処が未だついていないなか、学生支援をはじめとして現在停止・縮小している活動について、改めて設計しなおすことが必要となります。在宅勤務を通じて実態が露わになった職員の仕事についても、再編が進むことになり、あるいは、否応なく導入されたICTについて、高い利便性やパフォーマンスが認められる場合には、感染症終息後も積極的に活用されていくことになるでしょう。DX:デジタル・トランスフォーメーションと呼ばれる大きな流れです。また、設置基準等の弾力化という名称のもとに認められた規制緩和によって、大学の経営環境、大学間競争の構造が激変するというシナリオも、現実味を帯びつつあります。
 本セミナーでは、各大学において展開された多様なコロナ禍への対応状況や課題・問題点等について情報交換を行うと同時に、この危機を乗り超えるために大きく変わりつつある大学の姿とそこでの経営課題について、教育、学生支援、職員の働き方、法人による支援、近未来の大学など、様々なテーマを設定し議論を深めていきます。セミナーを通じて得られた現場の最新動向や将来展望が、受講者の今後の業務に活かされることを期待します。
 

【開会式】

大学セミナーハウス専務挨拶

開会の挨拶をする外村幸雄専務


 

開催趣旨説明

近藤清之企画委員長

【基調講演】
加藤 毅 准教授
新型感染症時代の大学マネジメント-ICT&データ革命がもたらす大学の解放と開放

筑波大学大学研究センター准教授加藤毅先生

【プレ・ディスカッションと論点整理】

法政大学 田中 一平 総長室付教学企画室
田中様は教育活動について「何が起きたか、どのような対応をしたか、現場の最前線では、法政大学内の合意形成、何が変わったのか、withコロナ・ポストコロナに向けて(創造力と突破力)、これからの職員は壁を壊す人、境界を超えるひとに」話されました。

慶應義塾大学 黒田絵里香 慶應義塾総務部課長・協生環境推進室事務長
黒田様は「現場レベルの現象と創意工夫-職員の働き方の変容」について話されました。ご自分の大学の状況を交えながら、新型コロナ感染症の拡大により生じたこと・その対応、大学職員が対応すべきこと、これからの時代(After・ With)をテーマに述べられました。

中央大学 小池 ゆり 総合戦略推進室 副課長
小池様は学生支援の角度からプレディカッション論点を整理し、何が起こったか、どう対応したか、見えてきたこと、 With/Afterコロナ大学は?職員は?について話されました。

【グループワーク】                  

テーマ1 現場レベルの現象と創意工夫「教育活動」
テーマ2 現場レベルの現象と創意工夫「学生支援」
テーマ3 現場レベルの現象と創意工夫「職員の働き方の変容」

グループワークは上記の三つのテーマをめぐり、ABCDE五つのグループに分けて議論しました。

【グループワーク結果発表】

グループA発表者 立正大学小澤奈々子様

グループC発表者 早稲田大学板倉みどり様

グループD発表者 中央大学横澤亮平様

グループE発表者 創価大学大泉直樹様

【参加者アンケート】

〔基調講演について〕
・今後の大学は解放と開放のインパクトに耐えるか受け容れるかの間を往還しつつ進んでいくことになるでしょう。大学に投げかけられているのは、大学の本質的価値は何かという問いであり、これまで以上に大学の個性化や建学の理念の具現化が重要になると考えています。また、今は遠隔授業の優位性を認める声が強いですが、失われたものの検証も必要でしょう。場の共有を大切にしてきた日本人が簡単に変われるとも思いません。やるべきことは、従来とそんなに変わらないのではないかという感想を持ちました。今後の教育の在り方を考える上で、貴重な示唆をいただいたことに感謝申し上げます。

・普段は目の前に差し迫った業務にのみ捉われていて、もっと大局的な流れに目を向けるいい機会となった。特に、単なる事務連絡・答申の紹介だけでなく、今後の大学のあり方であったり、職員として考えていかなければならない部分について、さまざまな観点から触れられていて、いかに自分が小さい領域ばかりを追いかけていたかがよくわかった。しかし、講演時間が超過したことで他のスケジュールがすべて押してしまったことは残念だった。

・大変示唆に富む基調講演を受講させていただき、大変にありがとうございました。中長期計画に活かすべき情報と、至急性の高い情報を整理し、自分の業務に反映したいと思いました。

〔プレディスカッションと論点整理について〕
・基調講演は大局的な視点だったので、プレディスカッションがあったことで、現場レベルでの視点での落とし込みができたのが良かったです。

・結果的に各大学の状況を知ることができ、後のグループワークに内容を繋げることができた。一方で論点整理と言いつつ、ただの話題提供・事例紹介に過ぎなかったのが非常に残念だった。

・実担当の職員の皆さんのお話を聴くことができたので、より自大学の状況に即して学びの多いお話でした。

〔グループワークについて〕

・ご参加された皆様の貴重なご経験やご提言を拝聴でき、小職の財産になりました。本学においては様々な取り組みをしていますが、その分、事務作業も膨大であり、事務に追われることが多いのですが、その先にあるべきもっと大切な何かを常に意識する必要を感じました。ファシリテーター含め、ご参加されました方々に感謝申し上げます。

・コロナ禍においても積極的な課外活動支援がなされていることを知り、とても勉強になりました。また、職員の備えるべき能力についても見直す必要があると再認識しました。

・コロナ対応を中心に本学の様々な取り組みを日常的に観察していて、「他大学より遅れている」と感じていました。他大学と比較して、もちろん、進んでいるわけではないですが、どうしようもないほど遅れているわけでもないことが何となくわかった気がします。
 

大学職員セミナー企画委員会

委員長
 近藤 清之 法政大学常務理事
委員
 青木加奈子 新島学園短期大学事務長
 加藤 毅 筑波大学大学研究センター准教授
 神山 正之 立教大学キャリアセンター事務部長
 黒田絵里香 慶應義塾総務部課長・協生環境推進室事務長
 

お問い合わせ

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