セミナー・イベント

第36回大学職員セミナー
大学職員の可能性を広げよう――大学のグローバル化を牽引する職員を目指して(第2回)――

実施報告

期間 平成29年11月24日(金)~25日(土)
場所 大学セミナーハウス
主催 公益財団法人大学セミナーハウス
協賛 公益社団法人学術・文化・産業ネットワーク多摩

参加状況 : 27名(23校)

関西国際大学・静岡産業大学・相模女子大学・中央大学(各2)、愛知医科大学・横浜国立大学・岡山理科大学・活水女子大学・国際基督教大学・青山学院大学・武蔵大学・北九州市立大学・駿河台大学・神戸国際大学・成城大学・静岡理工科大学・大同大学・同志社大学・日本女子大学・福岡大学・防衛大学校・明星大学・立命館大学(各1)
(順不同)

趣旨

 近年、日本の大学にはグローバル化の波が急速に押し寄せています。産業界からのグローバル人材“育成”の要請、文部科学省による大学グローバル化事業の推進があり、大学は自身のディプロマポリシー、カリキュラムポリシーに基づき、人的・物的リソースを用意のうえ、それぞれがグローバル化政策をたて、様々な教育プログラムを立ち上げ、日本人学生の海外派遣、外国人留学生の迎え入れを進めています。また、多くの大学は国際部や国際連携部、グローバル教育センターといったグローバル化のための組織を整備しているところです。
 本セミナーでは大学のグローバル化の意味と、そこでの大学職員の役割を考えてみます。海外、特にアジアの高校、大学を回ると多くの日本の大学からアプローチがあることを聞きますし、目にします。アジア諸国の若者には、日本に限らず留学志向が強くあることを目の当たりにすることができ、その学びに対する貪欲さ、真摯な眼差しに心奪われる瞬間もしばしばあります。一方、日本人学生はどうでしょうか? 大学のグローバル化の推進の一環で正課授業に短期の留学や海外でのフィールドワーク等が採り入れられ、「見かけ」の海外留学件数は増えているものの、各種メディアで「日本人の内向き志向」が伝えられるのは、我が国の海外への送り出しプログラムや仕組みがまだまだ未成熟で、若者たちが主体的に海外から何かを学び取ろうとする動機付けの機会が整備されていないからかもしれません。また、外国人留学生の迎え入れと日本人学生の海外派遣のバランスをいかにとって、どのようにキャンパスのグローバル化を推進するのかも各大学における課題であると言えるのではないでしょうか。
 こうした現実のもと、個々の大学に問われるのは「グローバル化政策」をどのように構築するかです。それには、キャンパスの中で学生に直に接している職員の役割は重要です。海外での学生リクルート活動やプログラム開拓における職員の役割も大きなものがあるはずです。
 今年度の大学職員セミナーは、こうした問題認識のもとで、実際に大学のグローバル化を牽引している職員の方を講師に迎え、大学のグローバル化と職員の役割について考えます。
第1回セミナーは7月に立命館大学から宮下明大氏を迎えて、大学グローバル化の先進事例と職員の役割について講演をいただき、ワールドカフェ形式のワークショップを行います。
 第2回セミナーは1泊2日の合宿形式で行います。早稲田大学留学センターの眞谷国光氏に基調講演をお願いし、具体的な大学グローバル化戦略を考えるワークショップを行います。早稲田大学は外国人留学生の迎え入れ数は日本一、また日本人学生の海外派遣数でもトップクラスを誇る大学です。海外大学と共同の教育プログラムも数多く持っています。留学プログラムをどのように企画・立案し、運営していくかは多くの大学で課題となっています。プログラムの開発や運営面の工夫と課題について聞くことは多くの大学職員にとって有益なものになるはずです。
ワークショップでは仮想大学を設定し、参加者の皆さんに具体的なグローバル化戦略を考えていただきます。毎年このワークショップでは参加者の皆さんの白熱した議論で時間が足りず、予定時間を超えた議論を経て、質の高いプレゼンテーションをしていただいています。
 本セミナーは「聞く」だけでなく、「聞く」「考える」「ディスカッションする」「プレゼンテーションする」を盛り込んだ、中身の濃い研修を行っています。全国の国公私立大学の職員が集まる数少ない研修の場です。皆さんのご参加をお待ちしています。



 
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 今年度の2回目となる第36回大学職員セミナーでは、大学のグローバル化を牽引している職員の方を講師に迎え、大学のグローバル化と職員の役割をテーマに掲げ、グループに分かれて議論した。

■基調講演
海外留学プログラムの開発と運営について―早稲田大学の事例より―
眞谷国光氏(早稲田大学国際部国際教育企画課兼留学センター・国際プログラムコーディネーター)

 初日の基調講演では、大学における「海外留学」の開発と運営は、どのようにあるべきか、留学プログラムの実際の開発経験や運営面での工夫と課題、リスク管理など早稲田大学の事例についての多くの示唆に富む具体的な内容のお話があった。早稲田大学の先進的な事例は、この後展開するグループディスカッションのよい導入となった。

早稲田大学における「海外留学」の開発と運営の実践を語る眞谷国光氏

グループディスカッション

 基調講演の後、参加者は「学生の成長を促す『海外プログラム』の提案」という与えられた課題を4グループに分かれて、延べ5時間にわたり意見を出し合い、試行錯誤のすえに一つの提案書にまとめて発表し合った。
 グループディスカッションでは、背景の異なる大学に所属する職員が集まることで「多くの視点、考え方を学ぶことができた」との感想が寄せられた。

条件付きの仮想大学(地方私立大学、入学定員200人など)のなかでグローバル化を構想する。

各グループで構想した海外プログラムのプレゼンテーション

 今回の1泊2日の大学職員セミナーは、個人として講演を「聞く」だけの一方向的なものではなく、グループで課題に取り組むことを通して、「考える」「ディスカッションする」「プレゼンテーションする」を盛り込んだ中身の濃いセミナーとなった。

大学職員セミナー企画委員会

<委員長>法政大学常務理事・近藤 清之 
<委 員>高崎経済大学研究グループ研究支援チーム・青木加奈子
       明治大学社会連携事務室事務長・岩﨑 宏政
              中央大学入学センター入学企画課課長・大久保陽造
              桜美林大学大学院・大学アドミニストレーション研究科教授・山本 眞一