憲法を学問するⅨ 『司法の消極性と積極性~違憲審査のLegitimacy~』
| 日程 | 2025年11月22日(土)~23日(日)1泊2日 |
|---|---|
| 参加対象 | 大学生(大学院生を含む)、社会人 |
| 開催形式 | 対面宿泊型セミナー |
| 定員 | 50 名 |
| 参加費 | 会員校学生 8,000円、一般校学生 10,000円、社会人 17,000円 ※宿泊費・食事費・消費税を含みます。 ※会員校リストはこちらへ |
| お支払い方法 | ❶クレジットカード払い……後日お支払い用リンクをお送りいたします。 (VISA・MasterCard・JCB・AMRICANEXPRESS・ Diners Club International・Discover) ❷銀行振り込み……後日振込み先情報をお送りいたします。 |
| 会場 | 大学セミナーハウス(東京都八王子市下柚木1987-1) ※交通案内はこちら |
| 申込方法 | 「憲法を学問するⅨ お申込みフォーム」 |
| 申込締切 | 2025年11月7日(金) |
| 主催 | 公益財団法人 大学セミナーハウス |
【開催趣旨】
司法の消極性と積極性〜違憲審査のLegitimacy
「憲法を学問するⅡ」以来、久方ぶりに、「判例」をテーマに採り上げることになった。当時、4人の講師がそれぞれの判例解釈方法論の違いについて討論するパネル・ディスカッションを、フロアで聴いていた樋口陽一教授が思わず立ち上がって、「いま、歴史に残るような議論が行われているんですよ、皆さん!」と発言されたことは、記憶に新しい。「歴史的な議論」とは過褒の言であるが、合宿セミナーならではの率直な議論の応酬は、講師それぞれにとって学ぶところ多く、心地の良い体験であった。アンケートをみる限りでは、参加者のみなさんにとっても、知的興奮をよぶ時間になったようである。
さて、今回の趣向は、「裁判官」である。前回の二番煎じにならぬよう、講師の間で討論をした結果、おのずから主題として浮かび上がってきた。戦後日本では、違憲審査制を採用しながらも、裁判官が民主的正統性を欠くために消極的な姿勢が目立ち、「顔のない裁判所」と呼ばれてきた。しかし、「トランプのアメリカ」にみられるように、混迷がめだつ海外の裁判所を尻目に、日本の裁判所は近年、着実に成果を挙げ始めているようにみえる。世界の立憲主義における「周回遅れのフロント・ランナー」になる日も近いのかもしれない。
かつて日本の最高裁を憲法判断積極主義かつ違憲判断消極主義と評した名著『司法の積極性と消極性』の著者も、現在では、「職業裁判官を担い手とする下級審の判断をきっかけとして憲法の意味が示されるという名誉ある実験」に注目している。その際、成功の軌跡を仔細に検討すると、当該事件が係属した小法廷には、必ず注目すべき裁判官がいて重要な役割を果たしていることがわかる。今回の「憲法を学問するⅨ」では、講師がおのおの注目する「裁判官」を具体的に念頭におきつつ、各々の主題を設定した。誰が念頭におかれているかは、フタを開けてみてのお楽しみ、というところである。
「憲法を学問するⅡ」以来、久方ぶりに、「判例」をテーマに採り上げることになった。当時、4人の講師がそれぞれの判例解釈方法論の違いについて討論するパネル・ディスカッションを、フロアで聴いていた樋口陽一教授が思わず立ち上がって、「いま、歴史に残るような議論が行われているんですよ、皆さん!」と発言されたことは、記憶に新しい。「歴史的な議論」とは過褒の言であるが、合宿セミナーならではの率直な議論の応酬は、講師それぞれにとって学ぶところ多く、心地の良い体験であった。アンケートをみる限りでは、参加者のみなさんにとっても、知的興奮をよぶ時間になったようである。
さて、今回の趣向は、「裁判官」である。前回の二番煎じにならぬよう、講師の間で討論をした結果、おのずから主題として浮かび上がってきた。戦後日本では、違憲審査制を採用しながらも、裁判官が民主的正統性を欠くために消極的な姿勢が目立ち、「顔のない裁判所」と呼ばれてきた。しかし、「トランプのアメリカ」にみられるように、混迷がめだつ海外の裁判所を尻目に、日本の裁判所は近年、着実に成果を挙げ始めているようにみえる。世界の立憲主義における「周回遅れのフロント・ランナー」になる日も近いのかもしれない。
かつて日本の最高裁を憲法判断積極主義かつ違憲判断消極主義と評した名著『司法の積極性と消極性』の著者も、現在では、「職業裁判官を担い手とする下級審の判断をきっかけとして憲法の意味が示されるという名誉ある実験」に注目している。その際、成功の軌跡を仔細に検討すると、当該事件が係属した小法廷には、必ず注目すべき裁判官がいて重要な役割を果たしていることがわかる。今回の「憲法を学問するⅨ」では、講師がおのおの注目する「裁判官」を具体的に念頭におきつつ、各々の主題を設定した。誰が念頭におかれているかは、フタを開けてみてのお楽しみ、というところである。
(「憲法を学問する」企画委員長 石川健治)
樋口陽一先生特別講義(事前視聴予定)
講師紹介:
1934年生まれ
東京大学・東北大学名誉教授
法学博士
パリ大学名誉博士
国際憲法学会名誉会長
日本学士院賞受賞(1975年)
レジオンドヌール勲章受勲
1934年生まれ
東京大学・東北大学名誉教授
法学博士
パリ大学名誉博士
国際憲法学会名誉会長
日本学士院賞受賞(1975年)
レジオンドヌール勲章受勲
【分科会】
第1分科会 『行政法学者の立憲主義』
講師:石川 健治(東京大学法学部教授)
主旨:歴代の学者出身判事には、行政法学者が選ばれることが少なくなく、(御本人は職業裁判官としての自意識をおもちだったにせよ)京都大学や筑波大学・成蹊大学で行政法を講じた園部逸夫判事をカウントすれば、私の研究者人生を通じて、最高裁の第3小法廷にはコンスタントに行政法学者がいたことになる。
けれども、「法律による行政」の原理の実現に半生をかけてきた行政法学者が、憲法解釈論のイディオムに習熟しているとは、必ずしもいえない。日本公法学会という同一の学会を構成し、少なくとも年に一度は相互乗り入れの機会をもっているとはいえ、憲法学と行政法学にはカルチャーの違いがある。
なぜ2つの公法学にはカルチャーの違いが存在するのか?そうしたなか、憲法問題に直面した行政法学出身の裁判官は、どのようにふるまってきたのか?それを、具体的な最高裁判例を取り上げながら、一緒に考えてみようというのが、本分科会の狙いである。
けれども、「法律による行政」の原理の実現に半生をかけてきた行政法学者が、憲法解釈論のイディオムに習熟しているとは、必ずしもいえない。日本公法学会という同一の学会を構成し、少なくとも年に一度は相互乗り入れの機会をもっているとはいえ、憲法学と行政法学にはカルチャーの違いがある。
なぜ2つの公法学にはカルチャーの違いが存在するのか?そうしたなか、憲法問題に直面した行政法学出身の裁判官は、どのようにふるまってきたのか?それを、具体的な最高裁判例を取り上げながら、一緒に考えてみようというのが、本分科会の狙いである。
講師紹介:東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、東京都立大学法学部助教授・同教授を経て、2003年より現職。
単著に、『自由と特権の距離──カール・シュミット「制度体保障」論・再考』(日本評論社、1999年/増補版・2007年)。共編著に、樋口陽一編『ホーンブック 憲法』(北樹出版、1993年/第2版、2000年)、石川健治編『学問/政治/憲法』(岩波書店、2014年)、長谷部恭男・宍戸常寿との共編『憲法判例百選Ⅰ、Ⅱ〔第7版〕』(有斐閣、2019年)、佐伯仁志・大村敦志編集代表『六法全書』(有斐閣)、など。第2分科会 『精神的自由と客観法原則』
講師:蟻川 恒正(日本大学大学院法務研究科教授)
主旨:司法の消極性と積極性という主題を日本の最高裁に即して検討する場合、精神的自由の領域の裁判例を取り上げることは、一つの重要な切り口になると思われる。例えば、精神的自由にかかわる論点のなかでも、最高裁が、どのような論点に対して厳しい審査で臨み、どのような論点に対して緩やかな審査にとどめているかを問い、その差異をもたらしているものが何かを探ると、近時その「活性化」が指摘されることが多い最高裁の司法審査の動向の基底にあるものに迫ることができるかもしれない。
なお、考察を進めるに当たり、本分科会は、「主観的権利」と「客観法原則」という対抗概念を分析の座標軸として援用することを(目下のところ)考えている。
講師紹介:東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、東北大学法学部教授、東京大学法学部教授等を経て、現職。
単書に『憲法的思惟──アメリカ憲法における「自然」と「知識」』(岩波書店、2016年)、『尊厳と身分──憲法的思惟と「日本」という問題』 (岩波書店、2016年)、『憲法解釈権力』(勁草書房、2020年)、 共編著に、蟻川恒正・木庭顕・樋口陽一編著『憲法の土壌を培養する』(日本評論社、2022年)共著に、樋口陽一ほか『新版 憲法判例を読みなおす──下級審判決からのアプローチ』(日本評論社、2011年)、雑誌連載に「プロト・ディシプリンとしての読むこと 憲法」第1回~第13回(『法学セミナー』(日本評論社)664号(2010年)~677号(2011年))、「起案講義憲法」第1回~第43回(『法学教室』 (有斐閣) 391号(2013年)~438号(2017年))、論文に「天皇の根本規範」『論究ジュリスト』(有斐閣)36号(2021年)、「『婚姻の自由』のパラドクス」(『法律時報』(日本評論社)1177号(2022年6月号)など。
なお、考察を進めるに当たり、本分科会は、「主観的権利」と「客観法原則」という対抗概念を分析の座標軸として援用することを(目下のところ)考えている。
講師紹介:東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、東北大学法学部教授、東京大学法学部教授等を経て、現職。
単書に『憲法的思惟──アメリカ憲法における「自然」と「知識」』(岩波書店、2016年)、『尊厳と身分──憲法的思惟と「日本」という問題』 (岩波書店、2016年)、『憲法解釈権力』(勁草書房、2020年)、 共編著に、蟻川恒正・木庭顕・樋口陽一編著『憲法の土壌を培養する』(日本評論社、2022年)共著に、樋口陽一ほか『新版 憲法判例を読みなおす──下級審判決からのアプローチ』(日本評論社、2011年)、雑誌連載に「プロト・ディシプリンとしての読むこと 憲法」第1回~第13回(『法学セミナー』(日本評論社)664号(2010年)~677号(2011年))、「起案講義憲法」第1回~第43回(『法学教室』 (有斐閣) 391号(2013年)~438号(2017年))、論文に「天皇の根本規範」『論究ジュリスト』(有斐閣)36号(2021年)、「『婚姻の自由』のパラドクス」(『法律時報』(日本評論社)1177号(2022年6月号)など。
第3分科会 『救済する司法』
講師:宍戸 常寿(東京大学法学部教授)
主旨:人権の最後の砦、弱者を守る法の番人としての役割が、裁判所には期待されています。その反面、まさに憲法の定める国家権力である「司法」として、裁判所の働きには制約が伴います。このような人権救済の限界への意識は、優れた職業裁判官ほど、強く感じているようです。この矛盾は、裁判所に違憲審査権が認められるのは何のためか、救済のための道具立てが不十分でないかなどといった、憲法訴訟の根幹に関わる問題です。一票の較差、夫婦別姓事件、性同一性障害特例法事件などの近時の最高裁の個別意見から、そうした課題を乗り越えて救済を実現しようとする、法律家らしい議論を捉えて、議論してみたいと思います。
講師紹介:1997年東京大学法学部卒業。同年東京大学大学院法学政治学助手、2000年東京都立大学法学部助教授、2005年首都大学東京法科大学院助教授、2007年一橋大学法学部准教授、2010年東京大学法学部准教授を経て、2013年より現職。
憲法・国法学・情報法。主要業績として『憲法裁判権の動態(増補版)』(弘文堂、2021年)、『憲法 解釈論の応用と展開(第2版)』(日本評論社、2014年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『戦後憲法学の70年を語る』(共編著、日本評論社、2020年)、『憲法演習ノート(第2版)』(編著、弘文堂、2020年)、『18歳から考える人権(第2版)』(編著、法律文化社、2020年)、『法解釈入門(第2版)』(共著、有斐閣、2020年)、『法学入門』(共編著、有斐閣、2021年)等。
講師紹介:1997年東京大学法学部卒業。同年東京大学大学院法学政治学助手、2000年東京都立大学法学部助教授、2005年首都大学東京法科大学院助教授、2007年一橋大学法学部准教授、2010年東京大学法学部准教授を経て、2013年より現職。
憲法・国法学・情報法。主要業績として『憲法裁判権の動態(増補版)』(弘文堂、2021年)、『憲法 解釈論の応用と展開(第2版)』(日本評論社、2014年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『憲法学読本(第3版)』(共著、有斐閣、2018年)、『戦後憲法学の70年を語る』(共編著、日本評論社、2020年)、『憲法演習ノート(第2版)』(編著、弘文堂、2020年)、『18歳から考える人権(第2版)』(編著、法律文化社、2020年)、『法解釈入門(第2版)』(共著、有斐閣、2020年)、『法学入門』(共編著、有斐閣、2021年)等。
第4分科会 『家族と自然』
講師:木村 草太(東京都立大学法学部教授)
主旨:この分科会では、憲法問題としての家族を扱います。フランス1791年憲法、そしてそれに続く欧州の諸憲法は、家族についての規定を設けました。1919年のワイマール憲法、1947年の日本国憲法もまた、家族規定を持っています。これらが何のための規定なのか。最新の最高裁判例のテキストを素材に掘り下げます。
この分科会のもう一つのテーマが、「制度と自然」です。憲法上の権利の中には、憲法以前から存在する人権のように見えるのに、法律で法制度を創設しないと存在し得ない権利があります。その謎めいた権利を、どう整理すべきなのか。みなさんと一緒に考えましょう。
講師紹介:2003年、東京大学法学部卒業。同大学法学政治学研究科助手を経て、2006年より、首都大学東京准教授。2016年、同教授。
専攻は憲法学。平等権、代表制論、地方自治、憲法訴訟論などを研究。著書に、『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『憲法の創造力』(NHK出版新書)、『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)、『テレビが伝えない憲法の話』(PHP新書)、『未完の憲法』(潮出版、奥平康弘氏と共著)、『憲法学再入門』(有斐閣、西村裕一氏と共著)、『憲法の条件』(NHK出版新書、大澤真幸氏と共著)。
この分科会のもう一つのテーマが、「制度と自然」です。憲法上の権利の中には、憲法以前から存在する人権のように見えるのに、法律で法制度を創設しないと存在し得ない権利があります。その謎めいた権利を、どう整理すべきなのか。みなさんと一緒に考えましょう。
講師紹介:2003年、東京大学法学部卒業。同大学法学政治学研究科助手を経て、2006年より、首都大学東京准教授。2016年、同教授。
プログラム
|
第1日目 11月22日(土)
|
|
|---|---|
| 12:50~ | 受付 |
| 13:20~ | 開会 |
| 13:30~15:00 | パネルディスカッション(分科会講師) |
| 15:00~15:30 | オリエンテーション・宿泊室へ入室 |
| 15:30〜18:00 | 【分科会Ⅰ】 |
| 18:00~ | 夕食・フリートーク |
|
第2日目 11月23日(日)
|
|
|---|---|
| 07:30~ | 朝食・宿泊室を退室 |
| 09:00~10:30 | 【分科会Ⅱ】 |
| 10:30~12:00 | 分科会報告 |
| 12:00~ | 昼食 |
| 13:00〜15:00 | 総括討論・質疑応答 |
| 15:10~15:30 | 閉会・記念撮影・解散 |
企画委員
石川 健治(東京大学法学部教授)企画委員長
蟻川 恒正(日本大学大学院法務研究科教授)
宍戸 常寿(東京大学法学部教授)
木村 草太(東京都立大学法学系教授)
蟻川 恒正(日本大学大学院法務研究科教授)
宍戸 常寿(東京大学法学部教授)
木村 草太(東京都立大学法学系教授)
お問い合わせ
公益財団法人 大学セミナーハウス セミナー事業部
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/
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