セミナー・イベント

古田武彦記念古代史セミナー2020

セミナー実施報告

期間 2020年11月14日(土)~15日(日)
場所 大学セミナーハウス (東京都八王子市下柚木1987-1)
主催 公益財団法人大学セミナーハウス
共催 多元的古代研究会 東京古田会 古田史学の会 古田史学の会・東海
参加状況   54名(会場参加者28名・オンライン参加者26名)

【趣 旨】

『「邪馬台国」はなかった』Revisited and Further Developments
 
 古田武彦先生の古代史学の研究は、『史学雑誌』78編9号(史學会 1969年9月20日発行)に掲載された「研究ノート 邪馬壹国」(pp. 45〜83)でスタートし、古代史学界に大きな衝撃を与えました。古代史学の研究者を対象に刊行されるこの学術雑誌が一般の読者に読まれることは殆どなかったと思われますが、先生はその内容を一般の読者に向けて解説した『「邪馬国」はなかった─解読された倭人伝の謎─』(朝日新聞社 1971年11月15日発行)を通して、全ての日本国民に語りかけました。卑弥呼の国は博多湾岸にあり、その国名は「邪馬臺国」ではなく「邪馬壹国」であったことを理路整然と主張するこの本を読んだ人々は、学校で教えられた古代史との違いに驚き、目から鱗が落ちたことでしょう。しかし、最も注目すべきことはその結論ではなく、そこで用いられている学問の方法です。
 研究遂行において古田先生が用いた「武器」は「論理」です。先生は、「論理の導くところに行こうではないか。たとえそれが何処に到ろうとも。」を座右の銘として、客観的に論理を展開することに徹しました。根拠資料の客観的な活用に基づき客観的且つ緻密な論理を展開することによって史実に迫る、これこそが古田先生の古代史学の研究方法です。
 今回このセミナーを企画するに当たって、ミネルヴァ書房版の『「邪馬台国」はなかった』を丁寧に読み返してみました。驚いたことに、50年前に読んだ時とは随分印象が違いました。50年前には気付かなかった疑問等がたくさん見つかり、先生が御存命ならば是非お聞きしたいと思いました。
 このセミナーでは、『「邪馬台国」はなかった』で扱われている基本的なテーマについて現在の視点に立って読み返すことにより、古田先生の古代史学の研究方法を再確認するとともに、その後の発展についても触れて頂く講演をお願いしました。講演を巡って建設的な議論が盛り上がることを期待しています。
 このセミナーは、研究者のみならず、古代史に関心を持つ全ての人を歓迎します。このセミナーが、若い人々が真実の古代を覗く窓になれば幸いです。
 このセミナーは、大学セミナーハウスと多元的古代研究会、東京古田会、古田史学の会及び古田史学の会・東海が共同で開催します。
実行委員長 荻上紘一
 

【開会の挨拶】

大学セミナーハウス館長・鈴木康司

古田武彦記念古代史セミナー

大学セミナーハウス
鈴木康司館長

 今年は全世界を汚染するコロナウィ ルスによる災害により、予測のつかない状態が続き 、当セミナーハウス主催のセミナーも或いは延期、また或いは中止せざるを得ないものが続出いたしましたが、復活第三回目に当たるこの古田武彦記念古代史セミナーが、ハイブリッドセミナーの形で実現いたしましたことは誠にうれしく、主催者として厚く御礼申し上げます。
 実現に至るまでの関係者のご努力は実に素晴らしく、実行委員会の皆様はじめ、共催者の多元的古代研究会 、東京古田会、古田史学の会、古田史学の会・東海の方々に深い敬意を表したいと存じます。
  古代の歴史を探る試みといえば 、いかにもロマンの香りが漂う思いを抱く向きも 、一般的にはあろうかと思いますが、古田先生の学問は何よりもその根底に史実を忠実に掘り起こし、整然たる理論によって学説を構築するところに真骨頂があると伺いました。対象とする歴史がたとえ学会の定説となっていようとも 、本当に定説通りか否か、検証しなおすとこ ろに学問の進歩があるのであり、古田先生が 発表された「 邪馬台国はなかった」はまさしく古田史学の原点だったと拝察いたします。今回のセミナーはこの原点、に立ち返り、改めて研究者の皆様と討議を深め古田史学の発展に寄与するも のと、期待しております。二日間にわたるセ ミナーで実り多き結果がもたらされるのを信じて、私からのご挨拶といたします。ありがとうございまし た。

【来賓ご挨拶】 

ミネルヴァ書房社長 杉田啓三氏

オンラインから来賓のご挨拶をされる ミネルヴァ書房社長 杉田啓三氏

【実行委員長挨拶】

古田武彦記念古代史セミナー2020実行委員長 荻上 紘一

今年度のハイブリットセミナーについてお話される荻上紘一実行委員長

【講 演】

 古田武彦先生が他界された後も先生に学んだ方々が各地で研究を継続されています。
今年度は、先生の著書『「邪馬台国」はなかった─解読された倭人伝の謎─』の出版50年目に当たります。
本セミナーでは『「邪馬台国」はなかった』で扱われている基本的なテーマについて現在の視点に立って読み返すことにより、古田先生の古代史学の研究方法を再確認するとともに、その後の発展についても触れて頂く講演をお願いしました。
 その詳細は、発表原稿(PDFファイルにリンク)をご覧ください。

セッションⅠ それは「邪馬台国」ではなかった

【会場からの講演】大墨伸明氏

【オンラインからの講演】大越邦生氏

セッションⅡ 行程・里程、裸国・黒歯国

【オンラインからの講演】大下隆司氏

セッションⅢ 女王国のありか・卑弥呼の遺跡

【会場からの講演】正木裕氏

【オンラインからの講演】鈴岡潤一氏

【内倉氏の代読講演】西坂久和氏

セッションⅣ 一年に二回歳をとった倭人

【会場からの講演】古賀達也氏

【会場からの講演】中村通敏氏

【会場からの講演】富永長三氏

■古田 光河 : 父の思い出と今後の活動(続編)

   故古田武彦先生のご子息・古田光河氏より、先生のお人柄と思い出をお話いただきました。
前年度好評を博したお話の続編ということで、参加者の皆様も大変楽しんで聞き入っておられました。
 

古田光河氏

【情報交換会】

 第1日目は、セッションⅡの講演までで、オンライン参加の方は終了になりました。
 会場ご参加の皆様には、夕食後に情報交換会の場を設けました。
 (コロナ禍の為、お席が密にならないように、また各所には除菌ジェル・シートをご用意しました。)

 お一人ずつご紹介とコメントをいただき、例年より時間は短縮されましたが皆様楽しんでいただけたようでした。

 

古田武彦記念古代史セミナー

情報交換会

【記念撮影】

【閉会】

 2日間に渡り貴重な講演を聴いていただき活発な研究交流を行っていただきました。最後に荻上紘一実行委員長から総評と来年度に向けてのお話をいただき閉会となりました。
司会進行を努めていただきました実行委員の大墨氏・橘高氏を初め、企画を進めていただいた8名の実行委員の方に感謝申し上げます。

 今年度は、会場とオンラインでのハイブリットセミナーという形に変更させていただいたにも関わらず、全国から多くの方にご参加いただきありがとうございました。これからも大学セミナーハウスが、この会の継続の一助になれば幸いです。

実行委員会

【実行委員長】
 荻上 紘一
【実行委員】 
 大墨  伸明
 荻野谷 正博
 橘高 修
 竹内   強
 西坂   久和
 冨川 ケイ子
 和田   昌美

開催状況

お問い合わせ

公益財団法人 大学セミナーハウス・セミナー事業部
 TEL:042-676-8512(直)FAX:042-676-1220(代)
 E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
 URL:https://iush.jp/
 〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1